世界へ出ていく君たちへ
こんにちは、Erinaです。
先日、とある国立大学のキャリアガイダンスの授業でお話をさせていただきました。
受講生は国際コースの大学1年生の学生さん達。やはり海外に興味を持って、様々な言語や文化を勉強していたり、これからしようかな、というところでしょうか。
加えて、私の前任校には日本からの留学生が定期的にやってきました。短期滞在だと数週間、長期滞在だとまる一年、アメリカの高校生活を体験し、皆、日本に帰っていきました。
このような学生達と触れ合うことで、色々と感じたこと、気づいたことがあったので、忘れないうちに書き留めておこうと思います。
ただ、20年前に留学生としてアメリカの地に降り立ってから、自分は年もとり、自分の子供達もティーンになりました。いつの間にか留学生だった自分は、「留学生の親」世代になっていたのです。
なので、あまり説教臭いことはしたくないのと、やはり同世代の言葉の影響力には勝てないので、そういうことを意識してこの文章を書くことにします。
絶やさないということ:
まず、世界を意識した若者達を見ていると、何よりも希望を持てるということ。
昨今では、「日本の若者は海外に興味を持っていない」とか「留学者の減少」などを憂いる言葉も耳にします。確かに数的には少ないのかもしれない(真相はわからない)けど、そこには経済的な理由など、個人の意識とは別のところにあるかもしれません。
少なくとも、私が出会う学生達は外国に興味があるわけで、彼女ら・彼らの言葉を聞いていると、今も昔も変わらず、外の世界での何らかの目標や、少なくとも新しいことへのオープンマインドを備えているわけです。
そしてその気持ちは、絶やさずに大切にして欲しい。時間やお金や現実的な事情が、その炎の大きさを左右するでしょう。それは仕方のないこと。
だけど、どんなに小さくなっても、絶対に自分の中で消してしまってはいけないです。
自分の中で持ち続けている限り、きっとどこかでチャンスはやってくるから。
留学で得られるもの:
これは前任校にやってきた日本人留学生達と話していて、なるほどーと思ったことです。
日本のとある男子校の先生と縁があり、そこの学生さん達と、こちらの日本人男子留学生二人を交えてズームをすることになりました。日本の男子校からは海外や留学に興味のある男子高校生が20名ほど参加し、アメリカ高校への留学の様子や、どのように英語を勉強したかなどの質問が出ました。
この際、私が応答することはほとんどなく、やはり同年代で同じ立場であるこちらにいる留学生達の言葉はとてもストレートに心を捉えたようでした。
その中で、留学生の一人が言った言葉がとても印象的だったので、書きますね。
「僕がこの留学生活で得られたものは、【積極的になれたこと】だと思います。授業で発言するとかもそうだけど、もっと、自分の意見や自分自身の決断に対して、積極的になることを覚えました。例えば、どこに行きたいとか、何をやりたいとか、そういう自分の中のものがとてもはっきりするようになった。」
うーん、素晴らしいね。
彼は留学当初は、どちらかというとだいぶシャイなほうで、自分から積極的に話しかけるとかそういうことはしないタイプでした。勉強も国語(英語)や歴史の授業はヒーヒー言いながら課題をやっていたし、私が手伝ったことも何度かあります。
でもそういう体験から、彼はもっと基本的なこと、つまり「自分自身の考えや行動に責任を持つこと」を身につけたのです。
誰かに言われたから、とか、そう決まってるから、とかが理由ではなく、「自分がやりたいから、そうする」というものが彼の中で当たり前になった。
そう思った時、彼は、英語とかアメリカ文化とかだけではなく、それ以上のものを身につけて日本に帰っていくのだな、ととても心強く感じました。
もちろん、この「留学を通して得られるもの」というのは、はっきり言って、人それぞれです。というか、日本から持ってきた「自分の弱点」が具現化します。
この彼は、留学前はどちらかというと物事に受け身で、自分から積極的になるということは(彼的に)なかったのでしょう、きっと。
留学とか海外生活というのは、自分の弱いところをチクチクついてくることの連続で、そこと向き合わない限り、前進できなかったり、ただひたすら苦痛の連続になってしまう。なので自分と向き合わざるを得なくなる。
だから、「自分の弱いところ」を存分に持ってきてください。自信とか確信なんてなくて良いんです。
…と、これだけ聞くと怖いけど、大丈夫。
その恐怖感と不安を乗り越えるエネルギーが、あなたには知らないところできちんとあるんですよ。自分で気づいてないだけで。
