作文しよう! ③効果的な表現を使う(後編)

“こんにちは、Erinaです。

 

前回、作文3ステップめの「効果的な表現」の前編では、

 

単語→文→段落→作文

 

という流れを意識しましょう、と書きましたが、今回はそれぞれのステップにおける、私なりの練習方法を紹介してみたいと思います。

これはあくまで私が各段階を意識する上で行った練習であり、学校で教わったこと、人から教わったこと、自分で試行錯誤したことなど、様々な結果です。「これならできそう!」という方法が見つかるかもしれないし、「これは合わないな」という方もいるかもしれません。また、これらは、アメリカの作文教育のメインストリーム(主流)かもしれませんが、全てではないことをご理解ください。

また、このステップは「骨組み」の段階であり、ここでのノウハウ的なものだけでは良い作文にはなりません。前の2つのステップ(テーマを明確にする・情報を集める)で、「肉付け」のトレーニングが必要であり、これがないと、スカスカの作文になってしまいます。何事もバランスが大事。

では、行ってみましょう。

 

単語

これは、使える表現が増えるほど、効果的な作文になると書きましたが、そのためにはやはり使えるボキャブラリーが多ければ多いほど良いということです。

ボキャブラリーを増やす方法は個人で異なるかと思いますが、私は過去にこんな方法を試しました。

 

また、英語で作文をする時は、私は thesaurus.com を必ずと言って良いほど使います。同じ言葉を繰り返し使わないため、また、ピンポイントで言いたい言葉を探すためには、やはり Thesaurus が強い味方です。

渡米して3〜4年もすると、私は辞書よりも Thesaurusを頻繁に使うようになりました。それはやはり、単語同士の関係性や表現力の違いなどが、私の頭の中で、日本語を介さずにプロセスされるようになったからだと思います。

つまり単語の「ニュアンス」というものを英語のままで理解できるようになったから。「日本語でこう言いたい」じゃなく、「英語ではどうやって言うだろう?」という思考に切り替わったわけです。

 

 

「センテンススターター (Sentence starters)」は、文章の書き始めをサポートします。

こういうフレーズを使いなさい、と指定することで、頭の中で言葉が整理され始め、どんな情報や言葉が必要になるかを決めることができます。

 

特に、ある程度まとまった英作文をしたことがない日本人学生は、どうやって書き出せば良いの?と戸惑うことが多く、これらの知っているフレーズを使えば良いよ、と言うと、「なるほど〜!」と書き始められることが多いです。

 

たとえば、肯定文や賛成意見でスタートしたい場合は、以下のフレーズなどが使えます。

 

  • I think that ________.
  • I believe that ________.
  • I agree (with the author) that ________.

 

逆に、否定文や反対意見でスタートしたい場合はこんな感じ。

 

  • I don’t think that ________.
  • I don’t believe that ________.
  • I disagree (with the author) that ________.

 

また、賛成・反対にとらわれず、「私の意見はこうです」というものがある場合は、

 

  • My opinion on (the topic) is ________.

 

なんて使えますね。

 

特に、日本の英検での英作文問題は、「環境問題についてどう思いますか」とか「英語教育についてどう思いますか」という賛否が分かれるトピックが出されますが、これらのフレーズを使いこなせたら十分。

なぜかというと、英検の過去問を見てみましょう。

 

準2級:

Do you think it is important for children to play sports?

Do you think it is better for people to eat at restaurants or at home?

 

2級:

It is often said that people today use too much electricity. Do you agree with this opinion?

Today, more and more young people are starting their own companies. Do you think this is a good idea?

 

準1級:

Agree or disagree: The Japanese government should do more to protect the environment.

Agree or disagree: Japan should become a completely cashless society

 

1級:

Should developed nations encourage immigration from other countries?

Can restrictions on freedom of speech ever be justified?

