使わない言語は忘れる

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こんにちは、Erinaです。

 

今日のテーマは、「使わない言語は忘れる」です。

 

これは当たり前のことですが、やはり頭で考えるのと、体感するのは全く別のこと。

 

15年前に渡米した頃、英語での生活環境がものすごく新鮮で、見るもの聞くものを吸収していた19歳の私。当時、「日本語を忘れる」なんてことは、頭の片隅にもありませんでした。

 

ある日、友達に手紙を書いていた私は、「漢字が書けない」ということに気づきました。それまで、漢字はわりと得意だったし、子供の頃も漢字テストの練習なんてしなくてもいつも満点だったのに、初めて、「漢字がわからない」という体験をしたのです。

 

「あ、日本語を忘れてるな」

 

と直感的に思いました。

 

そしてそれは、新しい言語(英語)を習得するのと同時に、やはり使わない言語というのは、忘れていくものなのだ、という、自分ではどうしようもない何かに押し流されている無力感でした。

 

それから月日は流れ、ホストファミリー、日本人学生のいない大学留学、日本語を話さないアメリカ人と国際結婚、アメリカ企業に就職、英語オンリーの子育て、と99%英語環境に浸かっていた14年間。

日本語力はますます衰えていくものの、こうやって日本語で文章を書くことが何よりの日本語(アウトプット)維持のツールでした。あの宇多田ヒカルも言っていましたが、「日本語に日常的に触れられない環境にいると、きれいで丁寧な日本語が恋しくなる」というのはまさにそうで、やはりこの14年間に、私は日本語の美しさを見直すことになったし、本も純文学を中心に読むようになりました。

 

 

そして去年の夏にアメリカ企業を退職して、丸一年が経ちました。

私の言語環境はガラリと変わったのです。

 

日本語中心の塾と日本語補習校で働くことになった私は、昼間の言語使用は99%日本語になりました。英語を使うのは、家族との時間のみで、それも、夕方〜寝るまでの数時間で、新しいトピックは増えません。

 

「英語力が落ちている」

 

という二度目の「言語ロス」を体感している真っ最中です。

 

言いたいことが英語でパッと言えなくなってきている。

子供に間違いを指摘される。

 

ということが増えてきて、「アメリカにいるのに日本語しか使っていない」というフラストレーションに共感できるようになりました。

 

 

今回、こうやって自分の置かれた環境が劇的に変わることで、私は自分の言語能力の変化に気づいたわけですが、それをきっかけに考えることになったのは、やはり「バイリンガルってどういうこと?」という疑問でした。

 

私が思うバイリンガルというのは、「二言語で自分の意思表示をできる」というレベルであり(だから私も胸を張ってバイリンガル)、「二言語ともネイティブ」という状態ではありません。

 

上で書いたように、言語能力というのは、自分がその言語環境に置かれた時間数と密接な関係があるので、自分の1日が48時間で、そのうちの24時間を英語、24時間を日本語で生活しない限り、同い年の日本語ネイティブと英語ネイティブの両方と、言語能力で肩を並べることはおそらく不可能です。

 

とは言いつつも、一言語環境で育ったにも関わらず、30歳で10歳レベルの母語しか使えない人もいるし、逆に、10歳でものすごい難しい言葉を駆使できる子供もいます。もちろん個人の「言語」というものに対する能力に差はあるけれども、やはり「その言語環境に置かれた時間数」というのは、言語習得において、絶対的な力があるのだな、と感じるのです。

 

私がアメリカに来た頃、「新しく外国語を習得するには何100時間の英語のシャワーを浴びること」と言われていました。厳密な数字は忘れてしまったのですが、計算してみると、睡眠時間や食事などを引くと、だいたい「3ヶ月」だったのです。

 

よく、「英語は最初の3ヶ月で伸びる」と言われますが、それはやはり、人間の脳が新しい言語を認識し、回路を整理し、プログラミングし、使えるようになるまでにそれくらいの時間がかかる、ということであり、やはり「物理的な時間数」は必要なのでしょう。

 

 

だから、「まぁ、できることはやるけど、また99%英語環境に戻るまで、英語力が多少は落ちても仕方ないか」と私は開き直っているわけですが(笑)、みなさんはどう思いますか?

 

 

 

私の英語オンリー子育てについてはこの記事でどうぞ。

 

 

 

 

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About Erina

こんにちは、Erinaです。 日本で一浪した後、2002年に留学生として渡米しました。ESLとコミュニティカレッジを経て、4年制大学に編入。高校時代は大嫌いだった数学が大学で大好きになり、応用数学専攻で卒業。金融アナリストインターン、IT企業でデータアナリスト、銀行で不動産アナリストを経て、現在、キャリアチェンジの真っ最中。アメリカの高校で数学教師になるために、2016年夏に脱サラ。久しぶりの勉強と主婦業に専念しています。二人の小学生のママです。趣味は読書・ヨガ・テニス・ゴルフ・DIY・庭仕事で、最近の一番の楽しみは子育てです。 アメリカに住む日本人女性を応援したくてこのブログを始めました。

