子供のスピーチセラピー
こんにちは、Erinaです。
バイリンガル教育をしているとたびたび耳にする「スピーチセラピー」。
今日は、我が家の体験をもとに、このスピーチセラピーについて書いてみます。
日本では、子供向けのスピーチセラピーというものが存在するかわからないのですが、ここアメリカでは、保険でカバーされる医療サービスとして、スピーチセラピー、またはspeech pathologyと呼ばれるものがあります。医療機関を通さず、学校などと契約をしている「教育機関」としてのスピーチセラピーもあるようですね。
これは、子供にコミュニケーションの目的や意味を教え、自主的な対話を促すことを目的としたセラピーです。
我が家には4歳の息子と2歳の娘がいます。このスピーチセラピーのお世話になったのは、息子が2歳を過ぎた頃でした。
まずは、ここに行き着くまでの我が家の道のりを紹介します。
アメリカの小児科では、2歳児の標準的な会話レベルは、50単語前後のボキャブラリーがあること、と言われており、中には100単語使える子供もいれば、2語つなげられる子供もいます。
そんな中で、我が家の息子のコミュニケーションレベルは、パパの「パ」と、ボートの「ボ」くらいでした。
あとは、何か欲しいときには「ぅあ~・・・」とか「んっ!」とか、言葉にならない音を発して指差しをするレベル。
1歳半(18ヶ月)の検診で、ドクターに「もうちょっと待ってみよう」と言われたのだけれど、そろそろプロのヘルプが必要かも・・・と思い始めました。
2歳の検診で、ドクターにスピーチセラピーを紹介してもらい、親子三人でセラピーセッションへ行くことにしました。
セッションの前に、郵便で色々な質問事項が書かれた書類が届き、セラピストが予習をするためにそれを送り返します。質問事項は、この言葉は言えますか?とか、出産時の状況とか、そんな内容だった気がします。
Speech pathologist(スピーチセラピストと同じ)と呼ばれるキャロルは、息子と同じくらいの年の孫がいる女性でした。
まず初回は、このセラピーではどんなことを目指していくかなどを話しながら、息子の基本的なコミュニケーションのレベルを見ます。キャロルのオフィスには、子供用の椅子と机、たくさんの種類のおもちゃやフラッシュカード(単語カード)などがあり、息子はそこに行くのが楽しみになったようでした。
これらのおもちゃを使って、息子が「他人とのやりとり」に興味があるか、どんな反応を見せるか、など、キャロルがチェックします。他人とのやりとりを見ることは、私たち両親にとって新鮮だったし、客観的に息子のコミュニケーション力を知ることができました。
これらのセラピーにはだいたい、一週間おきで3ヶ月ほど通いました。
毎回、両親には宿題が出されて、コミュニケーションや子供の遊び方の種類についてなどの本を読み、キャロルがセラピーで説明してくれます。息子の現段階はここで、こういったやりとりが効果的、とシンプルに、かつ明確に教えてくれました。
結果として、息子が3歳の誕生日を迎える頃には、親もびっくりするようなきれいな文法で、英語を文章で話すようになりました。
つまり、「単語レベル」の段階をすっ飛ばして、「文章レベル」での会話になったのです。
こういったケースは多々あるようで、子供がどうやって言語を習得するか、という個人によっての違いだそうです。面白いですね。
私が個人的にスピーチセラピーで学んだことは、これは「親のためのもの」であること。
「こうすればこの子はしゃべるようになります!」という魔法のトリックは教えてくれません。親の接し方が変わることで、子供の自発的なスピーチを促進させるからです。
たとえば、
・子供が「ちょうだい」 と言う必要のない状況を、親が作ってしまっている
・子供の発言を親が知らずに批判している
・子供がわかりやすい言葉を使っていない(我が家の場合)
など、原因は様々あると思いますが、これを批判するわけではなく、より効果的な方法を教えてくれるわけです。
スピーチセラピーでは、子供にとってベストなコミュニケーションを、親が学ぶことになり、これを機に、我が家のコミュニケーション力が改善したのが目に見えるようでした。
現在、デイケアに通う息子は、年上の子供たちから新しい言葉やフレーズを覚えてきては、私でテストします。もともと物事を理論的に考える子供なので、大人との会話も、理論立ててします。
自己表現も上手になったし、このセラピーはその最初の一歩だったのかもしれません。
結果として、日本語を教えるのはやめ、英語にフォーカスすることにした経緯は、こちらで書いています。→「私が子どもに日本語を教えなかった理由」
こんな選択肢もあるということで、参考までにどうぞ。