パワフルな作文を書くには、読書が必要
こんにちは、Erinaです。
今日は作文と読書の関係について書いてみたいと思います。
このブログでは、アメリカの学校で実践されている様々な作文の方法を紹介していますが、やはり根底になっているのは「読書」、つまりインプットの量がかなり大きく影響しているということです。
例えば、この記事でも書いているように、アメリカの小学校では一日20〜30分の読書が宿題と出されていて、どの本を読むかは本人のチョイスであることが一般的です。
これは日本のような決まった教科書を全員が読むのではなく、この世の中にごまんとあるテキスト(文章)に数多く触れるため、その中から自分で選び、強みをなおさら強化していく、という思想があると思います。
そしてその結果、読書をすればするほど、語彙が増えたり、表現力がついたり、情報を身につけることで、実際に自分がアウトプットをする時に書けることが増えていくのです。
作文をしていて、「書けない」と思った時(または子供がそう言う時)、そこには二通りの原因があるかと思います。
一つは、情報量が足りない。
“I don’t know what to write.” のケース。
つまり、人間、インプットがなければアウトプットができませんから、作文として出せるものが足りていない状態です。
この場合の対策はやはり読書で、テーマとなるものや人物についての情報を仕入れる必要があります。
これをチェックする方法として、
“What do you know about …..?”
“When did ….. happen?”
“What happened when ……?”
などの質問をしてみることで情報を整理することができます。
私が現時点で、何かを書こうと思った時、なかなかタイピングが進まないとすれば、やはりこれが原因のことが多いです。考えがまとまらないのもやはり情報量不足で、もう少し全体像が見えてくると、どこから始めたら良いかというとっかかりも見えてきます。
アメリカの学校では、この作業として作文前にディスカッションをしたりしますね。数人やクラス全体でアイディアを出し合うことで、そうか、こういうことを書いたら良いんだな、ととっかかりが見つかってくるからです。
もう一つの原因は、書き方を知らない。
“I don’t know how to write.” のケース。
これはどちらかと言うと文法などのテクニカルな問題で、どうやって書き出したら良いかわからない、どんな文章を使えば良いかわからない、という状態です。
これは、言語習得が初期の場合に多いです。
母語での作文なら、小学校低学年。外国語での作文なら、移住して最初の数年は、やはりどうやって作文というものを書き出せば良いかわからない。
これの対策として、Sentence starter(センテンス・スターター)という方法が使われています。これは何かと言うと、文章をこうやって始めたら良いよ、というフレーズを前もって与えることで、子供はその文章を完成させるというものです。
例えばこれは先日、ローザ・パークス(アメリカでの人種差別のバスをボイコットした女性)についての伝記を読み、その後に要約をするためのセンテンス・スターター。
以下の文章を完成させることで、読書した内容を要約することが目的です。
XXX was a woman who ….
YYY was a boy who ….
というように、知っている文章を応用することで、異なる人物に対応できるようになれば、とりあえず書き出す方法を知っていることになります。
このようなサポートは、Scaffolding(スキャフォルディング:工事現場の「足場」の意味)とも呼ばれ、子供が少しずつ何かをできるようになるための手段です。将来的にはこのセンテンス・スターターなしで書けるようになりますが、そのために、今はこうやって書き出せば良いよ、というものを教えるわけです。
そして同時に、これも読書をすることで様々な表現にさらされるわけで、読んだ本で見かけた(覚えた)文章やフレーズも、自分で表現する場面で、実際に使えるようになります。
そのために、メンター・センテンスというレッスンもアメリカの小〜中学校では行われています。
こう考えた時、パワフルな作文には読書が必要となり、読書をしている子ほど、効果的で面白い作文が書けるのには納得です。
音楽を聞かない人が良い演奏家にはなれないだろうし、美術館に行かない人が良いアートを作れないのと同じです。
作文とは、構文を丸暗記するものではなく、インプットした情報を自分で整理し、自分の言葉で表現する力が必要です。そのためにはすでにある文章をモデルとして、たくさんのものに触れることが何よりの近道であり、読書というのは大きな役割を果たすのではないでしょうか。