脱サラ母の数学教師への道 (7) 久しぶりの学校は楽しい!
こんにちは、Erinaです。
大学での授業が始まって1ヶ月。
前回の記事で書いたように、母親が学生復帰するには、それまでに考えたことのなかったようなハードルを超えなければなりませんでした。
それでも、そういうことを乗り越えて教室に入ると、年齢に関係なく他の学生達と机を並べ、一学生として勉強にとりかかります。
何かを学ぶというのは、こんなに楽しいことだったのか!という再発見と同時に、社会人経験や母親経験が、教育の勉強にこれほど役立つとは思わず驚いているところでもあります。
学校の勉強も、100%真新しいことはほとんどなく、これまで感覚的に「きっとこうなんだろうな」と思っていたことを、アカデミックな言葉で確証することになったり、先生の口から聞くことになったり、「やっぱりそうだよね」と再確認するスタイル。きっと、大学卒業したばかりの学生や、若い学生達にとっては、新しく知ることもたくさんあるのでしょう。
だから、毎週のリーディングが200ページ以上あろうと、学生時代だった頃に比べて、それほど時間もかかりません。
こうやって、社会に出た経験や、母親である経験が、学生として有利になるとは思ってもみなかったし、そういう経験がプラスに働く社会は、キャリアチェンジをする上で支えになっています。
私のいるプログラムは、これから1年半かけて中学・高校での科目別教員免許を取得するグループ。30人ほどいるのですが、科目ごとのクラス以外はみんなで同じ授業をとる、いわば「戦友」です。
統計を紹介すると、30人中・・・
- 英語 13人くらい
- 社会 12人くらい
- 理科 3人
- 数学 2人
とやはり数学教師の志望は圧倒的に少ない。「数学の先生が足りない!」と嘆く声が聞こえるのも納得です。
男女比は半々くらいですが、小学校の教員免許プログラムに行くと、95%くらい女性ですね。
年齢は
- 20代 15人くらい
- 30代 10人くらい
- 40代以上 5人くらい
人種は
- 白人 20人くらい
- 黒人系 2人
- メキシコ系アメリカ人 5人
- 韓国系アメリカ人 1人
- インド人 1人
- 日本人 1人(←私)
今学期の授業は4クラス。
水曜日:
4:00-6:30 数学教育論 (Teaching Method: Math)
7:00-9:30 フィールドワーク&一般教育論
木曜日:
4:00-6:30 社会教育論 (Social aspects of education)
7:00-9:30 第二言語教育論 (ELD/SDAIE Method)
となっていて、毎週、宿題でどっさり読んで、それをまとめて、授業ではディスカッションに参加というスタイルがメインです。
数学教育論は、分数のわり算の教え方をみんなで話し合ったり、コモンコアカリキュラムをどうやって取り入れるかとか、代数学の根本は何かとか、数学を別の視点から捉えるので面白いです。ただ、大学で実際に数学を勉強してきていない人の多さにびっくり。いやぁ、これで数学教師になれるのか・・・と失笑することも多々あります。
社会教育論は、政治学的、心理学的、経済学的、歴史学的な視点から公立教育というものを捉えて、みんなでディスカッションします。人種差別とか経済格差、政治など、あまりオープンに話されないことやタブーもどんどん議題に上がり、アメリカ人学生達でも「ちょっとこれは・・・」と腰がひける場面も。先生はとても穏やかな人ですが、お互いへの礼儀の中で、学生達が正直にぶつかり合うスタイル。
第二言語教育論は、言語学の観点から、EL Students(英語を母語としない学生)についての勉強です。これは面白い!また別の記事で書きますが、私は個人的に言語学に興味があるので、隅から隅まで面白い授業です。教授はサンディエゴ市内の中学で英語を教える先生で、ディストリクト全体のELDプログラム作成に携わったりしています。
・・・と、とても密な水木の夜なのですが、8:30くらいになると、新しい情報がもう頭に入っていかない。笑
あ〜、20代の時は夜の授業も問題なかったのになぁ・・・とちょっと悲しく感じる瞬間です。
それでも、学校という場所は、安全に、本音を言い合ってぶつかり合う場所。
「ポリティカルコレクトネス」(についてはこの記事で)なんて気にせずに、こうやって色々な人の意見を聞いたり、自分の意見を作り上げる機会ってなんて貴重なんだろう!と思うし、そのためにはきちんと予習をして、頭に入れなくてはならないし、これが勉強なんですよね。
そうやって教科書で学んだことや、クラスでディカッションしたことを踏まえて、実際の高校に向かってみると、「そうか、こういうことか」と見えてくることが本当にたくさんある。
学生とか、彼らの家族とか、他の先生とか、スタッフとか、「学校」というのは本当に毎日、コロコロと顔色を変える不思議な生き物で、だけどみんななんだかんだ言って毎朝やってきて、一緒に勉強して、次の学年に進んで行く。
学生にとっては「一年きり」かもしれないけど、それでも、「辛い一年だった」と思われるよりは、「まぁ良かったんじゃない」と思える一年にしてあげたい。大学で数学専攻するほど好きにならなくても、「数学は特に嫌いじゃなかったなぁ」と思って卒業してほしい。
中高生って、どの国でも、どの学校でも、本当に貴重な時間で、ものすごいたくさんの可能性を秘めているから。
だから、そのためにはまず、自分が楽しんで勉強したいし、免許取得後もずっと勉強し続けたい。
飽きっぽい私にとって、きっと毎年、新しいチャレンジがやってきそうなこの仕事は、今、ちょっとだけ、天職かもしれないなと思い始めてます。
なんか、色々なものが「先生」を動かしてくれるんだな。
このシリーズの他の記事はこちらで読めます。
Erina さんのような先生が私の高校時代にいればよかったなぁ!って思います。
それにしてもカリフォルニアでもアジア系の学生がそんなに少ないとは驚きです。
これからの投稿楽しみです!
りょうこさん、
そうなんですよね。私も白人先生の多さにびっくりしました。
学校って、まだまだ白人社会なんだな〜と。
アメリカ社会と人種問題については、社会教育論のクラスでがっつり勉強しているところで、また考えがまとまったら書いてみますね!
>Erina さんのような先生が私の高校時代にいればよかったなぁ!って思います。
ありがとうございます。嬉しいですが、まだまだペーペーなので(笑)、頑張ります!