アメリカ社会に存在する “Privilege” とは

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こんにちは、Erinaです。

 

“Privilege” という言葉を聞いたことはありますか?

 

最近のアメリカ社会で再燃している人種問題において、”White privilege” という言葉がよく使われるようになっていますが、今日はこの”Privilege”の言葉の意味について考えてみたいと思います。

 

“Privilege” は、英和辞書によると、特権、特典、特別扱いという日本語が出てきます。

私としては、「優遇」のほうがしっくりくるかなと思いますが、みなさんもどう思うか、最後に考えてみてください。

 

この”Privilege”は、多様化した、格差の大きいアメリカ社会に存在するもので、特に最近の問題とされている部分は、”Privilege”の対象者、つまり優遇されている人というのは、自分が優遇されていると気づかないというところ。優遇されている人は、英語では、”privileged”と呼ばれますね。

 

This group of people are privileged, but they are not aware of it.

(このグループに属する人は優遇されているが、彼らはその事実に気づいていない。)

 

アメリカ社会では、誰がこの優遇対象者かというと、やはり白人。特に白人男性。つまり、これまで「マジョリティ(多数派)」と考えられ、社会を牛耳ってきたグループです。

 

優遇されてきた人というのは、自分の功績や経験とは全く関係なく、自分の属するグループのおかげで社会的に優遇されてきた、という事実自体に気づかないことが多く、それを指摘する声が増えてきました。

特に昨今の人種をめぐっての犯罪や社会運動、大統領選挙などをきっかけに、優遇されてきた人も、されなかった人も、この事実に目を向けようとする人が増えています。

 

これはやはり、アメリカ社会の自由競争の結果であり、格差や不平等が存在する現実を、知っておくべきだ、というのが教訓です。

 

私も、日本人女性として、アメリカにおけるマジョリティグループに属したことはないし、おそらく一生、属することはないだろうと思います。そういう疎外感や、危機感を常に持ちながらアメリカで生活することは、やはり並大抵のことではありません。

アメリカと日本の関係が悪化すれば、生活は何かしら変わるだろうし、常に “on the edge” ぎりぎりのところを歩いている感覚を持ちながら、大小さまざまな選択をしているわけです。(・・・と、まぁ、怖がらせるわけではないですけど、これは時とともに慣れます。笑)

 

そして、この”Privilege”の存在を説明するとてもパワフルなビデオを見つけたので、紹介します。

訳は下につけましたので、字幕を読みながら進めてください。

 

 

 

とあるアクティビティで、インストラクターがこんな説明をします。

 

 

 

「これから、この100ドル札に向かって、みんなで競争してもらいます。

 

勝者は、この100ドル札を手に入れるわけです。

 

ここで『ゴー』を言う前に、これから僕はいくつかステートメントを述べます。

 

もしそのステートメントに自分があてはまると思ったら、2歩、前に進んでください。

 

もしあてはまらないと思ったら、その場所に残ってください。

 

 

もし、あなたの両親がまだ結婚しているなら、2歩進んでください。

 

(前進または残る)

 

もし、父親(役)の人がいる家で育ったなら、2歩進んでください。

 

(前進または残る)

 

もし、私立教育を受けたなら、2歩進んでください。

 

(前進または残る)

 

もし、無料で家庭教師をつけてもらえたなら、2歩進んでください。

 

(前進または残る)

 

もし、携帯電話を止められる心配をしたことがなければ、2歩進んでください。

 

(前進または残る)

 

もし、家族の生活費のサポートをしたことがなければ、2歩進んでください。

 

(前進または残る)

 

もし、運動能力においてではなく、大学費用を自分で工面する必要がなかったなら、2歩進んでください。

 

(前進または残る)

 

もし、次の食事がどこから来るのかを心配したことがなかったら、2歩進んでください。

 

(前進または残る)

 

 

 

前にいる君たちに、後ろを振り返って見てほしい。

 

僕が今述べた、全てのステートメントは、君たち自身がやってきたこととは全く無関係だ。

君たち自身の決断や、君たち自身の実績とは、全く関係がないことだ。

 

だけど、この100ドル札の競争において、前方にいる人たちが有利だということは、明らかにわかるだろう。

じゃあ、後ろにいる人たちは競争する権利がないのか?いや、そうじゃない。

 

自分がどれだけ機会 (Opportunities) を与えられてきたか、それに気づかないというのは馬鹿げていることだ。

自分がどれだけヘッドスタート(有利なスタート)をもらえてきたか、認めたくないだけだ。

 

でも、現実は、もらってきていたんだ。

 

だから、言い訳は通用しない。

 

彼らは彼らのレースを走らなければならないし、君は君のレースを走らなければならない。

 

だけど、誰がこの100ドル札を勝ち取ったとしても、それを、他人を理解するために有効に使わなければ、それも馬鹿げていると思わないか。

 

