汲み取る英文読解 “Close Reading”

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こんにちは、Erinaです。

 

先日、子供達の学校で先生との個人面談、つまり “Parent-Teacher Conference” に行ってきました。

 

3年生の息子と1年生の娘の先生たちとそれぞれ面談をして、やはりフォーカスは「英語」と「算数」の二本柱になることに気づきました。

 

このブログでも、うちの子供たちの読書について書いていますが、やはり先生たちの言葉を直接聞くことは、どんな読み方をさせるというガイドラインを持つために大きな助けになりました。

 

二人に共通していたもの、そしておそらく多くの小学生が必要とする練習は、やはり文章だけではなく、もっと深いところまで読んで得られる理解。

どういうことかというと、登場人物 (Characters) の行動の原因となる感情や思考などを、単純に読み取るというよりも、「汲み取る力」でした。

これは文章を細かく分析し、読み進め、自分自身の経験なども照らし合わせながら読むテクニックが必要で、これを”Close Reading”と呼びます。ここでの”Close”は「閉じる」ほうではなくて、「近づく」という意味ですね。

 

 

たとえば、3年生の学期末に一斉学力テストがあるそうなのですが、そこでの例文がこんな感じ。みなさんも、文章を読んで、途中に出てくる質問を一緒に考えてみてください。

 

“The Yard Sale” by Elinor Teele

 

“Now you can put prices on them,” Mom said, putting the last of Becca’s things in a neat row on the table.

It wasn’t fair. It was early in the morning, it was cold, and the Petite family was having a yard sale.  They’d be moving into a smaller place in the city later in the month, and they had to get rid of a lot of stuff.

Becca picked up a china ballerina that Bobby Silvano had told her looked like a walrus. She put it down and stroked the fur of a purple-and-white stuffed bunny that she’d won at the fair. Next to it was an old fabric box with a nail-polish stain on the inside. Becca picked up a yo-yo and began to smack it against the table legs.

“Becca, stop that,” Mom said.

It was bad enough that they were moving, which would ruin everything, but on top of that her mom had put her in charge of the kid’s table.

“You can show them which toys you liked and how much fun they were”, Mom had said.

I guess that means the fun is over for me, Becca thought.

At 8:30, cars began to pull up in front of the Petite house.

“Becca, you need prices on your tags!” Mom said as she jogged past with a lampshade in her hand.

“How much do I charge?” Becca asked grumpily.

“Whatever you think is reasonable,” Mom called over her shoulder.

Becca pondered this for a moment. If she added up all the hours she’d spent with her things and all the memories they represented, these items were priceless! So why not price them accordingly?

“How much for the yo-yo?” asked Louis from next door. He picked up the yo-yo and let it spin to the ground.

“It’s 30 dollars.”

“Really?” Louis placed the yo-yo back on the table. “Yo-yos don’t cost 30 dollars.”

“This one does. It’s an antique.”

“Well, never mind then,” Louis said sourly before walking off.

Becca smiled.

 

Question 1: What kind of person is Becca?

 

A light rain started. Becca didn’t have many customers to deal with, but the ones who came where quickly defeated by her high prices. She was about to go in for lunch when a little girl with straggly bangs came up to the table. She stared long and hard at all the toys, her hands shoved deep in her pockets.

When the girl spoke, she almost whispered. “Is the bunny for sale?”

“Yes,” Becca said, “but it’s expensive.”

“I only have… this much.” The girl held out her hand. It contained two dollars.

“That’s not enough,” Becca said, shaking her head. She hated to do it — the girl looked so eager — but that bunny was historic.

“Oh.” The girl looked down at her palm. “I don’t have any more.”

Becca felt a twinge of guilt. “Well, sometimes we drop the prices at the end of the day,” she said, her voice kinder.

The little girl jumped on Becca’s words. “Really? So I can wait?”

“Well, I guess so, but I’m sure someone will buy it. You should go home.”

“No, I can wait. My mom’s right over there.” The girl pointed to a woman who was chatting with a neighbor on the sidewalk. The girl spread her jacket on the ground and sat under the table.

Becca sighed.

 

Question 2: What do you think will happen in the rest of the story? What makes you think this?

