子どもは紙とペンが好き

こんにちは、Erinaです。

 

ちょっと周りを見渡してください。

 

手の届く範囲に、「書くもの」はありますか?

つまり、紙とペンなどの筆記用具です。

皆さんが、この記事を読んでいる場所がどこかはわかりませんが、特に家の場合、リビングやキッチンなど、人が集まる場所に書くものはあるでしょうか?

 

最近では、iPadなどのタブレットや、スマホがどんどん便利になり、昔なら携帯していたもの(メモ帳やアドレスブック)を持ち歩くことがなくなりました。それと同時に、ハンドバッグの中から、ボールペンなどの筆記用具も姿を消した、という方も多いかもしれません。

 

しかし、私が自分の子育てや、小中高と、様々な年齢の子どもたちと勉強してきて感じることは、「子どもたちは、今でも紙とペンが大好き」だということ。

そして、これらのツールがぱっと手の届く範囲にいつもあるかどうか、というのは、私たち大人が思う以上に、子どもの成長に影響を及ぼしているのでは?と思うのです。

 

 

たとえば、「今日は3ケタのわり算を教わったよ!」と息子に言われたとします。

私は、自分が教わった筆算のわり算(英語では “Long division”)を想像します。

 

でもそこで、「へー、どうやるの?」と聞いて、見せてもらおうと思った場合、手元に紙とペンがあるかどうかで、その時間を作ろうというハードルの高さが変わってきます。

 

人間は誰でも、自分が教わってワクワクしたことを披露したいですから、息子にとっては、そこでわり算の復習が一回増えるわけです。

そしてもしそこで、日本で教わったような筆算じゃなかった場合、「あら、そんなやり方もあるのね」と自身の知識になっていくし、そういう時間こそが「宿題の時間」だと私は思うのです。

 

 

算数など学校の勉強に直接的に関係していなくても、家族の生活に関係ある物事を書き出して整理したり、やらなきゃいけないことなどを字面にする癖がつきます。週末の予定や習い事のスケジュール、持ち物などを家族で書き出すことで、ミスコミュニケーションなんかも最小限にとどめられるわけです。

こういうことを「いちいち」(←ここ大事)書き出すことで、子どもたちは物事を整理して片付けるマインドセットや、問題解決能力につながるわけですね。

 

また、「頭の中にあるものを、いちいち書き出す」という練習を日常からしている子どもというのは、作文だけでなく、様々な課題で一歩先を進んでいます。

この記事でも書いたように、「言語」というのは、ぼやっとした「アイディア(考え)」を形にして、それに名前をつける能力と役割があるからです。

 

言語を使って、アイディアに名前をつける練習をしている子どもは、与えられた課題や、目の前にある問題に、積極的に取りかかることができるのに比べ、その練習をしていない子どもは、頭の中にある雲のような実体のないアイディアを眺めておしまい。または雲の存在にも気づけないわけです。

私が、作文を教えていて感じることは、この違いはまさに「ゼロか100か」です。真ん中っていません。思いつく子は、どんどん思いつくし、思いつかない子は、自分一人では何も生み出せない。なぜならその違いは、与えられたテーマへの事前知識に関わらず、「考えられるかどうか」という違いだからです。

 

 

前学期に行った教育実習先の中学校は、1-to-1 technologyと呼ばれるシステムになっていて、一人に一台のiPadが与えられていました。生徒は、国語も数学も理科も社会も、iPadを使います。先生によって割合が異なるのですが、 iPad:紙 = 9:1くらいになっているクラスもあるわけです。

私が教えた8年生(日本の中2)のクラスは、 iPad:紙 = 6:4 くらいでしたが、成績が良い子ほど紙を使って勉強したがることに驚きました。「この年齢の子たちにとっては、iPadのほうが良いのかな」と思って用意したものも、「紙が良い」と言われ、「そうなのかー!(先生もだよ、と言いたい気持ちは抑えて)」と新発見だったわけです。

 

特に図形の単元は、もう絶対に紙にしようと思ったし、手を使って鉛筆と紙で何かをやる、というのは、パソコンやiPadでタイプするのとは、脳内で異なる機能をしているそうです。

 

そんなわけで、我が家には「スクラッチペーパートレイ」があり、いらなくなったプリントの裏などを使って(一応そこはエコで)、計算用紙にしたり、何か書き出したいことを書き留めたりできるようにしています。

 

この時代、紙をどんどん使うことって抵抗があるかもしれませんが、「紙ゼロ」という時代は、まだしばらくは来ないんじゃないでしょうか。紙とペンの歴史なんかを調べたら面白そうですが、やっぱり人類の知能って、紙とペンの登場をきっかけに劇的に飛躍しただろうと想像できるし、タッチパッドテクノロジーでも、手書きから得られる心理的な達成感をまだ味わえないですからね。

 

“penmanship” は、日本語だと「書法」とか「筆跡」となりますが、私は単純に、「手書きで書くこと」が良いかなと思います。

これについての面白い TEDトークがあったので紹介します。

“The pen is mightier than the sword”(ペンは剣よりも強し)を心から信じている私にとっては、こういう美的センスを持っている人は素晴らしいと思います。

 

 

 

 

どうでしょうか。

 

 

 

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