 

・・・と、見てのお分かりの通り、”Do you think”, “Do you agree” で始まっている設問の場合、聞かれた通りに、”I think”, “I agree” で答える必要があります。1級の設問も、”I believe”, “I think”でスタートできるものです。

もっと複雑なセンテンススターターはこちらにリストアップされているので、参考にしてみてください。

 

つまり、自分の意見がまとまった後は、こういうフレーズでスタートダッシュを切れるかどうかで、作文の濃さが変わってくる。特に時間制限のあるテストでは、なおさらです。

最初の記事でも書きましたが、この「実際に手を動かして書く(またはタイプする)」という時間にかける時間はほんの少しで構わない、というのは、こういう定型文を知っていれば、頭の中で時間をかけて形作ったアイディアを、ぽんぽんと当てはめていけば良いだけだからです。この部分は、ある程度決まったフォーマットがあり、慣れれば慣れるほど、アイディアを練る作業に時間をかけられる。逆にそれに従わずにクリエイティブになろうとすると、結局、何が言いたいの?という作文になってしまうリスクがあります。

アメリカの学校では、このセンテンススターターは、国語や社会だけではなく、理科や数学などでも使われていて、応用性の高い方法のようです。

 

 

 

段落

段落(パラグラフ)の練習で、画期的だなぁ!と思ったのは、渡米1年目に勉強した「アウトライン (outlines)」でした。

これは、アカデミックな分野では共通の構造で、一旦マスターしてしまえば、どの科目でも、どのレベルでも使うことができ、私がとても重宝している知識です。

 

どういうものかというと、ローマ数字→アルファベット(大文字)→アラビック数字→

アルファベット(小文字)→・・・とヒエラルキーを作り、段階的に内容を細分化して整理するという方法です。

構造としてはこんな感じです。

 

 

ここで例題をやってみましょう。

以下のようなランダムな語群を、上の構造に当てはめていくという練習です。番号やアルファベットの数は、与えられた情報によって異なりますので、必要に応じて対応してください。

 

Bread Grain Natto Milkshake Udon
Others Rice Food Green tea BBQ chicken
Drink Mizu yokan Mugicha Tofu Coke
Dessert Pasta Apple pie American food/drink Dorayaki
French fries Dorayaki Japanese food/drink Sprite Salad

 

 

どうでしょう。

できました?

 

私のはこんな感じ。

 

この練習のポイントは、物事をヒエラルキーごとに整理できるかどうか。

(パスタはアメリカンじゃない、とかいうツッコミはなしで。ポイントはそこじゃないです。笑)

 

このアウトラインが身につくと、情報を整理する力がつき、実際に作文にしようとした時に、ものすごく役立ちます。たとえば、まずは日本食の穀物について書こうと思ったら、そこにはご飯とうどんがあって、それぞれの説明をし・・・と段階的に進めることができるのです。

特にリサーチペーパーのようなノンフィクションの作文では、このアウトラインが課題だったりします。つまり、実際に作文として書き始める前に、骨組み段階のものを、先生がチェックするわけです。また、長い文献などを読む時も、こうやってヒエラルキーを整理しながら読むと、「あの情報はどこだっけ?」と戻りたい時に、ビジュアルで探すことができます。

 

私がアメリカに来て、どの分野でも応用できる基礎的なアカデミックスキルという意味で、このアウトラインはトップランキング入りします。ボキャブラリーや文法のようなマイクロレベルのスキルではなく、全体像をつかむこのアウトラインスキルは、これからのグローバル社会を意識した時に、絶対必須のスキルと言えるからです。

 

 

 

こうやって、単語・文・段落というそれぞれの要素が形として整ってくると、自然と全体が「作文」になります。

私自身もそうでしたが、作文が苦手だという場合の多くは、ぼやっとした全体像を追いかけてばかりで、とっかかりが見つからない。雲の中で、あっちに行ったり、こっちに行ったりしたりしているうちに、時間切れ・・・ということが多く、作文はとても曖昧で、勉強しづらいもの、という意識だけが芽生えます。

 

なので、

①テーマを決め、②題材を集め、③単語→文→段落→作文という流れを理解した時、結果として作文という形が目の前に現れる、という意識のシフトが必要だと私は考えます。

これが、私がアメリカに来て、作文はとてもシステマチックで合理的で、それが身につけば、誰でも”Good writer”になれる、と考える理由です。

 

そんなわけで、とりあえずこのシリーズはここまで。

最近は、アメリカの国語教師たちに混ざって、作文教育について勉強しているので、新しいことがわかったら、随時、記事にしていきたいと思います。

 

このシリーズの他の記事はこちらでどうぞ。

 

作文しよう!①テーマを明確にする

作文しよう!②題材を集める

作文しよう!③効果的な表現を使う(前編)

 

アメリカと日本の作文教育の違いについてはこちらの記事でどうぞ→「アメリカの小学校にあって、日本の小学校にないもの」

 

 

 

 

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