もしこれが本当にフェアなレースで、全員が一番後ろからスタートしていたとしたら、あの中にいる黒人男子たちは、君たちを一掃するに違いないだろう。

つまり、君たちは、このヘッドスタートがあるからこそ、『人生』という名の競争に勝てる可能性がある、それが現実だ。

 

これが『人生』の縮図なんだよ、ladies and gentlemen。」

 

 

 

2問めあたりから、後方に残される人、特に黒人男子たちの表情が曇っていくのがわかります。

 

「君たちのせいじゃないところで」とインストラクターが断言したところ(1分52秒あたり)で、思わず顔を隠したくなるくらい、自分がいかに不利なところに立たされてきたかを実感する男子も。

 

つまり、個人の能力や実績とは全く関係ないところで、スタートにすでに差が生まれていて、それがあるからこそ、人生という名のレースに勝てる人が、現在の世の中にはごまんといる。

それを認識せずに、そして優遇を受けられない人たちを知ろうとしないというのは、とてもセルフィッシュなことであり、無知なことである。

 

この事実は、私はアメリカに限らないと思います。

これらの格差は、現在の日本でも生まれてきていて、自分の知らないところで、自分より後ろにいる人が生まれているはずなのです。

 

このビデオの目的は、ヘッドスタートのある人(つまり優遇されてきた人)を責めることではなく、されなかった人たちのことをきちんと認識するべきだ、ということだと思います。そして、自分がいかに優遇されてきたのかも認識すること。

 

こういう社会的トピックは、前方後方、どちらの側にいても、居心地悪くさせます。

英語では、”This kind of topic makes people uncomfortable.” なんて言いますね。

それは、私たち人間というのは、やはり気づかないふりをしながら、踏み台にするものを踏み台にし、自分のことだけ考えながら、毎日の生活をしている、という表れだからです。

しかし、それをあえてこうやって、acknowledge(認知する)ところはやはりアメリカだなぁと思うのです。結果として響くのが、たとえ少数の人だとしても。

 

 

私がこの国で、親として感じることは、自分の子供がヘッドスタートを得られているなら、それを認識してほしいと思うし、それにあぐらをかかずに、個人で勝負できる人材になってほしい。

親が与えられるものなんて限度があるし、それを言い訳にするような弱い人間にはなってほしくない。

そして、もしヘッドスタートを感じることができたら、やはりたまには後ろを振り返って、ヘルプが必要な人たちの役に立ってほしい。

自分だけが良ければいいのではなく、社会の一員として、自分の役割とか価値を自覚できる人間になってほしい。そこには大学名とか、給料とか、そんなの全く関係ありません。

 

そう願うのです。

 

みなさんは、どう思いますか?

 

 

 

 

 

 

 

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About Erina

こんにちは、Erinaです。 日本で一浪した後、2002年に留学生として渡米しました。ESLとコミュニティカレッジを経て、4年制大学に編入。高校時代は大嫌いだった数学が大学で大好きになり、応用数学専攻で卒業。金融アナリストインターン、IT企業でデータアナリスト、銀行で不動産アナリストを経て、現在、キャリアチェンジの真っ最中。アメリカの高校で数学教師になるために、2016年夏に脱サラ。久しぶりの勉強と主婦業に専念しています。二人の小学生のママです。趣味は読書・ヨガ・テニス・ゴルフ・DIY・庭仕事で、最近の一番の楽しみは子育てです。 アメリカに住む日本人女性を応援したくてこのブログを始めました。

7 Responses to “アメリカ社会に存在する “Privilege” とは”

  1. avatar

    りょうこ

    おお!また読みがいのある私の大好きなトピックです。もちろん例外はありますが白人男性が自分は正しいっ傍若無人で全然大丈夫って思いがちなのもそういう理由からかしらって思いました。
    さっきフードコートで高齢の白人男性が彼らがよくかぶっている退役軍人帽子を褒められたので自分の手柄を大声で語りこれからはドカンと北朝鮮を懲らしめる!って騒ぎ始めちょっと怖かったです。北朝鮮人だと思われたら何言われるかわからないので席移りました。あーあ特権階級って威張れて羨ましいですよ。

  2. avatar

    Erina

    りょうこさん、こんにちは!
    もうすっかり久しぶりの投稿になってしまったのですが、コメントいただけると嬉しいです。

    そうですね、もちろん例外もいると思います。
    ただ、人間誰しも、知らないという事実に気づかないことはあるわけで、それが社会的に問題になってたら、やっぱり振り返ることって大事ですよね。他人の振り見て、我が振り直せ・・・を心がけて、自分はそういう人間にはならないように、気をつけたいです。

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    Miho

    Privilegeを検索してこちらのブログをたまたま拝見しました。数ヶ月前からアメリカに住んでいます。とても興味深く読ませていただきました。これからも楽しみにしています。

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    Erina

    Mihoさん、初めまして!
    これからもぜひ遊びに来てくださいね!

