“Growth Mindset” とは

こんにちは、Erinaです。

 

一年前にアメリカの教員免許プログラムに入学して、一番最初に聞いた言葉について書いてみたいと思います。

 

“Growth mindset”(=成長のマインドセット)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

これは、スタンフォード大学教授の Carol Dweck(キャロル・ドウェック) が唱えた考えで、人間が新しいことを学習したり、成長する上で必要なマインドセットです。

 

これは何かと言うと、人間は誰しもチャレンジ(試練)に直面します。

仕事での失敗、学校での悪い成績、人間関係でのトラブル。

 

そんな時に、「これは成長する機会だ」と思えるかどうか、というマインドセットのことで、やはりこれがあるかどうかが、その人の人生をより良いものにできるかどうかを決める、というものです。

ドウェック教授は、様々なリサーチの結果、人生は試練や挫折の連続で、その受け止め方の違いは、次の行動に影響を及ぼすと言いました。

 

かなり当たり前のことのように聞こえますが、アメリカの教育者たちがこれをかなり強く唱えているのは、やはりこのマインドセットがあるかどうかというのは、学校という教育現場で欠かせない心理だからです。

難しい問題にぶつかった時、「ちょっと考え方を変えてみよう」とか、「これってどうやったら解決できるか」と思える子どもと、「難しくてできなーい」とか、「こんなの無理」と思う子ども。

 

これまでのような「みんなこの方法で一緒にやるからね」という教育理念から、「さぁ、自分で考えてみよう」になった21世紀。

決められた一つの答えを探すのではなく、自分の手で新しい何かをゼロから作り出さなくてはならないこの時代に、このようなマインドセットは必要不可欠なのです。

 

逆に、”Fixed mindset”(=固まったマインドセット)しか持たない人間は成長できないというもので、例えば、「遺伝」とか「生まれ持っての才能」なんかを気にする人はこちらのマインドセットが強いわけです。「音痴なのは生まれつき」だとか、「数学ができないのは遺伝」、または「私はこの人とは違うんだわ」なんて言葉を使っている場合は、要注意。

 

また、”Fixed mindset” の強い人間は、打たれ弱く、失敗や試練に直面するとそこでやめてしまうという傾向があります。

最近、GATE (Gifted and talented education) program と呼ばれるプログラムの意義が疑問視されているのですが、やはりこのマインドセットを考慮してのことだそうです。

GATE programというのは、知能が年齢平均に比べて高かったり、何かしらの才能がある学生が受け入れられるプログラムで、学年より難しい課題を出されたりします。

しかし、この GATE の学生たちは、「自分は才能がある」とか「自分は特別だ」と周りから植え付けられてきた結果、失敗を恐れて質問ができないとか、通常クラスの子に比べてストレス受容力が低いというリサーチが出てきています。

つまり、良かれと思われていた「特別扱い」が、その学生の成長を阻んだり、打たれ弱い人間を作ってしまっているのでは、というのが最近の疑問であり、GATEプログラムをなくそうという動きもあるほどです。

 

特に、早期の才能発掘や、天才というものをもてはやしてきたアメリカですが、それって長期的に見たときに、その子供にとって良いことなのか?というリバウンドを感じているわけです。日本でもそういう傾向がありますよね。

若いうちに才能を開花させてしまい、バーンアウト(燃え尽き)症候群になって、落ちぶれてしまうとか。

やはり人生長いですから、息長く、着実にステップアップしていける人間を作ろう、というのがやはりこの “Growth mindset” がアメリカで唱えられている理由です。

 

面白い動画を見つけました。

ディズニー映画で、この”Growth mindset”(と”Grit”はアンジェラ・ダックワースという別の教授が唱えたもの)のシーンを集めたものです。

 

 

最初の “Finding Nemo”のシーンは有名ですね。

ドリーが、怖がるマーリンに “Just keep swimming, just keep swimming, swimming, swimming.” と言って、深海に連れていく場面。

この映画では、

  • ドリー = Growth mindset
  • マーリン = Fixed mindset

の象徴のようなものだったので、映画を見た人はこの比較がわかりやすいかもしれません。

 

2つめは、”Ratatouille”で、ネズミのレミーが料理に憧れるという映画。

この作品は、うちの旦那がなぜか大好きで、もうかなりの回数を見ました。

有名なシェフのグストーの言葉、”Anybody can cook.” を聞いてシェフになることを夢見るレミーの冒険とチャレンジの話でした。

 

最後は、”Meet the Robinsons” という発明家ファミリーの映画。

少年の失敗に、”You did it!”, “Outstanding!”と喜ぶ家族たち。

“From failing, you learn. From success, not so much.” (失敗から学ぶことはあるけど、成功から学ぶことはそんなにないわよ)

と、励まし、新しい発明へと導くのです。

 

 

私はやはり、こういう純粋な失敗に寛容なアメリカ文化って良いなと思うし、子どものうちから「勇気」という人間の成長において根本的なものを教えられる学校教育って素晴らしいと思うのです。

自分もそうだったけれど、落ちないように恐る恐る進む綱渡りの教育は、大人も子どもも面白くない。

子どものうちに危ないことを体験し、失敗し、そこから学んだという経験は、大人になってからものすごい財産になるし、他人のことを深く理解する上で絶対的な力を持ちます。

 

だから私は、失敗は成長のチャンスだと教えたいし、他人と自分の失敗に寛容でありたいと思うのです。

 

どうでしょうか。

 

 

 

 

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