アメリカの学校で必要な英語力

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こんにちは、Erinaです。

 

今学期の授業で、面白さ1, 2位を争うクラスが、”ELD/SDAIE Methods” というクラス。ELDは “English Language Development” の意味で、この記事でも書いたように、英語を母国語としない子どもや学生のためのプログラムという意味です。

この授業の教授は言語学博士号を持っていて、昼間は、ここサンディエゴの公立中学校で英語の先生をしています。

言語学は私も(数学の次に)興味がある分野で、もっと勉強してみたいと思っていた学問。教授の選んだ教科書も、言語学的な分析がてんこ盛りで、とても面白いのです。

 

先日の単元では、言語と学習(または習得)というものは背中合わせで存在しているということや、学習が起こる時には言語はどのような役割を果たしているか、というとても興味深い部分でした。

これらの記事でも書いてきたように、やはりバイリンガル(二言語)またはマルタイリンガル(多言語)という環境は、私にとって切り離せないものであり、なるべく効果的に、そして理論的に理解したい分野でもあります。

そして、これらの言語学的な視点というのは、これまで私がぼやっと感じてきたものを形あるものにしてくれたし、それをこうやってここでシェアしたいと思ったのです。

 

そんなわけで、「アメリカの学校で必要な英語力」について、書いてみたいと思います。

 

まず、このタイトルについて。

 

とてもストレートでわかりやすいかもしれませんが、最初に言っておきたいことは、アメリカの学校で必要な英語力を身につけるための「魔法の薬」はないということです。英語では、”There is no magic pill.” と言われますが、つまり、「こうすれば絶対に大丈夫!」とか、「みんなこうしているから、私も」というものは、言語と学習という分野においては存在しません。というのが私のポリシーです。

新しいことをどうやって身につけるか、今の自分に何が必要か、というのは人それぞれに異なるし、それを無視しては、結果は出ないどころか、負のサイクルに陥る危険性もあります。つまりは、「急がば回れ」で、焦っている時ほど腰を据えて、一つずつ乗り越えることが重要です。

 

様々な子ども達(うちのも含む)を見ていても、言語に対する興味やセンス、ハードルの高さもそれぞれだし、おしゃべり好きな子もいれば、あれこれと頭の中で考えを巡らせる子もいます。たとえそれが、同じ家族の中で育つ兄弟姉妹であっても、十人十色です。(我が家のバイリンガル教育経験についてはこちらで読めます

なのでやはり親として、それぞれの子どもが、今、一番必要としているものを見極める分析力が必要になってくるし、それが、多言語環境に子どもを置く責任として受け止めてほしい、というのが、親の皆さんへのメッセージです。

 

まず、日本、アメリカ、または世界中のどの国やどの言語に限らず、「学校」という場所で使われる言語は、特殊だ、ということを認識してください。

特殊というのは、私たちが日常生活で使う言語、つまり会話や生活で使う言語とは異なり、教育で使われる言語、つまり “Academic language”(アカデミック言語)という存在を認識しなければなりません。

 

自分が学生時代だった頃を思い出してみましょう。

 

小学校なら、帯分数、仮分数、聖徳太子とか、自転。

中学校なら、質量保存の法則、解の公式、体言止めとか、刀狩り。

高校なら、正弦定理、浸透圧、未然形とか、アウレリウス・アウグスティヌス。

 

・・・と、言われたら、「あぁ、そういえばなんかそういうの、やったよね・・・」と思い出すはずです。

内容はさっぱり忘れていることもあるでしょう。どうしてあれだけ勉強したのに、言葉を聞いて、「あ、それってこういう意味だよね!」と答えられないのでしょうか。

 

それは、「日常的に使ってないから」。

 

先生または専門家じゃない限り、こんな単語、フツーは日常会話で使いませんよ。

 

つまり、子ども達が学校で使っている言語というのは、そういう特殊な言語であり、学年が上がるにつれて、その必要性が高まるのです。

 

ちょっと例を見てみましょう。

 

これは、ある科学的事象を様々な表現で言い表したものです。

どういう状況か、その事象はどんなものか、そして自分ならどの表現を使うか、考えてみてください。

 

表現① Look, it’s making them move. Those didn’t stick.

