子どもを算数・数学嫌いにしないために(前編)

こんにちは、Erinaです。

 

メディアで話題になっている、ある算数の問題。

小学3年生の小数の足し算の問題です。

 

3.9 + 5.1 = 9.0

 

と答えたら、先生にバツをもらったというもの。

この採点した先生によると、正解は「9.0 」ではなくて、「9」でなければならないそうで、小数点以下がゼロの場合、それを消さなくてはならないそうです。

そうかー、自分の時もそんなんだったっけ?と遠い昔のことを思い出そうとしましたが、さっぱり思い出せませんでした。つまりは、そんな程度の問題ってことです。

 

しかし、渦中の子どもにとっては一大事だろうし、周りもこの採点が論議となっているようで、

 

「この採点はひどい!」という反対派

「言われた通りにやるべきだ!」という賛成派

 

に分かれているようです。

 

私も同学年の子どもを持つ母として、そして数学教師志望として、ちょっと考えてみることにしました。

 

結果、私が考える、子どもを算数・数学嫌いにしないために、親が考えておくこと、できることは、

 

  • 教育のイデオロギーの違い
  • 算数の中の国語力
  • 考えるための会話

 

の三つ。

 

それぞれに、前編と後編に分けて紹介してみます。

 

 

教育のイデオロギーの違い

 

そもそも、「教育」というのはその国やコミュニティの価値観を反映させたものであり、日本の公立教育は日本という国の価値観が、そして、アメリカの公立教育はアメリカという国の価値観が反映されています。

極端な言い方をすると、その場所での教育というのは、「学問的に正しいかどうか」ということよりも、「この国を運営する人材を育てるために適切かどうか」ということを念頭に置いてデザインされているわけです。(大学以降は教育というよりも、学問としての研究になります)

 

私がこの先の10年間、つまりはうちの子供達が高校までの教育をアメリカで受けている間、自分自身も教師としてアメリカのパブリックスクールに身を置こうと思ったのは、こういうアメリカ社会におけるイデオロギーを理解するため、という目的もありました。

 

だから、今回の小数の足し算問題の採点も、

 

「数学的に正しいかどうか」

 

という判断ではなく、

 

「ルール(先生の指示)に従えるかどうか」

 

という日本の教育方針に基づいているわけですね。

 

この部分だけ引っ張り出して考えてみると、私の意見は「まぁ仕方ない」。

それは、親自身が100%の教育を子どもに与えない限り、外部の思惑が入ってくるのは仕方のないことだし、国の運営(=納税者を増やす)があるからこそ、国民として生活できるわけで。

 

アメリカでも、最近のコモンコアと呼ばれる新しいカリキュラムが導入されたり、ITを積極的に導入したプログラムが増えています。しかし、そこに疑問が生まれる部分もあったり、学校や先生がその準備ができていない、ということも起こっています。

そういう要素もすべて引っくるめて、「これが現在のアメリカの教育」という見方をした時、この国の現在の立ち位置や方向性が見えてくるものだし、それを変えようとすることは、この国の価値観を変えようということなのです。

 

だからつまり、問題になっている小数の足し算問題も、「じゃあ、9.0でも正解ってことにしよう」なんていう表面的な修正が必要なのではなく、それが「現在の日本のあり方」であり、「日本国家が考える、将来の人材育成とはこういうものだ」ってことを教えてくれているのではないでしょうか。

 

それが間違っているとか、正しいということではなく、日本で生まれ育って受ける教育と、アメリカで生まれ育って受ける教育の違いはそこにあるということを、親として知っているべきなのでしょう。

 

た だ し

 

子どもに学問としての数学を教えたいなら、やはりそれは親がやらなきゃいけないでしょうね。

 

「先生は、ルールを教えるためにバツにしたのよ。でもね、数学的に考えると、どっちでも良いのよ」

 

とか、

 

「高校で習う有効数字っていう意味では、あなたの答えが正解なのよ。で、有効数字っていうのはね・・・」

 

と教えられると、やはり子どもも納得できる。

というか、私がそういう子どもだったので(笑)、「良いから、言われた通りにしなさい」という説明が一番嫌いでした。(爆笑)

 

そういう意味で、私は、自分が数学をやってて良かったなぁと一番強く思った瞬間というのは、大学卒業時に就職が決まった時ではなく、最近になって、自分の子どもに学問としての数学を教えられる時なのでした。

まぁうちの子供達が将来的に数学を勉強するかどうかはわからないけど、「先生の言う通りにするのが数学」と信じ込むよりは、こうやって納得させてくれる大人が周りにいたほうが、算数や数学を身近に感じられるんじゃないかなと思っています。

 

つまり、自分の子どもを守るのは、最終的には親である自分しかいない、ってわけですね。

 

 

残りの二点については、後編で書いてみます

 

 

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