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    em

    こんばんは。
    あることを検索していてこちらのサイトに引っかかり、このトピックに目が止まりました。
    私はアメリカにきて5年です。
    日本人どころかアジア人が1%くらいしかいない田舎の集落に4年、現在はメイン州のこれまたスッゲー田舎に住んでいます。
    マイノリティーの息苦しさを感じてきたことは多々あります、が気にしません。
    気にしたところで何も変わらないからです。
    まさに、このビデオの通り、多数派は気づかないし気にしないのです。
    ただ、確かに白人男性というのは今まで優遇されてきたという事実はあると思いますが、多様化が進む昨今では逆差別という現象が怒っているのも事実です。
    私の旦那は白人ブルーアイの金髪男性です。
    仕事は大学のprofessorです。
    私がいうのも何ですが、人生の大半を海外で生活したためか(30カ国ほど)、かなり広い視野を持った人間だと思います。
    このビデオのような内容、抱える問題などもちろん承知しています。
    彼は、外見だけならアメリカの真ん中あたりなら仕事の種類によっては、白人男性なのでまだ優遇される立場かもしれません。
    ただ、academicの世界では逆の現象が起きています。
    現在academicの世界ではマイノリティーが強いです。
    たとえ実力が劣っていようとも、有色人種、女性またはLGBT、
    さらに身体障害があれば言い方は雑ですがパーフェクトです。100%採用されるでしょう。
    アメリカ自体のいろんなシステム自体がきちんと機能していないというのが私の印象です。
    要は、個人の本質を見ようとしないというのが結局のところ面倒くさい事象を起こしているのだと感じます。これはアメリカに限っていうことではないですけどね。
    なんだか、そういうことウンザリします。
    こういうビデオは問題提起としては良いと思いますが、すこし雑かなとも思います。

  6. avatar

    Erina

    emさん、こんにちは。コメントいただきありがとうございます。
    うちの主人もケンタッキーの片田舎育ち、金髪ブルーアイの白人で、今はカリフォルニアの大学でプロフェッサーをしています。しかし彼の弟二人は未だにケンタッキーで白人コミュニティで生活を送っています。

    アカデミックな世界は Reverse Affirmative Actionなんて言葉ができるくらいかなりダイバーシティが広まっています。新しいことへの探究心には人間として壁はないですもんね。emさんのご主人もやはり見た目や人種にこだわらない人格だったからそういうアカデミックな場所に自然とフィットインしたのかもしれませんね。
    私の周りでもアカデミックな仕事をしている人に国際結婚が多いように思えます。

    ただやはりそれはごく一部の人間で、特にアカデミック(それも高等教育)に縁もゆかりもない環境で育った場合、こういう無自覚のうちにしたり、されたりという差別はこの国では蔓延しています。全国ニュースになるレベルから日常レベルなものまで、そういう場所に身を置いて生活せざるを得ない人が大勢いるのも事実です。この動画はそういうawarenessを啓蒙していると思うし、無自覚、無意識にしている差別を減らすというのが目的じゃないでしょうか。実際に何かアクションを取ることはなかったとしても、自分とは異なる存在をincludeできるかどうか、というトレーニングはやはり若い世代には日常的にやってほしいです。

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    Rico

    Erinaさん、初めまして!“アメリカで生きる日本人女性”というキーワードで検索してこちらにたどり着きました。私は高校、大学と1年ずつアメリカに留学し、日本の大学卒業後4年ほど働いてから再び渡米し、大学院で修士号を取得しました。その後結婚をし、子供も2人いますが今でもフルタイムで仕事してます。今年で在米24年目となりました。

    私もよく白人、特に白人男性に関しては昇進をはじめ様々な面で優遇されている事に関して、行き場のない怒りが込み上げてきます。でもこれはこの国にいる限りは変えようのない事実なんですよね。日本でもまだまだ男性社会だと思うので、日本にいたら別の問題に直面すると思います。

    特権階級に自分がどれだけ優遇されているかを気づかせるというActivity、大変に良いことだと思います。ただ一方で“あぁ、自分は恵まれていて良かったな”で終わってしまう懸念もあります。

    私がいつも心がけているのは、理不尽な扱いを受けたと感じたら迷わず抗議します。私に抗議されたからといってどうってことはないかもしれませんが、アジア女性はおとなしくて文句も言わないと思われたくないからです。ただ毎回普通に文句言うだけならばクレーマーみたいに思われてしまうので、ジョークやユーモアを交えながら抗議するなどバリエーションを持たせてます(笑)。

    こうやって同じような思いでアメリカで頑張っている日本人女性のサイトを読んで勇気付けられました。また時折お邪魔しますのでよろしくお願いします。

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