
チャプターブックを読もう
こんにちは、Erinaです。
しばらく前のことですが、”Teacher’s Conference”と呼ばれる、学期末の面談に行ってきました。
私にとってわからないことばかりのアメリカの学校システムでは、こうやって先生の生の声を聞ける機会は貴重であり、あっという間に過ぎていく子供たちとの毎日を、どうやって過ごしていくべきかを考えることができます。
今回は、我が家の子供たちが”Reading”の課題として読んでいる本と、それに追随する先生からのコメントを紹介してみたいと思います。同年代のお子さんがいる家庭の参考になれば幸いです。
もう一度繰り返しておくと、我が家の子供たちは
長男(1st Grade・6歳半)
長女(Transitional Kindergarten・5歳)
の二人で、同じ小学校に通っています。数年前から取り入れられたCommon Core Standards(コモン・コアスタンダード)は、わが学校でも積極的に取り入れられているようです。
そしてもう一つ、前提として書いておくと、我が家は教育熱心ではありますが、それは良い大学に入るためという学歴重視ではなく、この成長過程でこれはやっておこうね、という広義での教育です。
自力で博士号をとったうちの旦那も、「大学なんて行きたくなければ行かなくても良い」と言いますし、私も「他にやりたいことがあるなら、それは大学じゃなくても良い。その代わり自分の選択肢に責任を持つべき」と思っている、自主性重視です。
さて、話は戻り。
うちの小学校では、日本の小学校のような「教科書」というものは使われていなく、「国語」にあたる読書は一般の児童書を使っているようです。
アメリカの宿題でポピュラーな”Reading”というのは、一日15分~30分(時間は学年や先生によります)を目安に、図書館から借りた本や自分の本を読みましょう、というものです。
幸いにも、うちの子供たちは本が大好きで、一年生の長男は、昨年のキンダーに入ってから、急に読書ができるようになりました。
今年は絵本から「チャプターブック(Chapter Book)」と呼ばれる、絵のない本、日本の児童小説のようなものを読み始めました。それぞれの作品は、いくつかのチャプター(章)があることからこう呼ばれます。
そういえば、私も読んでたよな~・・・ってか、アメリカだと何を読むんだろう?
やはり自分が育った本を、子育てに使えるか使えないかってけっこう私の中で大きいです。日本では、岩波少年とか青い鳥文庫とかありましたよね。私も本が好きだったので、当時はクレヨン王国シリーズとかを読んでいました。
そんな中、うちよりちょっと年上の子供二人を持つ同僚・ミシェルが、職場にもう読まなくなった児童書を持ってきました。
私:「おぉ~!ありがたい!他に誰もいらないなら、全部もらっても良い?」
ミシェル:「もちろん!」
その中にあったのは、”Junie B”(ジュニー・B)シリーズ。
アメリカらしく、雑な紙に印刷された小さい本です。
「へぇ。タイトルも”First Grader”だし、長男にちょうど良いかも。」
と持って帰ると、
「あ!Junie B だ!どうしたの?それ、僕の?」
と喜び、教室にこのシリーズがあること、毎日このシリーズを読んでいることを教えてくれました。
私も内容が気になるのでさらっと読んでみました。
内容は、やんちゃな小学一年生の女の子Junie Bがアメリカの年間行事においてなんやかんや・・・というストーリー。
「こういうのが読まれるのか・・・。」と、大人になってしまっては特に際立った感想も持てず。(苦笑)
その後、息子の興味は”Magic Tree House”(マジックツリーハウス)シリーズに移行したらしく、学校の図書館から借りてきたものを一冊、家で読むことになりました。
これも何十冊とあるシリーズもので、あっさりと読んでみたところ、ジャックとアニーは不思議なツリーハウスを見つけ、そこで魔法の本を開くと、歴史上の色々な時代に行けて、冒険する、というような内容。
