大統領選ディベートで学ぶジョークの言い方

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こんにちは、Erinaです。

 

アメ10のこの記事でも書いたように、アメリカで「面白いことを言えるかどうか」というのは英語でのコミュニケーションを大きく広げる要因です。

日常英会話も滞りなくできるようになったけど、まだなんだか心と心の間に壁があるなぁ・・・と感じるとき、それを壊してくれるのがまさに「ジョーク」。ジョークを言えるだけでなく、他人のジョークを面白いと思えるかどうか、というところで試されてきます。

 

私がアメリカに住んだこの13年、他人のジョークを面白いと思えるかどうか、というのは、やはりアメリカでの生活にどれだけなじんでいるか、どれだけの場数を踏んできたか、どれだけ異なる状況に自分を置いてきたか、というところによると思います。

 

先日の共和党ディベートでも、候補者同士でかなりのジョークが炸裂されていました。そのたびに「面白い!」と思えたら、その分だけ政治にも興味が生まれるわけです。

 

では、ディベートでのジョークで、アメリカン・ジョークを練習してみましょう。

 

 

マリファナ・ドラッグのトピックにて

マリファナやドラッグの取り締まりは、貧困層に厳しく、富裕層(の特に子どもたち)に緩いという指摘がされたときのこと。

ジェブ・ブッシュが「僕も40年前にマリファナを吸ったことがある。母はこのニュースを嬉しく思わないだろうけど。」と言いました。(1:30)

 

 

日本ではほとんどお目にかからないマリファナですが、アメリカではおそらくほとんどの大学生は見たことはあるもの。吸ったことがある人も半数以上はいるんじゃないでしょうか(これは私の独断と偏見ですが)。タバコを吸ったことがなくても、マリファナを吸ったことがあるという人は多いはず。

特に年代的に考えても、あの11人中、若いときにマリファナを吸った人はジェブだけじゃないはずですが(たぶん全員・・・苦笑)、まぁ話の流れで彼はそう言ったわけです。

 

これは、大統領選挙という”Politically Correctness”(政治的に正しいこと)を主張する場面においては、その常識を覆す発言だったわけですが、実際はアメリカのマリファナ文化という「タブー」をオープンにしたことになります。こういう発言がマイナスと出るか、プラスと出るかは、やはり話の流れやその人のパーソナリティによって変わってくるわけです。

 

そしてその後にフォローアップジョークとして出たのが、カーリー・フィオリナの発言。

ドラッグからのリカバリー支援についてのディスカッションで、「私たち夫婦は、息子をドラッグが原因で亡くしています。若い世代がドラッグで命を失うことを防ぐべきです。」というようなことを言いました。

 

付け加えとして、

 

「現代のドラッグやマリファナは昔のものとはまったく異なり、ジェブが40年前に吸っていたものとは(質が)違うのですから。」

(”The marijuana that kids are smoking today is not the same as the marijuana that Jeb Bush smoked 40 years ago,”)

 

と言うと、会場はどっと沸きました。というか、こういうことだって身近にマリファナがなければ知らないわけで・・・。

まぁとにかく、ジェブの告白を、皮肉50%+自分たちへの課題50%のようなジョークに変えたフィオリナは、うまい!と思ったわけですね。

 

 

 

予防接種(vaccine)と自閉症(autism)の関連性のトピックにて

自身の経験から、「ヴァクシーンと自閉症は関連がある」と以前に主張したトランプに対して、「現代の医学において、その科学的根拠はない」と主張したベン・カーソン。カーソンは元・小児脳外科の有名なドクターで、「興味があるなら、それに関しての本もたくさん出ているので読んでください。」と言いました。

それに対して、まだ自分の体験を主張するトランプ。(彼の主張は、ヴァクシーンの投与量への疑問でもあったのですが)

 

そこで、

 

モデレーター:「ドクターカーソン、どう思いますか?」

カーソン:「彼はオーケーなドクターだね。」(He is an okay doctor.)

 

というやりとりに、またもや沸いた会場。(2:30)

 

 

これは数日前のトランプの発言が原因でした。

数日前、あるインタビューで、トランプがカーソンのことを”He is an okay doctor.”と言ったのです。

 

英語での「オーケー」は、「特に悪くはないけど、取り立ててよいと言うこともない」、つまり「まぁ良いんじゃない?」というレベルで、トランプにそう呼ばれたドクターカーソン。

それを、この場で仕返しとして使ったドクターカーソンに、「グッジョブ!」な笑いと拍手が起こったのです。

 

 

トランプとジェブ・ブッシュ

トランプが結婚式にヒラリー・クリントンを招待したのは、自分がビジネスマンだったからだ、というトピックで二人の議論が熱くなったとき。

トランプがなかなかしゃべれなくて、ジェブ・ブッシュにこう言いました。

 

トランプ:「今夜はいつもよりエネルギーがあるね。」(You got more energy tonight.)

会場、ハッとする。

トランプ:「良いと思うよ。」(I like that.)

会場とジェブ、笑う。

 

 

これは、ジェブ・ブッシュがソフトな性格で、あまりエネルギーがない (Low Energy) ということを指摘されていたことが前提です。あまり熱くなるところを見せてこなかったジェブですが、この日はいつもと違うジェブを見抜き、それを指摘したトランプ。面白かったです。

 

このシーンを前提として、最後のほうで、視聴者からの質問にこんなものがありました。

 

「大統領になったら、シークレットサービスのコードネームは何が良いですか?」(なんだその質問?って感じですがw)

 

ご存知のとおり、シークレットサービスやCIAなどのエージェンシーは、コードネーム(秘密の名前)を使います。機密のやりとりでは「大統領」とは呼ばないわけです。

モデレーターは、それぞれの希望コードネームを聞いていったのですが、ジェブ・ブッシュはこう答えました。

 

モデレーター:「ブッシュ知事は、どうですか?」

ジェブ・ブッシュ:「”High Energy”にします。」

 

これを聞いて、またも会場は爆笑。

隣同士にいたトランプとブッシュは、ポディウムの下でローファイブ(手を下でパチンとする)をしたのです。

 

 

 

 

そんなわけで、最初は「自分以外は全員敵」という緊張感で始まったディベートでしたが、3時間後には妙な一体感が生まれ、11人が「共に戦う仲間」みたいになるから不思議です。

これも、真面目なトピックの合間に、こういうジョークが言える仲間であり、それぞれのパーソナリティをお互いに上手に引き出しているからでしょう。相手の「その人らしさ」を出せるという意味で、人々は、やはりうまいジョークを聞きたいと思うわけです。

 

この候補者たちを個人的にどう思うか、ということは置いておいて、こういうエンターテインメント性もないと、政治は面白くないですからね。

 

さぁさぁ、次はデモクラのディベートですか。

こっちはどんなことになるのでしょうか。楽しみです。

 

 

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About Erina

こんにちは、Erinaです。 日本で一浪した後、2002年に留学生として渡米しました。ESLとコミュニティカレッジを経て、4年制大学に編入。高校時代は大嫌いだった数学が大学で大好きになり、応用数学専攻で卒業。金融アナリストインターン、IT企業でデータアナリスト、銀行で不動産アナリストを経て、現在、キャリアチェンジの真っ最中。アメリカの高校で数学教師になるために、2016年夏に脱サラ。久しぶりの勉強と主婦業に専念しています。二人の小学生のママです。趣味は読書・ヨガ・テニス・ゴルフ・DIY・庭仕事で、最近の一番の楽しみは子育てです。 アメリカに住む日本人女性を応援したくてこのブログを始めました。

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