日本の教室に洋書を
こんにちは、Erinaです。
この5〜6年間、アメリカの高校教師として、
この16年間、アメリカで子育てをする母親として、
そして自分自身の体験を基にして、気づいたことがありました。
それは、「手の届くところに本がある」ということの大切さです。
そしてそれは子供達にとって、さらに重要な意味を持ちます。
私は「本がある家」で育ちました。
それは学術書や文学集ではありません。漫画と絵本でした。
うちの母は自分に高学歴がないことを悔やんでいたけれど、私が読みたいという本に反対することは一度もありませんでした。
私が「読みたい」と思う本はドラゴンボールからりぼん漫画になり、恋愛小説になり、文学作品になりました。その変遷で、「そんなの読んじゃダメ」と言われたことは一度もなく、そこには「自分で本を選ぶ自由」と、「自分で得る知識を選ぶ自由」があったのです。
それは後々、自分の将来を自分で選び・決めることにつながり、必要な情報を集める力につながり、自分なりに結論を導き出す力につながりました。
あれから長い月日が経ち、今、私はアメリカのティーン達と働いています。
この
- 自分で選ぶ
- 自分で決める
- 必要な情報を集める
- 自分なりの結論を導き出す
というのが、この国の教育現場だけでなく、もっと広い土台になっていることを日々、実感しています。
そしてそのトレーニングは、この国ではとても早い時期から始まります。
この記事でも書いたように、キンダーから子供達は自分で読む本を選び、とにかく多種多様な文章のシャワーを浴びる。
文法の正しさとか難しい語彙なんて二の次で、「自分の言いたいこと」と「相手の言いたいこと」と向き合う練習が、日本人の常識では考えられないくらい早い段階で始まるのです。
そういうことをこの10年間、アメリカの学校で観察してきた結果、自分の中でとある結論に到達しました。
「子供の手の届くところに洋書があるべき。そしてそれは、学校の教室である」
オーストラリアの社会学者が国際的リサーチを行ない、子供が育った家に平均して80冊以上の本があった場合と、そうでなかった場合、大人になった時のリテラシーレベルに重大な差を引き起こす、という結果が出たそうです。
とは言え、全ての家庭で本を常に買えるわけではないし、まして洋書は高額、買っても子供が読むかどうかわからない…というケースは多いでしょう。
図書館にも常にアクセスがあるとは限らないし、洋書のセレクションも限られているかもしない。
そして何より、どれがいい作品なのかわからない!
先日、Twitterでアメリカの高校・中学・小学校後期の国語の授業で使われる通読本を紹介したところ、大きな反響がありました。
こういうアプローチで英語に触れたい人の多さに驚いたし、いかにこのような情報が日本では不足しているかを実感したのです。
私自身、日本の典型的な英語教育で行われていること(文法、和訳、単語帳)が自分にミスマッチだったかを痛感したし、逆に、アメリカで行われている英語教育や新しい視点で英語に触れ合うことで、英語力がぐんぐん伸びた体験をしました。
There is more than one way to skin a cat.
何かを成し遂げるのに、方法は一つではない。
もしかしたら、教室の隅にあった洋書や洋書絵本をきっかけに、英語に興味を持つ子が出てくるかもしれない。
英語とは全く縁のない環境で育っても(私みたいに)、「これが英語かぁ」と知ることになるかもしれない。
そういうきっかけって、子供にとって、いくつあってもいいはずなのです。
このプロジェクトを考え始めて、もう一つ、思い出したことがありました。
それは私が小学高学年の時。
何年生かは覚えていないのですが、先生が、ある日突然、「ピーター・ラビットシリーズ」の箱に入った絵本を買ってきて、教室に置いたのです。
それは日本語版でしたが、授業で使うのでもない、課題図書でもない、先生が読書を強制するのでもない、その何となく毛色の違う物珍しい絵本のセットに、子供達は夢中になり、取り合いになりました。それを見て、先生は、次のシリーズも購入してくれました。
何となくその光景を私は覚えていて、「自分では買わないであろう本」がそこにあること、読みたい時に手が届くこと、学校の成績とは関係ないところで本を楽しめることを、特にこの年齢で体験することってとても大事だなと感じました。
そんなわけで、日本の小中高(特に公立校)の先生方で、「自分の教室に洋書を置きたい!」という方を募集しています。
子供達のデモグラフィーや興味に合わせて、洋書を送らせていただきます。
何せ個人での取り組みなので、大々的なことはできませんが、一つの教室からでも始められたら、と思っています。
英語科である必要は全くありませんし、むしろ英語が苦手…と思っている先生方に届いて欲しい。苦手意識を持っているからこそ、手が届かないということは多々あるので、そんな先生達の助けになればと思っています。
なので授業で使う必要もありません。
一人でも多くの子供が「そこに英語の本がある」ということを感じてくれて、興味があれば手にとってくれて、1ページめくってみるだけでも十分だし、表紙を眺めるだけでも十分だと思います。
興味のある先生方、または保護者の方で「うちの先生にも相談したい!」という方は、コンタクトのページからご連絡ください。