息子が借りてきたのは、クロマニヨン人が洞窟で生活している氷河時代・・・みたいな感じでした。
「ふ~ん・・・こういうのが好きなのか。」
小学生以来、ファンタジー系は全く読まない私にとってはちょっと新鮮。
聞いていると、わりとスラスラと難しい単語も読んでいる息子。「はい、今日の分は終わり!」とあっさりと本を置いた彼に、旦那が、こう聞きました。
旦那:「で、どんなことが書いてあったの?」
息子:「え?」
旦那:「本の内容だよ。今読んだチャプター、どんなストーリーだった?」
息子:「・・・・・・え~っと・・・・・。」
言葉に詰まる息子君。
旦那:「単語を読むだけじゃダメなんだよ。内容を理解しないと。」
ふ~ん・・・じゃあどうしたら良いの?という顔をしている息子に、私が助け舟を出します。
私:「最初のチャプターだけ、もう一回読んでみてよ。今度は、読みながら内容も頭に入れるんだよ。」
息子:「オーケー。」
—–読書中—–
私:「じゃあ、このストーリーには誰が出てくるの?」
息子:「ジャックとアニー。」
私:「この二人はどういう関係?」
息子:「ブラザーとシスター。」
私:「うん。じゃあ舞台はどこ?」
息子:「最初はマジックツリーハウスで、氷河期の洞窟に行くよ。そこでクロマニヨン人の服を発見して・・・・。」
・・・・・という感じで、今回は内容もきちんと把握していたようでした。
旦那:「今度からはさ、1パラグラフ(一段落)でも読んだら、『どんなことが書いてあったのかな?』って自分の言葉で表現するんだよ。一文でもいいから、書いてみてもいいし。」
息子:「パラグラフって何?」
旦那:「同じ内容を表現している、文章の塊だよ。たいてい、『インデント』って言って、ちょっと下がって文が始まるのがパラグラフ。」
息子:「オーケー、わかった。」
それ以来、読書をしている息子には、切れの良いところで「で、なんて書いてあった?」と内容を要約してもらうようにしました。
思えば、私の渡米直後のESLの宿題にもこんなのがありました。
「毎週、雑誌や新聞の記事を一つ、自分で選んで読んで、それを3 sentencesで要約しなさい。」(この記事で紹介しています)
というものでした。つまり、その記事に何が書かれているかを、自分の言葉で短く(3文で)まとめるという練習です。
最初はなかなか3文にならなかったし、どこを削ればよいのかわからなかったものの、学期の終わりには、これは私のお気に入りの宿題になり、今でも様々なシーンで応用しています。
後になってわかったのですが、このスキルはアメリカでは重要で、物事の本質と全体像を短時間で把握し、的確な言葉を選んでプレゼンするという練習になります。ビジネスシーンでのコミュニケーションを勉強している方、ちょっと練習してみてください。
話を戻し、ここで、担任とのカンファレンス。
担任:「最近の息子君のリーディングはどうですか?」
私:「えぇ、Magic Tree Houseが好きみたいですね。」
担任:「そうですね、あれは歴史上の実名とかも出てくるし、単なる作り話じゃないからオススメです。レベルとしては一学年上なんですよ。」
私:「あぁ、そうなんですか。スラスラと読んでますが、先日、彼が読み終えた後にこんな質問をしたんです。『今の部分、どんな内容だった?』って。そしたら、最初は全く頭に入ってなかったみたいで。それを今、練習しています。」
担任:「そうですね、Common Core Standardsでも、新しいカリキュラムはそこです。読んだ内容を把握し、それを自分の言葉で要約するのはCiritical Thinkingの基本ですから。」
私:「わかりました。じゃあ続けますね。」
うちの息子は、何でも一番になりたいがために、スピードは速いものの、結果が雑。笑
リーディングでも、大事なのは速く読み終えることではなくて、内容に対してgood thinking, good wordsを備えること。
それが当面の彼の課題になりそうです。
学年別のオススメチャプターブックのリストはこちら。
家族で読むなら、Magic Tree House 1-28巻のボックスセットはおすすめです!