いいとこどり:
私の場合はアメリカを選んだけれど、この世界にはたくさんの国や文化があり、白か黒かという二択ではありません。
アメリカに来てわかったけど、「アメリカ人」と言っても本当に多種多様な人種的・社会的・文化的背景があり、世代も変われば価値観や経験もガラリと異なってくるわけです。移民一世である私と、この国で生まれ育つうちの子達とでは、日本に対する思いや、アメリカという国で生きることの価値観も全く違います。
そんな中、日本とアメリカを知っている強みは、「いいとこどり」ができることです。
日本もアメリカも、良いところもあれば悪いところもあります。
どの国に行ったとしても、どの街で暮らしたとしても、完璧な場所なんて絶対にありません。
だから、選ばなかった(選べなかった)場所を羨むのではなく、両方の良いとこどりをしながら生きていく。
例えば、アメリカ生活を通して、「これは日本にはなかったな、採用」とか、「この部分はアメリカだけでは足りないな、日本式を取り入れよう」とか、自分で決めていけるわけです。
これは勉強や仕事への姿勢でもそうだし、人間関係や、結婚生活、子育てなど、あらゆる面で起こる決断で、やはり日米の2ヶ国を経験した人になら、というか、そういう人にしか理解してもらえない内面的なネゴシエーションです。
こういう決断を繰り返すことで、自分なりの「スタイル」みたいなものができて、もう自分は日本人だとか、アメリカ人だとか関係なく、「私は私」になっていくわけですね。
とりあえず行ってみる:
あーだこーだと書いたけれど、何よりも一番強いのは「まぁ、とりあえず行ってみるか」という気持ちです。
頭で色々と考えることより、体で感じることがはるかに超越していくことって人生で何度かあるかと思いますが、私にとって、そして多くの留学生にとって、「渡航」っていう瞬間はそれに当てはまるはず。
私も初渡米日の2002年3月30日のことは克明に覚えていて、20年以上経った今も色褪せません。
それは「現地の空気を肌で感じる」という言葉では説明できない経験で、YoutubeやSNSがこれだけある現代でも、このリアルな経験を真似できるものではないはずなのです。
だからまずは行ってみる。
短期でも良いし、目標なんて必要ない。
TOEFLとかTOEICなんてどうでもいいですよ。
外の空気を吸うというのは、テストスコアを何十点も上げるより価値がある体験です。
どうでしょうか。
先生!お久しぶりです。日本に帰ってだいぶ経ちました。先生お元気ですか?私は留学で増えた体重が戻らず悩んでいます。日本に帰ったら戻ると思ってたのになぁ。大学は日本大学商学部に合格しました。今度は、日本にいる外国人を助けたいと思い、日本に残ることに決めました。今振り返ってみるとアメリカでの生活が夢のようで仕方ありません。でも、写真を見返したり、留学前の自分と比べたりすると私やっぱり留学行ってたんだなって実感します。日本に帰ってからすぐの高校生活は高校が牢屋だと思ってしまい、すっごく辛かったです。みんなが一斉に立って礼してみんなが座ってるって環境が落ち着きませんでした。あと、日本の英語教育が、アメリカで身についた英語力とは違い、自分が留学でなにをしてきたかと思うほど辛い毎日でした。あと、日本にいると自分の個性がみんなと一緒の色に染まっていっているのを感じでそれがなくなるのが怖かったです。日本から出て留学を経験したからこそ気づけたことですよね。でも、嬉しいこともありました。自分の高校のオープンスクールで中学生向けに私の留学について話しました。中学生がキラキラした目で話を聞いてくれて、留学行ってほんとよかったと思いました。私、アメリカではあまり見せないようにしてたけど、めちゃくちゃホームシックになってたし、留学に出発する日楽しみより不安でずっと泣いてたんです。私もあの出発の日は鮮明に覚えています。その頃に比べたら成長したなって心から思います。先生、あの時いろいろ助けてくれて本当にありがとうございました。最近は、マクドナルドでバイトしたり、1月にあるフルートのコンクールに向けて頑張っています。また先生と会える日まで頑張りますね!先生の人生も毎日輝かしいものになりますように!!
こはな、元気ですか?コメントどうもありがとう。
日本の大学でも相変わらず頑張っているようで、とても頼もしいです。
これからこはなの世界はどんどん広がっていきますね。見ていて楽しみです。
留学を通して経験したいろいろな感情や思いを、忘れないように伝え続けてください。
頑張ってね。応援しています。