表現② We found out the pins stuck on the magnet.

表現③ Our experiment showed that magnets attract some metals.

表現④ Magnetic attraction occurs only between ferrous metals.

 

 

どうでしょうか?

何についての表現か、わかりましたか?

 

答えを言う前に、それぞれを和訳してみましょう。

 

表現① 見て、動いてるよ。それらはくっつかなかったね。

表現② 私たちは、ピンが磁石にくっつくことを発見した。

表現③ 私たちの実験は、磁石は金属を引き寄せることを証明した。

表現④ 磁石による引力は、鉄金属間のみで起こる。

 

どうでしょうか。

 

科学的事象とは、磁石を使った実験のことで、表現①〜④はそれを様々な方法で表現したものでした。

 

おわかりのように、①から④に進むにつれて、アカデミック言語力のレベルが高くなっています。

おそらく、これを母語でやった場合、私のだいたいの見当ですが、

 

表現① 2年生まで(8歳まで)

表現② 3年生〜5年生くらい(9歳〜11歳くらい)

表現③ 6年生〜8年生くらい(12歳〜14歳くらい)

表現④ 高校生〜(15歳〜)

 

というステップアップを要求されるはずです。

こういう表現を段階的にできるようになるには、やはりその言語での継続的なインプットが必要になるし、ステップアップを見極める国語力も必要になります。

アメリカで言われる「3年生の壁」も、ちょうど表現①から②へのステップアップが一因だと思います。

 

そしてこれは同時に、私たち親自身の英語力がどこで止まっているかを測る目安にもなると思います。

 

言語というのは、新しいことを始めない限り、習得がある程度のところで止まります。それは、自分の生活が確立された証拠であり、安定している証拠でもあります。

 

カレッジに行くとか、転職するとか、新しい友達を作る、ということをしない限り、新しいボキャブラリーは増えることはありません。

それは母語でも同じで、いつも同じ人とばかり話していると、楽な言葉遣いになったり、日本語では「ツーカーの仲」とか「あうんの呼吸」という言葉もあるように、わざわざ言葉にしなくてもわかり合えてしまう。

 

つまり、子ども達が学校で新しい表現を覚え、ボキャブラリーを増やしている間も、私たちの英語習得は日常会話のところで頭打ちしてしまい、アカデミック英語とは程遠いところにいる・・・というのはとても頻繁に起こるわけです。

 

だからやっぱり、親が勉強をし続けることは大事、なのです。

アメリカで大学院に行く、とまではいかなくても、コミカレやアダルトスクールのESLに通うだとか、興味のある学問分野の本を読むだとか、できることはたくさんあるはず。

それは、親が直接的に科目の内容(理科とか社会とか)を子どもに教えるためではなく、「アカデミック英語」に触れ続けるため。

この記事でも書いたように、児童書で科学や歴史を読めば、単語自体はそれほど難しくありません。ただ、「文章の書かれ方」が、日常生活の英語と異なってくるだけです。

 

どうでしょうか。

 

次回は、アカデミック言語の第一歩、我が家でやっている「ボキャブラリー対策」を紹介します

 

 

 

 

 

 

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About Erina

こんにちは、Erinaです。
日本で一浪した後、2002年に留学生として渡米しました。ESLとコミュニティカレッジを経て、4年制大学に編入。高校時代は大嫌いだった数学が大学で大好きになり、応用数学専攻で卒業。金融アナリストインターン、IT企業でデータアナリスト、銀行で不動産アナリストを経て、現在、キャリアチェンジの真っ最中。アメリカの高校で数学教師になるために、2016年夏に脱サラ。久しぶりの勉強と主婦業に専念しています。二人の小学生のママです。趣味は読書・ヨガ・テニス・ゴルフ・DIY・庭仕事で、最近の一番の楽しみは子育てです。
アメリカに住む日本人女性を応援したくてこのブログを始めました。

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