
飛び級?それとも一年遅らせる?
こんにちは、Erinaです。
アメリカの学校にある「スキップ」という制度。
これは学年の飛び級のことをさします。
たとえば、「この子は1年生で習う内容をすでに理解しているから、キンダーから2年生にスキップさせましょう」というのが親と学校の同意で決まったりするわけです。
一昔前は「賢い子はスキップする」なんていう風潮もあり、親としては子どもをスキップさせることが一つのステータスのような動きもありました。
これはやはり、当時の教育が詰め込み方式で、早ければ早いほど良いという考えが広まっていたからだと思います。
しかしここ最近は、そういう子ども(というか親も)あまり聞かず、「子ども一人ひとりに合わせた教育」を広めることに力を入れている気がします。
その結果が、Special Educationなどの特別カリキュラムの普及や、コモン・コアなどの新しいカリキュラムに反映されているというのが、現在アメリカで子育て中の私の見解です。
うちの娘が2歳のとき。
初めてのプリスクールにも慣れてきたところへ、園長が私にこう言いました。
「娘ちゃんを、そろそろ上の学年に移そうと思うんだけど、どう思う?」
私はこう答えました。
私:「園長先生がそう思うなら良いですけど・・・でも、あまり急かしたくないんですよ。(笑)」
園長:「そうなの?」
私:「えぇ。ゆっくり成長して欲しいなぁって。」
園長:「エリナ。私、この仕事を30年しているけど、そう言ったのはあなたが初めてよ。」
私:「そうなんですか?」
園長:「そうよ!逆のことを言う親はたくさんいるけどね。」
私:「どういうことですか?」
園長:「2歳なのに4歳のクラスに入れろとか、うちの子はもっと難しいことをやるべきだとか・・・・。」
私:「あ~なるほど・・・。でもうちには息子もいるし、年上の子からの影響は十分にありますから。娘には娘のペースで成長して欲しいなと思います。」
園長:「本当にそうなのよね・・・。」
私:「でも、園長先生が上のクラスでも大丈夫って言うなら、信じますよ。」
私がこう思ったのは、やはり子どもの成長はとても早く、過ぎてしまった時間は戻らないということを実感していたからでした。
上の息子のときは、新しくできることが楽しみで「もっと頑張れ!」というプレッシャーもきっとかけていたのだと思います。
下の娘のときは、「これが最後か・・・」と思うと、「もっとのんびりしても良いのに」なんて思ってしまうものでした。
だからなおさら、娘がプリスクールで進級するというのは、親にとって、時間を巻き戻せないという証明であり、寂しく思ったのです。
だから、子どもを急かしたい親の気持ちもわかるけど、やっぱり子どもには自分のタイミングで成長して欲しいと思うし、どうせいつか社会の荒波にもまれるなら、子どもでいられる時間は子どもらしくいてほしいなと思うのです。
現在、もうすぐキンダーを終えようとしているうちの娘。
リーディングは2~3年生のものを読み、算数はかけざんもできるようになりました。
「1年生をスキップさせても良い」という旦那と、「いや、スキップはしない」という私。
それは、アカデミックなことだけでなく、すでにできた友達と一緒に進級・進学することや、リーダーシップを身につけること、他人を助けたり教えたりすることなど、学校生活でのそういう側面も経験して欲しいと思うからです。(加えて、せっかく税金を払っているのに、一年減らすとはもったいない。笑)
これらは
Emotional growth(情緒の成長)
Social growth(社会性の成長)
を合体させて、Socioemotional growth(社会性情緒の成長)
と呼ばれます。
つまり、個人としてだけでなく、社会の中での行動や反応をコントロールする情緒の発達という意味です。(詳しいことは発達心理学などを調べてください)
その子どもにとってどの学年が適正かというのは、アカデミックな成長 (Intellectual growth/Academic growth)だけでなく、人間としての成熟度もものさしに使われる時代になった、つまり、「勉強だけできてもダメ」ってことですね。
アメリカでは中学高校時代での校外ボランティア活動は「必須」だそうで、これも「学校の勉強だけじゃないオールラウンドな人間になりなさい」という考えが根底にあるようです。
こういう考え方が広まっている現代、自分の子どもをあえて一年遅らせて小学校に入学させる親が増えています。
アメリカでは9月から次の年の8月生まれを同じ学年としています。
日本では4月から次の年の3月生まれを同じ学年としているのと同じことです。
つまり、6~8月生まれの子は学年内で「若いグループ」に入るわけです。日本でいう「早生まれ」の1月~3月生まれの子達ですね。
この夏生まれの子どもを持つ親たちが、小学校入学を一年待ち、次の学年に入れるケースが想像以上に多いんですね。
つまり日本だと、早生まれの子ども達を、同じ年の4月以降生まれの子ども達と一緒に入学させるということになります。(うちの息子は3月31日生まれなので、日本にいたらそうお願いしていたかもしれません。そんなことできるのかどうかは知りませんが。)
特にここアメリカでは、外国人家庭で家では多言語環境だとか、あまりアカデミックなことをプッシュしてこなかっただとか、末っ子なのでリーダーシップを身につけさせたいという様々な理由で、入学を一年遅らせる家庭が多いようです。
これは”Redshirting”と呼ばれるそうで、言葉の由来は大学スポーツ用語から来ているそうです。
実はうちの息子のクラスにもこの流れで入学した男の子が二人います。
この二人を見るたびに「(周りの子と比べて)体が大きいなぁ」と常々思っていたのですが、息子が「あの二人は夏生まれ」と教えてくれました。
彼らは今いる学年で友達に囲まれ、上手に学校生活を送っているようです。
入学を一年遅らせたことで、「彼らには問題がある」なんて考える人は誰もいません。むしろ、きちんと自分の子どもの成長やニーズと向き合って、それをサポートしている素晴らしい親だと思われるでしょう。
こういうフレキシブルな教育スタイルや、それを受け入れられる感覚というのは、個人的には素晴らしいと思うし、親が子どものことを観察・理解して、リーズナブルに動けば動くほど、アメリカのシステムは響いてくれるんだなと実感しています。
そのためには、親である私たちが子どもにとって何がベストかを決断しなくてはならないし、情報を集めることや、周りと比べることなく、目の前にいる子どもと時間を過ごすことって大事だなと思うのです。
どうでしょうか。