いま、子どもたちに何を教えるか
こんにちは、Erinaです。
暴動や警察による暴力などのニュースで、コロナ感染への意識が薄れていく中、秋からの新学年度は学校再開の動きを見せている州やディストリクトもちらほら。
長かった自宅謹慎から長い夏休みに突入した今、家で子供達に何をどこまでさせるべきか?と悩んでいる親は多いはずです。
今日は、この3ヶ月間に私が感じたことを書いてみたいと思います。
3月13日の金曜日。
誰も予期しない中、生徒達と会う最終日になってしまったあの日。
アメリカの教師達の中で、様々な思いがありました。
残りの課題はどうするか?
授業はどんなスタイルになるのか?
生徒達は安全なのだろうか?
彼らに次に会えるのはいつになるのだろうか?
そして、来年はどうなるのだろうか?
私は心の整理のため、それに続く一週間は「これからの教育」みたいなぼやっとしたアブストラクトなことばかり考えていました。
そんな中で見かけたとある教師の一つのツイート。
ちょっと実際のツイートは見つけられないのですが、こんなような内容でした。
“Since we became online, I’m realizing how we gave the information to our students, but didn’t teach them the skills they really need.”
「私達はこれまで、生徒に情報を与えるばかりで、必要なスキルを教えるということをしてこなかった、ということを痛感している」
私はそれに同意せざるを得ませんでした。
例えば
- 毎朝、先生からのメールをチェックするスキル
- 課題サイトにログインするスキル
- 今日の課題を見つけて、とりかかるスキル
- わからないことがあったら、ヘルプを出すスキル
- 先生のバーチャルオフィスアワーに行くスキル
など、教室で教師が手取り足取りヘルプできない状況になった時、子供自身の問題解決力や Self-efficacy みたいなものが試されていて、これらは確実に21世紀スキルになると確信しました。
オンライン教育を数年前から積極的に取り入れていたうちの子供達のディストリクトは、宿題や学校の課題も全て支給されたクロムブックでやっていました。彼らは、オンライン移行後もそれらを難なく使いこなし、トランジションがすごくスムーズでした。
しかし、そういうスキルを教えてこなかった私の高校では、オンライン移行になり、まずはクロムブック支給からスタート。
親の同意を集め、数を数え、支給ブースをセットアップと、そこまでに2週間。
生徒が自分の学校メルアドを見つけて先生とコミュニケーションを取れるようになるまでに1週間。
ズーム授業ができるようになるまでに1週間。
・・・と、もうすでに1ヶ月のギャップができてしまっている。
そこから授業として足並みが揃うまでに数週間となると、結局、学年度末も目の前で、必要なカリキュラム消化は実質ゼロに近いわけです。
ここで書いておきたいのは、この学年度の最後の3ヶ月は、誰にとってもまともな教育は受けられず、たとえ我が家の子供達でも、最後の単元はきちんと身についたか?と聞かれるとかなりクエスチョンです。けれど、それはどの子供も同じで、先生達はどの科目もまたきちんと復習するつもりでいるし、ポイントはそこではありません。
ポイントは、新しく学ぶ内容をどうやってハンドルするかというスキルです。
比率とか面積とか三角関数という情報は、いわゆる「食材」であり、それをどう調理するかというのが私の言いたい「スキル」です。
これまでの学校教育では、子供達に「良い食材」をどんどん与えてきた。
しかし、子供達にそれを調理するスキルがなかったら、どうなるでしょうか?
食材は腐ってすべて無駄になってしまいます。
私はこの3ヶ月間、子供達と家でずっと時間を過ごすことで、学校教育だけでなく、家庭での教育が、いかにそのスキル教育が欠けていたかを感じました。
それは例えば、
- 朝食やランチは自分で作る
- 使った皿はシンクに置きっぱなしにしないで洗う
- 家族の洗濯物をする
- 電池を取り替える
- 郵便物をチェックする
- 夕食後にテーブルを片付ける
などなど、いわゆる家事です。
誰かがやらなければならないけれど、誰か(たぶん大多数が母親)がやっていたから自分はやらなくてよかった。
しかし、そこにある問題解決と Self-efficacy に気づかなければ、オンラインクラスのような状況になった時、子供は完全に置いてきぼりになってしまうのです。
この記事でも書いたように、問題解決力や Self-efficacy のようなものは、21世紀に必要なスキルになります。
これだけ氾濫している情報を、どうやって調理し、自分の栄養にできるかというスキルが今の子供達は、これまで以上に必要としています。
これまでの大学受験やテストは、いかに良質で新鮮な食材を持っているかで判断されてきたけれど、これからはいかなる食材も面白い料理にできる人材が「優秀」とされるからです。
じゃあその「スキル」を育ててあげるためにどんなことをしたら良いか?というのは、
子供の成長にとって必要なものが、必ずしも教室にあるとは限らない
を読んでください。
中高生のお子さんがいる方は、こちら
高校生の進路決定に必要なものが、必ずしも教室にあるとは限らない
も読んでみてください。
勉強も夏休みキャンプも旅行も満足にできないこれからの2ヶ月半、我が家は子供達のための「人生勉強の期間」と受け取り、普段は「忙しいから」を言い訳にしてきたことを、子供達にあえてやらせようと思っています。
(あ、毎日の読書は欠かさずに!)
どうでしょうか。