ブックレビュー: “George” by Alex Gino
こんにちは、Erinaです。
本の紹介シリーズ、どんどん行きます。
何せ冬休みなので読書がはかどるのです。
第2回目は、Alex Gino の “George”。
この作品は2016年に児童書の賞を受けた話題作。
なぜなら、主人公はトランスジェンダーの子供だからです。では紹介してみましょう。
この作品のデータとしては・・・
Lexile Level: 790
読者年齢層:3-8th Grade (9~14歳)
あらすじ:
主人公の George は、体は男の子だけれど、自分を女の子だと思っている小学4年生。
性自認はしているのだけれど、それをどうやって隠すか、これからどうしていけば良いのか?ということに悩むジョージ。
学校の劇をきっかけに、自分は女の子になりたいという自覚が強まり、なんとか周りに打ち明けていく、というストーリー。
自分のアイデンティティと向き合おうとする姿は、やはり同年代の子供を持つ親として心が痛むけれど、テンポよく進むストーリーと、前向きな主人公の姿に背中を押されます。
学校でのいじめっ子や、親友のケリー、学校の先生達とのやり取りの中で、セクシャルマイノリティの子供達がどんな思いをしているのかが手に取るように見えたし、家族とのつながりがいかに大きいかを感じました。
最初の方で、母親に打ち明けようとしながらもどうしてもできなかったシーンにウルッときました。
また、タイトルが “George” でありながらも、文章中の代名詞が全て “She” と “her” だったところに、深く考えさせられました。
LGBTQ については、ここサンディエゴで17年生活している私にとってはそれほど珍しいことではありません。
サンディエゴで初めてできた友達はゲイのメキシコ人とバイセクシャルのフィリピン人だったし、留学生だった私に本当に仲良くしてくれた。それ以降も、LGBTQの友人や知人と定期的に会ったりします。
息子の同級生はパパが二人いて、キンダーから同じクラスになったり、同じ水泳チームになったりしていますが、他の子供達も、「あの子にはパパが二人いる。そういうもんだ」と何の疑問を持たないのを見て、やはり偏見というのは大人が植え付けるものなんだなと教えられました。
もちろん私の生徒の中にもLGBTQの子がいます。
若ければ若いほど、カミングアウトしている子はきっと、様々な葛藤や悩みを抱えてきたんだろうなと思うし、だけれどそのせいで特別扱いはしたくない。
相手の性自認に関わらず、個人として受け入れること、一人の子供として受け入れること、そういう暮らしをここサンディエゴでできるようになったのです。
そんなことを思っていたら、先日、大学院のアプリケーションを作成していた際、性別についてこんな質問がありました。
- あなたの法律上の性はなんですか?
- あなたは自分自身の性をどう認識しますか?
- あなたは自己表現の際、自分の性をどう表現しますか?
など、多様化した性を受け入れたものになっていたのです。
15年前に大学にアプライした際は、こんな質問はなかったはずなので、そうか、時代は変わったなと思ったし、さすがカリフォルニア州立大学だなと思いました。
そんな中で、この作品の主人公が小学4年生であること、対象読者層もそのあたりからスタートしていることは驚くことではないし、やはり自分の子供達が現代社会をどう捉えているのかを知っておくためにも、読んでおきたいなと思ったのです。
どうでしょうか。
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