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脱サラ母の数学教師への道 (15) You MUST Want It
こんにちは、Erinaです。
二児の母が脱サラして高校の数学教師になるまでの道のりを書いています。
今回はちょっと時間をさかのぼって、今学期当初に実習先で起こったことについて書いてみたいと思います。
今学期の実習先は9年生のオナーズクラスでした。
オナーズクラスは英語でHonors Classで、いわゆる進学組。
高校入学したばかりのこのクラスの生徒たちは、中学までは割と「勉強ができる方」の子供達で、数学にもそれなりに自信があったはずです。
そんな中、新学期スタートから二週間ほどした頃、最初のテストがありました。
内容はそれほど真新しいこともなく、どちらかと言うと中学までの復習とか計算力が試されるものでした。
採点の結果は予想よりも下。
私の指導教員が教える同じレベルのクラスと比べても、平均点が10点近く下だったのです。
これには私もがっかりしてしまい、そのがっかりの矛先は生徒たちではなく、自分の教師としての力量を目の前に突きつけられた気分でした。
もちろん生徒たちも自分のスコアにがっかり。
「数学、結構できると思ってたんだけどな・・・」というのが、高校初テストの感想だったかもしれません。
大学で数学を30年近く教えている旦那にこのことを話すと、
“Well, you have to pump them up tomorrow.”
(そうか、じゃあ明日は彼らをやる気にさせなきゃね)
と言われ、
「そうか、This is not the end of the world. (これが世界の終わりじゃない)ここからスタートすれば良いんだ。」
と思ったのです。
何事もスムーズに行くとは限らない。
自信や期待を裏切って、こういうがっかりはいつでも起こる。
大事なのは、「よし、ここから上に向かおう」と思える気持ちで、私は教師として生徒たちにそれを教えなければならない、と気づかされたのです。
次の日、オンラインポータルにポストされたテスト結果をすでに見た生徒たちが浮かない顔で教室に入ってきました。
「テスト、難しかった・・・」
「あまりよくできなかった」
そんな声が授業前に聞こえてきます。
始業のベルが鳴ると、私はこう言いました。
「最初のテスト結果を見て、がっかりした子もいるかもしれない。
だけど、これをきっかけに、自分自身と向き合ってほしい。
これは高校数学のオナーズクラスで、努力をしないでAを取れるクラスではない。
あなたたちにはそれぞれ、このクラスでのゴールがあるでしょう。
A+を取ることかもしれないし、Cでパスすることかもしれない。そのゴールはそれぞれに違うだろうけど、私は正直に言って、ここにいるあなたたち全員、そのゴールを達成することができると思っている。
だけど、それをするには、あなたたち自身がそれを欲しいと思わなければならない。
You MUST want it.」
そう言うと、クラスはシーンとなり、数人の生徒が頷いているのが見えました。
「私はここにいる間は、できるだけのサポートをします。チュータリングの時間もある。
それを必要として使うかどうかは、あなたたち次第。オーケー?」
この話の直後から、生徒たちの目つきはガラリと変わり、その日から、授業の雰囲気や生徒同士の連帯意識も急にレベルアップしました。
あれから数ヶ月。
宿題提出率はほぼ100%をキープし、5回ほどあったテストでも、指導教員のクラスの平均点を抜くことも何度かありました。
みんな頑張っている。
近道も抜け道もない「人生」という勉強を、彼らは数学のクラスを通して学んでいる。
毎日続けること。
前進し続けること。
目標を持ってポジティブでいること。
この世の中には悲惨な事件や、辛いことや、思い通りにいかなくてフラストレーションを感じることはたくさんある。
だけど、学校での勉強は、そういう外部の不要なものを全てシャットアウトし、自分自身と向き合うことを教えてくれる。
まずは、自分がそれを望まなければならない。
他人は関係ない。
自分のために、自分で立ち上がらなければならない。
人生にはそういう時があること、この14歳たちには知って欲しいというのが私の願いです。
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