アメリカのJury Duty(陪審員義務)
こんにちは、Erinaです。
先日、また行ってきました。
Jury Dutyこと「陪審員義務」。
アメリカでは、市民の責任としてJury Dutyに参加することがあります。
私も2009年から市民なので、Jury Dutyの手紙が来るたびにきちんと出向いています。
しかし、実際に裁判まで到達するのはその中の少数で、毎回ロシアンルーレットのように「来るかなー、来ないでー」という感じでドキドキするのですが、今回はこれまでになく裁判に近いところまで行きましたので、ちょっと書いておこうと思います。
まず、アメリカ市民かどうかに関わらず、Summonと呼ばれる「呼び出し状」が届きます。
これは私が思うに、ソーシャルセキュリティかDMVなどのデータベースを使っているようで、市民以外にも届きます。
私も初めてこれを受け取ったのは留学生時代で、「なんじゃこりゃ?」と思いましたが、ホストマザーに、「裏面の【わたしは市民ではありません】をチェックして返送しなさい」と言われてそうしました。
裏面には、「参加しなくても良い理由」のリストがあり、自分がそれらに当てはまる場合は、該当項目をチェックして送り返します。
私の場合、「参加できない理由」はないので、とりあえず指定した日時に裁判所に向かいます。
朝8時に Jury Lounge と呼ばれる陪審員の待合室に入ると、だいたい200人くらいが座っています。
みんな眠そう。
フロントでバッジにするプラスティックの名札と鉛筆を受け取り、座っていると、8時15分くらいに天井からぶら下がっているテレビモニターで「Jury Dutyの素晴らしさ」を伝えるビデオが流されます。
それが終わると担当者が入ってきて、ジョークを交えて「今日はきてくれてありがとうございます」を伝え、全員からSummonsを集めます。これがこの日に出席した証になるのです。
しかし典型的な裁判に参加するとなると3〜7日ほど出席しなくてはなりません。実は私はこの週に大事な用事があり、もし選ばれちゃったら出席できないわ・・・という状態でした。
その場合、再スケジュールすることになります。
受付に戻って事情を説明すると、「じゃあ一応、この日付で再スケジュールしておきますが、前後2週間以内なら、いつ来ても良いです」と言われました。
そんなわけで数週間後、また朝8時に出向くと、大体9時半〜10時頃に最初の呼び出しが。
ここでは50人くらいが呼び出され、上階の裁判室Aに向かいます。このグループには呼び出されることはなく、セーフ。
その後、11時頃に2度目の呼び出しがあり、ここでなんと私も呼び出されてしまい、裁判室Bに向かうことに。
裁判室前の廊下に呼び出された50人がおもむろに立っていると、中から別の担当者が入ってきて、点呼を取ります。全員いるとわかると、本名ではなくてJury Number(陪審員番号)を与えられ、順番に裁判室に入ります。
私は29番。
裁判室に入ると、ずらっと席が並んでいて、”jury bailiff” と呼ばれる警察じゃないけど裁判室の警備などにあたる人が「あなたはこの席に座ってください」とJury numberごとに着席させていきます。
この順番は実はかなり重要で、番号が前の方がやはり陪審員に選ばれる可能性が高いわけです。
そして全員が席に着くと、裁判官1名と、今回の裁判の被疑者、担当弁護士、検事などが入ってきて、ケースの説明を簡単にします。
それを元に、今回はJury 達が質問をされます。
ここで選ばれた50名は、”Jury panel” と呼ばれ、実際の裁判に参加するかどうか「選ばれる」わけです。つまり、弁護士と検事が、「この人になら自分のケースの陪審員になってほしい」と決めるわけです。
そこで最初の28名には、簡単なバックグラウンドに関する質問をしていきます。
- 家族構成
- 仕事
- 法律に関わる親戚の有無
- このケースを公正に見ることができるかどうか
などです。
私は29番目だったので、超ギリギリ!
29番目以降は、「たぶん選ばれないだろうから、参加はしなくて良いけど、でも念のため、ちょっと待ってて」という補欠組。つまり私は補欠組のトップバッターだったわけです。すごいビミョーな位置。
そんなわけで、(全然知らない)28人の家族構成やら仕事やらを聞き(←もちろん居眠りしそうなくらいつまらない)、それが終わると、裁判官・弁護士・検事の3人は部屋を出て、何やら相談をしに行きました。
数分後に戻ってくると、今度は弁護士と検事が交代に1〜28番に質問をしていきます。
「さっき、旦那さんが弁護士をしていると言ったけど、Criminal(刑事)ですか?それとも Civil(民事)ですか?」
「さっき、○○という犯罪の被害にあったと言ってたけど、どんな結果になりましたか?」
などなど。
それらの質問を元に、「この人はこのケースで、自分たちにとって不利になるな」と思ったら、パネルから外していくわけです。
それが終わると、まずは裁判官が、不適切だと思う陪審員をパネルから外していきます。
たとえば、児童虐待のケースで、私自身の場合は、被害者である子どもに感情移入してしまい、フェアなジャッジメントができなさそうだな・・・となると、外されるわけです。
“Jury #2, you are excused.”
と言われると、2番の人は裁判室から退出し、3番以降の人が席をずれていきます。
それが終わると、今度は弁護士・検事が、不適切だと思う陪審員をパネルから外していきます。
“Jury #5, you are excused.”
“Jury #7, you are excused.”
・・・・と番号がかなり詰まっている部分もあり、どんどん人が減っていきます。
最終的に陪審員になるのは12人。
私の前にいるのは28人。
つまり、17人以上外された場合、トップパッターの私が残る可能性もあるわけです。
これだけいれば大丈夫でしょ〜。
と呑気に見ていたのもつかの間、あっという間にパネルの半分がいなくなりました。
“Jury #25, you are excused.”
いや、もうそれ以上、外さないで!!
と思った瞬間、最後の一人が決定。
27番と28番が補欠として残ることになりました。
「29番以降の方は退出してオーケーです。ありがとうございました。」
うわー!よかったー・・・。
エレベーターの中で、30番の女の子と、「すごいギリギリだったね」と言いながら、無事帰宅。
とりあえず1年間は呼ばれることなく、無事に義務を果たしたわけです。
私はカナダにいますが市民権は取っていないので、jury dutyに呼び出されることはありません。テレビで見て興味があって(勿論カッコいいように演出してあるんでしょうけど)やってみたいのですが。市民権は弁護士になる必要条件ではないんですけどねぇ。