作文しよう! ②題材を集める
こんにちは、Erinaです。
作文シリーズの続きです。
今回は、2つめのステップである、「題材を集める」ということにフォーカスしてみます。
私が作文をしたり、教えたりする上での1番のモットーは、「知らないことは書けない」ということ。
これは私自身がよく見る、ある悪夢に基づいています。笑
私は学生時代からよく見る夢があって、それは、突然、「ちょっとこのプレゼンやってきて!」と言われたり、「今日、テストだよ!」と言われては、「えっ!嘘!そんなの知らないし、やってない!」と大焦りする、という夢なのです。これはかなりの恐怖で、「準備不足」や「情報不足」ということに対する私の中の不安を表しているのだと思います。
特に、「自分がよく知らないことを人に伝える」ということの理不尽さはひどいもので、知らないからこれ以上書けない、という惨めさったらありません。
そう思った時に、「作文ができない」というのは、単純に知識不足なのでは?と考えることが増えたのです。
大人にとってはある程度、当たり前だったり常識だったりすることも、子供にとっては実体験として浸透していないということは、私たち大人が想像する以上に多いのです。
たとえば、前回の記事で紹介したWriting promptsの中でも、子供にとっては難しいものがあるかもしれません。
- If you could build a dream house, what rooms would it have?
- Write a story about going on an adventure with your best friend.
- Who has the best job in the world?
- Where do you get your best ideas?
- Do women today have equal rights with men?
- Have you ever volunteered to help someone? What did you do?
- What is your favorite thing to write?
- Imagine that you are stuck inside a TV. What will you do? What shows would you visit?
- What would you do if you won the lottery?
- Would you rather be an animal or a toy?
この和訳はこうでした。
- 自分の理想の家を建てられるとしたら、どんな部屋がある?
- 親友と冒険をするとしたら、どんなストーリーになる?
- 世界で最高の仕事をしている人は誰?
- きみのベストなアイディアはどこからやってくる?
- 現代の女性は、男性と平等だと思う?
- 人を助けるためにボランティアをしたことはある?何をしたの?
- どんなことを書くのが好き?
- テレビの中に閉じ込められたとしよう。君は何をする?どんな番組に登場したい?
- 宝くじが当たったら、どうする?
- 動物になりたい?それともおもちゃになりたい?
たとえば、3, 4, 5あたりは、小学校低〜中学年の子供がパッと取りかかるには難しいでしょう。6なども、ボランティア経験がなければ質問の意味がわからないし、やはり人生経験の差が、作文への取り組みに差が出てくるのは、子供ならではだと思います。
そういう意味で、適正年齢 (age appropriate) を見極めるのはやはり大人の役目であり、それが原因で作文が得意、苦手を判断してはいけないと思うのです。
そこで、情報が不足している時、必要になってくるのが、
- リサーチ
- ディスカッション
です。
つまり、「書く」というのは、もうすでに知っていることを書くだけではなく、新しく学んだことを書く、というのが前提なので、リサーチをして新しく知ったこと、または、他人とのディスカッションで新しく学んだことを書くということになります。
リサーチ
リサーチというのは、特に理科や社会科で必要なスキルになり、アメリカでは小学校低学年からその練習が始まっています。
この記事では、娘が1年生の時のサイエンスプロジェクトを紹介しましたが、これもやはり、まだ知らなかったことを本やウェブサイトを使って調べ、まとめるという練習でした。
今年の彼女は、2年生になって、動物についてのプレゼンテーションをグーグルスライド(パワーポイント)で作り、キンダーガーテンの子供達に紹介したそうです。