 

Ten minutes later, the girl was still there. And 15 minutes after that. Becca was afraid that the girl’s mom would ask her what she was doing. Finally, Becca glanced down at the girl, whose little head poked out from under the table like a turtle’s. You have to hand it to her, Becca thought. She certainly is determined.

“Has it been sold yet?” the girl asked in a squeaky voice.

“No,” Becca said.

Behind the bangs, the girl’s eyes were hopeful. Becca suddenly thought of herself a few months ago, wanting to stay in their home so much that she would have cheerfully lived in a muddy hole in their yard if it meant not moving. Sometimes, Becca realized, life had a way of reminding you of bigger things than stuffed bunnies.

“Look,” Becca said, “why don’t I drop the price to a dollar and you can have a little left over?”

“Really? I can have it?”

“Sure.” Becca handed her the bunny.

“Thank you, thank you!” the girl said and ran her hands over the bunny’s purple fur. Becca watched the girl talking to the bunny while walking toward her mother.

Becca found a label and wrote 50 cents. Then she tied the label to the yo-yo and waited for the next customer.

 

Question3: Summarize the story “The Yard Sale.”

Question 4: Reread the last two sentences of the story. Why do you think the author decided to end the story this way?

 

 

 

どうでしょうか?

長さはあるけれど、文章の内容はそれほど難しくはないはず。日本だと中学の英語リーディングくらいだと思います。

 

注目すべきは、文章の途中に出てくる問題。ちょっと見てみましょう。

 

Question 1: What kind of person is Becca?

(問題1:ベッカはどんな人でしょうか?)

 

家族が小さな家に引っ越すので、家のものをヤードセール(ガレージセール)で処分することになったペティートファミリー。ベッカも自分のおもちゃを売ることになりました。

しかしそれに乗り気じゃなかった彼女は、近所のルイスに「ヨーヨーはいくら?」と聞かれて、「30ドルよ」と答えます。「それは高い!」と言ってルイスは去りました。

という流れから、ベッカはどんな女の子ということがわかるでしょうか?

 

ここでの小学3年生の典型的な答えというのは、ベッカは「意地悪」「機嫌が悪い」「やる気がない」など、文章からストレートに引っ張り出してきたものだそうです。

特に小学低〜中学年の子供というのは、各自の判断力がついてきて、物事を、「正しい・正しくない」「良い・悪い」「優しい・意地悪」「好き・嫌い」という白か黒かの二択で判断するようになるそうです。心当たり、ありませんか?

 

しかし、現実は白か黒かという二択はほとんどなく、グレーのグラデーションでしかないのですが、その間のグレーゾーンというコンセプトがこの年齢ではまだ備わっていないそうなのです。

なので、これからの小学高学年〜中学・高校に向けて、この部分を強化するための読解とは、「文章には書かれていない登場人物の気持ちを汲み取る」ということが必要になってくる。

 

そんなわけで、ここでのA+な回答というのは、「ベッカは、家族が引っ越すという理由で、自分の好きなおもちゃを手放さなくてはならなくて、気持ちが沈んでいる。そこで、値段を高くつけて、誰も買わなければ、お気に入りのおもちゃを手放さなくて良い、と考えている、自分のおもちゃを大切にしている女の子」というような内容。

 

これ、どうですか・・・?

私は最初、「小3には難しい!」と思いましたね。

 

こういう他人の気持ちが理解できるかどうか、というのは、単純に読書量ではなくて、「自分もそういう体験をした」という人生経験が必要になってきます。

自分の意思とは裏腹に、物事が進んでいくときのやるせない気持ちだとか、白か黒かだけじゃ判断できない状況に、実際に入り込んでみないとわからない気持ちです。

「こういう気持ちを、ジレンマって呼ぶのよ」と、この文章を一緒に復習してみた後に、うちの子供達に教えてみました。

「頭ではわかっているんだけど、心ではイエスと言えないことって、これからたくさん起こるはずだよ。」と子供達に言うと、「そっか・・・」と考え込んでいました。

 

 

私が面白いと思ったのは、問題4。

 

Question 4: Reread the last two sentences of the story. Why do you think the author decided to end the story this way?

