3/14 National School Walkout 全米一斉授業ボイコット
こんにちは、Erinaです。
昨日、3月14日、ここアメリカでは、各地の学校で一斉授業ボイコットが行われました。
英語では、”National School Walkout” と呼ばれ、walkout(ウォークアウト)はボイコットの中でも、「歩いてどこか(今回は授業)から退出する」というものです。
これは、ちょうど1ヶ月前、フロリダ州の高校で起こった銃乱射事件を受けて、犠牲者になった17人の学生とスタッフを弔い、銃規制を強くすることを訴えることを目的としています。
学生たちが、ウォークアウトすることで、自分たちの意思、つまりは銃規制をもっと強めるべきだ!と表現し、国政に反映させることを目的としています。
私も個人的には銃規制をもっと強めるべきだと思っているし、まして学校という場所で、子供達の命が危険にさらされる社会を異常だと思っています。
しかし同時に、銃がアメリカという国のアイデンティティであることも知っているし、それをひっくり返すにはものすごい労力と時間がかかるんだろうと、諦観していた部分がありました。
しかし、今回のウォークアウトをその場で目撃してみると、「歴史が変わる瞬間」ってこういうことなのか、と実感したのです。
朝、実習先に向かうと、私の指導教員が、「もしかしたら学生たちがウォークアウトするかもしれないから」と言いました。
ウォークアウトが計画されているのは朝10時から17分間。1ヶ月前の犠牲者の数と同じ分数です。
ディストリクト(教育委員会)と校長からは、「中立でいろ」という指導があったらしく、それはつまり、「ウォークアウトに参加したい学生がいたら、させて良い。だけど、応援はするな。」ということ。
学生たちが、自分の意志と判断で10時に授業を退出するのなら、それを止めてはいけない。だけど、行く気のない学生や、ウォークアウトを理解していない学生を無理強いしてもいけない。
ということであり、あくまで学生自身の意思を尊重しなさい、というものでした。
う〜ん、これはアメリカらしいなぁ。
の一言に尽きますね。
日本の教育委員会、校長なら、なんと言うのでしょうか。
この学校にいるのは、7th/8th Grade(日本の中1と中2)。
まぁ、面白半分で「授業抜け出せるし、ラッキー」と出て行った子も多いかもしれないけれど、中にはきちんと目的と理由を理解して、自分の言葉でそれを表現出来る子たちもたくさんいたようです。
これを見て、私は、
これは、日本の中学生にもできるのかなぁ?
という疑問をもたざるをえませんでした。
「アメリカ人は愛国心が強い」
ということを、一度は聞いたこと、言ったことがあると思います。
アメリカの国歌を誰もが歌えることとか、憲法の理解度とか、国政への興味なんかを見ていれば、日本人なら誰もがそう思うはずです。
そしてそれはどこからやってくるのか、アメリカで子育てをしたことがある方は、わかっているはずです。
それは、小学校低学年から始まる「アメリカ史(アメリカン・ヒストリー)」の勉強で、日本人から見たら、「自分の国について、ずいぶんよく勉強するんだなぁ」と感心してしまうほど。
先日、アドバイザリーの時間に、私のクラスの子がやはりアメリカ史の宿題をやっていました。
彼は、「もう何度もなんども、3年生の時から同じことばっかりやってるんだよ。もうつまらなくなってきちゃった。」と言いました。
そうか、そんなこと言えるくらい、アメリカ史を勉強するんだな、と思うのと同時に、内容もかなり濃いことを理解している彼らに驚いたのです。
立国の頃から、憲法、奴隷制度、人種差別、市民権運動、反戦運動・・・。
高度な文献を読み、映像を見て、話し合い、自分の言葉にする。それが彼らの「社会科」のクラスであり、「アメリカ人」になるための勉強なのです。
つまり、自分たちが「国に守られていない」と感じたら、何をしたら良いか、叩き込まれている。
アメリカ市民による、アメリカ市民のための、「デモクラシー(民主主義)の英才教育」は成功しているわけで、それが昨日、3月14日に形になった、と私は思うのです。
「たかだか、子供のやることだ」
「単なるお遊び気分じゃないか」
「こんなの無駄に盛り上げているだけだろう」
なんて言う大人もいるでしょう。
こんなものは、国政に正当な影響なんて与えない、と思っている人もいるかもしれない。
だけど、考えてみたら、彼らの現在の年齢は12〜17歳。
アメリカでは18歳で投票できますから、次回の大統領選挙2020年には彼らの約半数が投票できる計算になります。
この若者たちが、今日感じている身の危険や不当性を持って投票したら、歴史は動くんじゃないか、と思うのです。
たったの2年です。
(いや、年間に起こっている銃による死亡事件を考えると、2年は長いかもしれない。)
でも、2年で歴史が変わったら、やっぱりとてもハイスピードだと思いませんか?
このスピード感があるからこそ、アメリカ人は自国の歴史を勉強し、変えるための運動や努力をするのだと思います。
特にこの年代は、SNSで指数関数的にコミュニケーションをとる世代であり、数量的なもので言えば、私たちの世代が考えるような「人とのつながり」をはるかに超えているわけです。
#ENOUGH(もう十分)
#AreWeNext(次は私たちでしょうか)
なんていうハッシュタグがつけられ、若いアメリカ人たちの言動が世界各地に送られ、つながっていく。
このビデオの最初の1分で、アメリカ各地の学校の様子がわかります。
0:48 に話すのは、1ヶ月前に事件が起こった学校に通う学生です。
“I wanted people to know that Stoneman Douglass will be the last school that this happens. We wanted to make a change like we want to be the generation that changes everything.”
「ストーンマン・ダグラス高校が、こんなこと(銃乱射事件)が起こる最後になって欲しい。私たちは変化を起こしたい。全てを変える世代になりたいんです。」
お上の決めたことに、黙って従っているのでは、何も変わらない。
「権利」とは、もらうものではなく、勝ち取るためのもの。
私はそういうデモクラシーの基本を彼らに教わった気がしたし、自分の国は自分たちで変えていくもの、という責任と覚悟を目撃しました。
人間がもっている、自分の国で正当に生きるためのエネルギーというのは、強く、たくましく、そしてこんなにも愛おしいものだったのです。
日本が学ぶこと、たくさんあるような気がしています。
すごいイベントでしたよね。見に行って見たかったです。
ニュースを見て何度も感じたんですがフロリダの高校生たち明確に堂々と意見を述べることができて素晴らしい!多分レベルの高い高校なのかなと思うけど。でも日本の高校生はあんなに意見はっきり言えないですよね。事件直後のインタビューでも受け答えハキハキしてて驚きました。銃規制反対側の中では「やらせ」だと言ってるおバカさんすらいるみたいですね。
本当に今回の動きでアメリカ人の多くが目を覚ましてくれることを信じたいです
りょうこさん、こんにちは!
先生たちは教室を離れられないので、ウォークアウトに参加することはできなかったのですが、やはり物々しい雰囲気になった学校と、応援する雰囲気になった学校と、色々とあったみたいですね。うちの学校は割とボジティブだったようで、約600人が参加したという報告がありました。
アメリカの中高生は、歴史の知識だけじゃなく、スピーチやエッセイの練習もものすごくしているから、脳みそを使っていない政治家に比べたらとても立派なスピーチをしますよね。
若いからと言って、何もできないわけじゃないし、こういうエネルギーで社会を変えて欲しいです。