6 Responses to “使わない言語は忘れる”

  1. avatar

    Eri

    Erinaさんこんにちは。
    我が家は日本人夫婦なので日本語を忘れることはないと思いきや、夫婦共にアメリカ企業で働いており仕事で日本語を使わないので、「あれこの単語・表現って日本語ってなんだっけ?」ということはしばしばあります。逆に休暇明けはいつも以上に英語が下手になるので、月曜日の英語が一番ひどく、金曜日がピークかもしれません。笑

    リンク先の記事についてのコメントになりますが‥
    娘3歳は7ヶ月の頃から英語のみのデイケア→プリスクールに通っているので既に英語に偏っています。日本に帰る予定はないものの、夫婦の会話は日本語なので家では日本語で育てていますが、今後、日本語の読み書きをどこまで勉強させるか‥というのが最近の悩みです。
    英語で育って英語で勉強・仕事するとしたら日本語の読み書きができるアドバンテージってそんなにないよなぁ、なくはないだろうけど、毎週補習校に通って宿題もこなして、という苦労に匹敵するほどのものかな‥と考えています。
    まだ3歳なので、補習校に行かせてみるかどうか含めまだ検討中ですが、夫との共通認識は、日本語の読み書きよりも、自分の好きなこと・やりたいことに時間を使わせてあげたいねということです。その点で、Erinaさんの考えにとっても共感しました。
    そして、読み書きよりも、自分のルーツでもある日本を好きになってくれることを優先したいねという話をしています。漫画でもテレビでもアイドルでも、日本人の友だちでも‥(すでにアンパンマンや和菓子は大好きです)
    Erinaさんのご家庭では、何か勉強以外で日本に触れるような機会は設けていらっしゃいますか?

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    真実

    Erinaさん、こんにちは。真実です。
    私は主人がNavyなので、デプロイ中はやはり英語力が落ちます。ベースに行く用事以外は、日本に住んでいるので尚更です。主人がいる場合はずっと英語なので、逆に日本人と話すとき日本語が出ないことがあります。私が衝撃だったのは日本に住んでいるのに英語を使う時間が多いと日本語が消えていくのだなと実感したことです。ちょっとしたことが口から出ないときは本当にびっくりしました!Erinaさんの言う通り、物理的な時間数、重要でありかなりの影響力があると思います。

  3. avatar

    Erina

    Eriさん、こんにちは!
    なるほど、日本人夫婦でもそういうことはあるんですね。
    月曜日と金曜日で英語のレベルが違うってわかる気がします・・・。私も銀行員時代は、家で使う英語と、仕事で使う英語が違ったので、月曜の午前中はちょっと黙っておこう・・・って感じでした。笑

    リンク先も読んでいただいて、ありがとうございます。
    書いた当初から、かなり反響をいただいている記事なので、やはりこれは多くの家庭に共通する悩みなんでしょうね。バイリンガルって、私たちみたいな移民には、永遠のテーマですね。
    我が家は、子供達が7歳と9歳になり、日本を「ママのホーム」と認識するようになりました。
    息子は小さい頃はプラレールのおかげで列車が大好きになり、日本に行って電車に乗りたいと言っているし、娘は言語に興味があるから、日本語も一つの外国語として興味を持っています。日本食も好きです。あと、日本からのお客さんを家に泊めるのも良いですね。

    今後の私の課題は、彼ら自身が、彼らの友達に「日本ってこうだよ」と教えられるようにしてあげられることかなと思ってます。
    私ももう9年帰ってないので、来年あたりは娘を連れて日本に行きたいなと思ってます。たとえ外国人目線だとしても、「こういう国がある」というのを肌で感じさせてあげたいなと、最近の子供達を見て思います。それまでは小さすぎて、きっと違いもわからなかっただろうなぁと。

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    Erina

    真実さん、こんにちは!
    そうか〜、ミリタリーの家族はそういうこともあるんですね。面白い。
    どこで日英どっちを使うかって、コントロールできないことも多いですからね。
    その場で対応しなきゃいけない。このトピック、面白いですよね。

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    ロンドナー

    こんにちは。

    私もその感覚、すごく分かります。母と電話をしている時にその日本語の使い方を間違っているよと指摘されます。日本で全教育を日本語で受けていても忘れるんですよね。一言で言えばドンピシャな表現ですっきりするのは頭では分かっているのに、その一言が出てこないから遠回しな言い方によくなります。

    後はこちらで英語で学んでしまった事で日本では普段会話にならないような事は日本語では無理です。大がかりな家の改装とか、こちらは普通な事なのですが、色々な役所の手続きとか法的な事を英語で学んでしまったので日本語で説明が出来ないのです。日本人の友人に教えて欲しいと言われたので日本語で説明したのですが、日本語では8割程度しか言いたい事が言えませんでした。

    言語の維持は難しいですよね。

  6. avatar

    Erina

    ロンドナーさん、こんにちは。

    こちらで学んだもの、私にとっては大学以降の数学なんですが、やはりそれは私も日本語でなんと言ったら良いのかさっぱりわかりません。笑
    自分のボキャブラリーが、留学前と後で、日本からアメリカに移動してしまったからでしょうね。
    日本で大学数学をやらないかぎり、まぁ仕方ない。
    どこでどんな言葉を使うか、ということなんでしょうね。

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