 

最後にベッカは、「50セント」という値札をヨーヨーにつけることにしました。

どうして作者はこういう終わり方にしたのでしょうか?という質問です。

 

みなさんはどう思いましたか?

ちょっと考えてみてください。

 

物語の最初と最後の間に、ベッカの中で心の動きがありましたね。

それは、ウサギのぬいぐるみを欲しがっていた女の子との出会いがきっかけです。

 

うちの子供達とこの質問を復習してみたのですが、なかなか面白い回答でした。

 

息子(8歳)は、「ヤードセールでおもちゃを売りなさい、とお母さんに言われたし、いつまでも売り物のおもちゃを持っているわけにはいかないと思ったから。」というようなミッション遂行型。責任感の強い、彼ならではの回答。

娘(7歳)は、「バニーのぬいぐるみが手に入って、女の子が喜んだのを見て、やっぱりこれらのおもちゃも誰かに売ってあげようと思い直したから。」というシンパシー型。小説をよく読む彼女らしい回答。

 

これ、どちらも正解だと思うんですね。

 

大事なのは、この部分「Sometimes, Becca realized, life had a way of reminding you of bigger things than stuffed bunnies.」(それにしても、これはいかにも大人が書きました、という文章だと思うけれど)が読み取れたかどうか。

これが読み取れて、心を入れ替えた、という点に気づければオーケーなんじゃないでしょうか。

 

 

うちの子供達の回答を見てみると、やっぱり男女の違いって大きいなと思うのは、男の子は目に見えるものや数字という”Fact”重視で、女の子は人の気持ちなど”Feeling”重視。

「他人の気持ちを汲み取る」という課題で、女の子が高得点を取るのも、やはりこういう部分に左右されていると言っても、驚きませんね。

単なる「情報入手」のための読書ではなく、本文中にある世界観に入り込むこと。それこそが読解であり、アメリカの教育では小学低学年からそのスキルを身につける必要があるようです。

 

この”Close reading”は、今回のコモン・コアの一部でもあるそうで、子供にこういう読解を身につけさせるためには、読書の後に、以下のような質問をしてみてくださいとのこと。

 

Why did the characters do the things they did in the story?

登場人物がそういう行動をしたのはなぜか?

 

What do you think the characters were thinking in order to do the things they did?

登場人物がそういう行動をしたときに、何を考えていたと思う?

 

If you were the author, how would you end the story?

もしあなたが作者だったとしたら、どんな終わりにするか?

 

What would be the alternative way to end the story?

このストーリーにもう一つの終わり方があるとしたら、どんなものか?

 

こういう本文には書かれていない部分を想像させ、分析させ、自分の言葉で表現させるという練習が必要だそうです。

 

どうでしょうか?

 

 

 

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About Erina

こんにちは、Erinaです。
日本で一浪した後、2002年に留学生として渡米しました。ESLとコミュニティカレッジを経て、4年制大学に編入。高校時代は大嫌いだった数学が大学で大好きになり、応用数学専攻で卒業。金融アナリストインターン、IT企業でデータアナリスト、銀行で不動産アナリストを経て、現在、キャリアチェンジの真っ最中。アメリカの高校で数学教師になるために、2016年夏に脱サラ。久しぶりの勉強と主婦業に専念しています。二人の小学生のママです。趣味は読書・ヨガ・テニス・ゴルフ・DIY・庭仕事で、最近の一番の楽しみは子育てです。
アメリカに住む日本人女性を応援したくてこのブログを始めました。

2 Responses to “汲み取る英文読解 “Close Reading””

  1. avatar

    マエマエ

    すごく、わかりやすかったです。

    ちょうど保護者会で先生から「本読みの後に、こどもに質問をたくさんして下さい」と言われたところだったので、とてもタイムリーな記事に感謝です。

    さっそく家で、質問してみます!

    今後もこういった教育系の記事を書いて頂けると、うれしいです。

  2. avatar

    Erina

    マエマエさん、こんにちは。
    そうでしたか。お役に立てて嬉しいです。
    これからもアメリカの教育関係のことも書いていきますね!

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