チャーター校と公立校の違い

こんにちは、Erinaです。

 

アメリカには、”charter school”(チャータースクール)と呼ばれる学校があります。

“public school”(パブリックスクール)いわゆる「公立校」とは少し異なって扱われることが多いこのチャータースクールについて、今日は書いてみたいと思います。

 

 

「チャータースクール」という言葉を聞いて、どんなことを思いつくでしょうか。

 

公立校とはちょっと違う、でもどう違うのか具体的にはよくわからない。

何か特殊なことをやる学校?

でもプライベートスクール(私立校)とは違うんでしょ?

 

などなど、はっきり言って謎が多い、というのがチャータースクールの印象かもしれません。

 

私も実際にチャータースクールの中に入ってみて、運営スタイルやカリキュラムなど深く知って初めて「あー、違いってそういうことか」と見えてきたので、その発見を紹介します。

 

まず、「チャーター」という言葉は、英語で “charter” で、権威を譲るとかそういう意味があります。バスをチャーターする、飛行機をチャーターするというのもおそらくそこから来ていて、乗り物運転などの権威をプライベートパーティに譲るということだと思います。

 

じゃあ学校ではどういうことかというと、学校という教育の権威を、州や郡ではなく、プライベート団体などに譲るということです。

しかし教育の資金は州や郡などの政府から受けているため、ある程度のルールや水準を満たさなくてはなりません。

 

チャーターのレベルは

 

ディストリクト(日本でいう教育委員会)

カウンティ(郡)

ステート(州)

ナショナル(国)

 

と上がっていきますが、この違いが学校運営に現れることはほとんどありません。ナショナルだからと言って、名前が全国区!というわけではないそうです。

 

“State-chartered school”

“County-chartered school” 

 

なんていうのは、ここから来ています。

 

では、実際に生徒の視点でチャータースクールはどんなところか。

 

 

ユニークなカリキュラム

 

ほとんどのチャータースクールは、「売り」にする何かがあり、伝統的なパブリックスクールとは一線を画すため、チャーターになったところが多いです。

 

たとえば、サンディエゴで有名なのは High Tech High (HTH)。

15年くらい前に創立し、当時は新しかったプロジェクトベースラーニング (PBL) を前面に出すというのが売りでした。(プロジェクトベースについてはこちらの記事でも書いています

このプロジェクトベースというカリキュラムは話題になり、今では小学校から高校まで広がることになりました。

 

うちの学校はその名の通り、ヘルスサイエンス、つまり医療系に特化したチャータースクールで、9年生から全員が週一でインターンをするカリキュラムです。

学校創立当時、Sharp Hospital と共同で創設したため、学生のほとんどがサンディエゴ市内にあるシャープの病院に行き、受付からフィジカルセラピー、産婦人科やCTなど様々な科でインターンの経験をします。

今ではインターンの幅も広がり、ファイヤーアカデミー(消防学校)、ビジネス、教育などの選択肢もあります。

 

知人が働くチャーター校は、ヘブライ語を第二言語とするカリキュラムから始まり、現在は多様な外国語でイマージョンクラスをオファーしています。

 

・・・などなど、

 

それぞれの学校には創立目的に基づいたカリキュラムが組み込まれていて、「こういう教育を受けたい!」という希望とマッチしていた場合は最高の場所だと言えるでしょう。

 

やはりこういうユニークなことをパブリックスクールでやるとなると、なかなか大変で実現は難しいからです。

 

 

学費

 

チャータースクールの学費は無料です。

カウンティなり州なり政府からの資金で運営しているので、私立校のような学費はありません。

 

 

コモンコアスタンダード

 

2010年くらいから州によって取り入れられているコモンコアですが、カリフォルニアでは全てのチャーター校はこれに従わなければなりません。

つまり、どんなにユニークなカリキュラムであれ、「9年生数学では一次関数と三角形合同を学ばなければならない」とかそういう基準がきちんとあります。

 

なので、チャーター校に行ったからと言って、公立校とは全く違う種類の何か特別な数学をやるということはほとんどありません。

違いは「その内容をどう教えるか」というところだからです。

 

 

ではでは、内部から見たチャータースクールはどんなところか。

 

 

ユニオン(労働組合)がない(ところが多い)

 

つまり、先生たちはユニオンで守られていないので、「来週から来なくていいよ」ということが起こります。先生の立場が弱いわけです。

なので、ターンオーバーと呼ばれる教員の入れ替わりも激しく、一年のうちに先生が何度か変わった・・・なんてことも。

教員の立場から考えると、学校やアドミン(校長や教頭や中間管理職)と相性が良ければ良いのだけれど、そうじゃない場合はフットワーク良く、次に行こう!となることが多いですね。

 

 

新しいことができる

 

逆に、先生たちにとって良い部分とは、従来の公立校ではできなかったような新しい取り組みがどんどんできるということ。新しいカリキュラムや授業作り、イベントなど、学校という教育現場でリアルな実験(というと聞こえはアレだけど)ができる。

 

特に私は、誰かが作った教材を使って数学を教えるのが嫌いなので(笑)、自分の教え方を作り上げたい。毎週末、教材作りに追われているけれど、一年目にこれだけ投資しておけば、将来的に同じ授業をする時に使えるわけで。

「これはこう教えたら伝わらなかったな。明日はこうやってみよう」とか、別のスタッフのインプットを元に授業作りをしたり、毎日がブレインストーミング。こういうことができるのはやはりチャーターだなと思います。

 

 

・・・というのがチャータースクールの主な特徴です。

 

教育実習を合わせて、2校のチャータースクールを見てきましたが、この2校にも大きな違いがあり、「うちはこういう理由でチャーターです」というのを聞くとなるほどなぁという感じです。

 

どうでしょうか。

 

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