これも、様々なウェブサイトを使ってリサーチをし、正確な文献を使い、信頼できるリソースとして引用する、ということを教わっているのです。
最近見かけた8年生(中学2年)の社会科の課題は、”Conflict and Compromise” というテーマで、アメリカ史に残るconflict(争い)と compromise(妥協)を経験した人についてのリサーチをするというもので、長さは1パラグラフですが、25人分のリサーチをします。
それぞれに記事とクオートを引用し、なぜその史実が”Conflict and Compromise” なのかを説明する、という課題でした。学生たちはその25人のことをリサーチし、なぜ”Conflict and Compromise” なのかをつなげて、説明するわけです。
アメリカのアカデミックペーパーは、この引用するという部分がとても厳しいです。
この記事でも書きましたが、他人の文献を流用したり、少し変えて使ったりすることは、とても深刻な問題として罰せられ、アカデミックの場でそんなことをすれば、学界から追放されることになります。
なので、引用についての勉強はアメリカではかなり早い時期から始まっていて、「思いつくがままに書く」というスタイルとは別、という認識が子供達の中でも出来上がっているようです。
そして、ここでもやはり「読む」というスキルは大前提であり、キンダーから一日20分の読書の癖があるかどうかは、リサーチ力でも大きな違いを生むことになります。
引用についてはまた別の記事で書こうと思いますが、MLA/APA/Chicagoスタイルなどが使われています。
ディスカッション
事実を調べて書く、というのがリサーチなら、人々の考えを調べて書く、というにはディスカッションが必要になります。これは「ブレインストーミング」とも呼ばれ、自分の考えを形にしたり、広げたりするのにも役立ちます。
特に、子供が「何を書いたら良いわからない」という時は、大人が良い質問をしてあげることで、書くべきことをはっきりしてあげられることになります。
読書感想文の場合、この記事で書いた方法がおすすめです。
それに、こんな質問を付け足してみます。
- 主人公はどんな性格だったと思う?→物語の流れから探す
- どうしてそう思った?→本の中の場面からその証拠を探す
- 自分だったらどうすると思う?→自分を登場人物に照らし合わせる
- その結果、どうなってたと思う?→想像力を働かせる
- じゃあ、主人公の決断は正しかったと思う?→結論
・・・と、具体的な質問をすることで、子供は具体的に言葉にすることができます。
実際に「主人公はこんな性格です」と書かれていなくても、文章から読み取り、汲み取る読書を “Close reading” と呼びますね。これについてはこの記事でも書きました。
「この本はどんな本だった?」とか、「何がわかった?」という曖昧な質問に答えられるためには、頭の中で上のようなステップができることが前提で、それに慣れていない場合、かなり答えるのが難しくなります。
この「題材を集める」というステップは、食事で考えた場合、食材集めだと書きました。
つまり、どんなに素晴らしい献立や調理方法があったとしても、食材が足りていなければ、良い食事は出来上がりません。量も質も、物足りないかもしれない。
特に、何を書いたら良いのかわからないとか、作文で長さが足りないという場合は、単純に情報不足ということが多く、リサーチやディスカッションをすることで、「あ、それを書けば良いんだな」ということが見えてくることが多いです。
題材が十分にあることは、良い作文を書くための必要条件であり、他のステップと同様に見過ごせない過程でもあるのです。
とても参考になりました。
9才の娘に4年程オンライン英会話をさせてます。ただ会話が出来るだけではなく、海外の教育の良い所を取り入れたいと思っていました。
オンラインでは1つのテーマで色々なぜ?なぜそう思う?と聞いてきてくれるので、自分の考えを話すトレーニングは出来てはいたと思うのですが、書くことも進めたい思った際、どのように進むべきか迷っていたのですが、進むべき方向が見えたと思いました。日本語を介さず習得させてきた英語なので、公文のような方法ではなく、オンラインの先生の助けを借りて、自分の考えを深めて書くことをレッスンに取り入れようと思います。
くろみつさん、こんにちは。
お役に立てて嬉しいです。
そうですね、やはり与えられた答えを探すのではなく、自分で作り出すというトレーニングは、作文は最適ですね。
この次の記事で、実際にどうやって書き始めたら良いかというヒントも紹介していきますので、ぜひ読んでみてください。