アメリカのキンダーガーテンの算数
こんにちは、Erinaです。
今年、娘はキンダーガーテンだったわけですが、その学年もそろそろ終わりを迎えています。
そんなわけで、この一年を見渡して、結果としてどんなことを学んできたか、この学年が期待されているものを書いてみたいと思います。算数に絞ります。
まず、キンダーガーテンは小学校の最初の年で、プリスクールから来る子もいれば、初めて親と離れる子もいます。
そういう意味で、
- 学校という場所に慣れる
- 先生という存在を知る
- 共通ルールのもとで生活する
といういわば集団行動のいろはから始めなくてはなりません。
1歳半からデイケア・プリスクールに通い、去年は同じキャンパス内でTK (Transitional Kindergarten) にも通ったうちの娘は、そういう意味では「プロ」で(笑)、朝から「泣いたらどうしよう・・・」とか「ちゃんと学校に行けるんだろうか・・・」という不安は全くなく、親としてかなり楽だったと思います。
つまり、そういう心の余裕が(親子ともに)あったので、算数や英語などアカデミックなものが入り込む隙間がきちんと用意されていたし、かなり効率よく楽しい学年だったように思えます。(まぁキンダーは楽しいよね)
そんな中で、算数という概念が入り込んできたわけですが、私が彼女の一年を見て、キンダー算数で大事なものは3つ。
- 数という概念
- Ten Frame
- Doubles
最初の概念的なものは「こうですよ」と書くのが難しいので、まずはその下の2つを紹介します。それを読んでもらうと、「あぁ、そういうことね」とわかってもらえると思うので。
まず、カリフォルニア州が決めたキンダーガーテン算数の目標は以下の通り。
Counting and Cardinality
- Know number names and the count sequence.
- Count to tell the number of objects.
- Compare
Operations and Algebraic Thinking
- Understand addition as putting together and adding to, and understand subtraction as taking apart and taking from.
Number and Operations in Base Ten
- Work with numbers 11–19 to gain foundations for place value.
Measurement and Data
- Describe and compare measurable attributes.
- Classify objects and count the number of objects in categories.
Geometry
- Identify and describe shapes.
- Analyze, compare, create, and compose shapes.
ふむふむ、大雑把に言えば、「数」というものに慣れる、という感じですね。
100まで数えられて、足し算をしたら増え、引き算をしたら減る、という数字と実生活の関係を築く、みたいな感じでしょうか。
Ten Frame
そんな中で、私が「おぉ、これは新しいな」というのが”Ten Frame”(テン・フレーム)。いや、やったのかなぁ、自分も。覚えてないや。
こういう10のマスのことで、プラスチックのカウンターを使います。あの、100個ある小さいブロックみたいなものです。
どういうことをやるかというと、「10を作るには、どうしたら良いか?」という練習。
たとえば、7つカウンターを並べます。
すると、3つ空白があります。
「あ、7から10を作るには、あと3必要だな」となるわけです。
うちの娘はかなりビジュアルで算数をやる子なので、このテンフレームが大好きのようでした。
テンフレームを2つ以上使ってみて、10以上の数字の組み合わせをやってみたり、パズルみたいですね。
加えて、娘のクラスでやっていたのは、「今日は8日です。じゃあ8を作るにはどうしたら良いですか?」と先生が質問。
ある子は「4と4」と言い、ある子は「2と6」と言う。「1と7」かもしれないし、「8と0」でもオーケー。
4 + 4 = 8
という一つしかない答えを探すのではなく、「そこにたどり着くあらゆる手段」をみんなで考えるという教育で、なるほど、逆転の発想だなぁと思いました。
テンフレームを使うことで、一つの数を作るには色々な組み合わせがあること、10という単位で考えるということを学ぶようです。
Doubles
これは私自身、日本でやった記憶がないのですが、
1+1=2
2+2=4
3+3=6
4+4=8
5+5=10
・・・というのをなぜかしつこく教わっています。つまり、同じ数字の「ペア」を覚える。
かけざん(2の段)につなげるためなのか?と思っていたのですが、それだけではないようで。
4+4=8を知っていると、4+5になったときに、4から5に1増えたから、答えも1増えて9になる・・・というのを2年生の息子がやっていました。
なるほどね~・・・・。
等式の右辺と左辺が等しい・・・っていうのを教えたいのかしら。それを頭の中でやるのは逆に難しいような・・・。
・・・と、こういうことを学ぶことで、「数 (Number)」という概念を学びます。
足し算や引き算という計算ができるかどうか、というよりも、数式⇔日常言語(英語)という互換性を学ぶわけですね。
後々も書くと思いますが、算数・数学には2つのパートがあります。
それは
- 計算
- 言語の互換
です。
計算は、3+6=ができるということ。
言語の互換は、「目の前に起こっていることを数式で表す」ということ。
後者のほうが断然難しくて、算数や数学につまずく場合は、ここでつまずく人が多いわけです。私もそうでした。
言語の互換をするには、数学的分析力が必要になり、それは計算を数多くこなすだけでは身につかず、自分で考えるというトレーニングが必要になります。
そんなわけで、計算重視ではなく、目と手を使った思考重視のテンフレームやdoublesというトピックがカバーされているようで、面白いなぁと思った今年の算数でした。