「保育園落ちた、日本死ね」

こんにちは、Erinaです。

 

ある匿名ブログの中のこの発言が波紋を呼んでいる日本。

 

「保育園落ちた、日本死ね」

 

とは、今日の日本人の正直な気持ちを如実に表しているのではないかと思います。

 

女性の社会進出を後押しする風潮(というより、そうしないとやっていけない社会)になっているにも関わらず、子どもを預ける場所が足りないという現実に、フラストレーションと不安を抱える親たち。

 

今日は、私自身のことも含めて書いてみたいと思います。

 

 

 

私の母は、高校卒業と同時に市に就職。

28歳で私を生んで、産休から戻ろうとなったとき、新生児を預けられる保育所が空いていませんでした。

仕方がないので、近所に住んでいた私の叔母(母の妹)のところに生後間もない私を預けて仕事に行くことにしました。

その頃、叔母には3歳になる娘(私の従姉)がいたのですが、彼女が幼稚園に行き、当の叔母は姪(私)の面倒を見る、ということになってしまったのです。(従姉、ごめんね)

 

その頃から、新生児が入れる保育所というのは限られていて、長いリストがあったりとなかなか入るのが大変だったようです。

 

そんなことを数ヶ月しているうちに、ある保育園に空きが出ました。

その保育園に私は小学校入学まで通うことになるのですが、私が入園したときは生後半年くらいだったそうで、園史上最も幼いベビーだったそうです。

つまり私は、この保育園に最も長く在籍した子どもと言うことになりました。

 

その頃、両親が離婚。

 

小学校入学と同時に市営住宅に引越し。

小学校は目の前だったのですが、家に保護者のいない私は、放課後、学童保育に行くことになりました。

そしてこの学童保育が遠かった。子どもの足で20~30分はかかるところで、私の学年からはもう一人の男の子と私だけがそこへ通っていました。入学して最初の数週間は、校長先生や教頭先生と一緒に下校組としてその学童保育へ行きました。

 

当たり前ながら私はかぎっ子で、小学一年生の頃から朝は自分で鍵をかけて学校に行き、学童保育から帰ってきたら、自分で鍵を開けて家に入りました。

泥棒に入られたことは一度もありませんが(笑)、階段の電気のスイッチがとても高いところにあって、子どもでは届かず、日が短くなると夕方は真っ暗になった階段を5階まで上れなかった記憶があります。雪が降ると、1階の玄関口に雪かき用のスコップが置かれていたので、それを使って電気を点けていました。

 

こんなことを今になって思い出してみると、たくましいなぁの一言に尽きますね。

 

うちの子ども達がそんなことをやっているなんて想像もできないし(まぁ環境も違うけど)、それだけアメリカと日本で「子どもの自由」の定義が違うんだなと感じるのです。

 

私は今、母親になって、子どもにとって良いこと・悪いことの区別がつくようになりました。

子ども時代は「楽しいからやりたい」か「面倒くさいからやりたくない」と主観でしか測れなかったものも、やはり親になって、「あれは起こるべくして起こったんだな」と理解できることがたくさんあるし、自分の子どもたちにも、良い部分は引き継いでもらいたいと思っています。

 

 

子どもを預けて働くというのは簡単なことではありません。

(まぁ私なんかが言うまでもない真実であることは誰もがご存知だと思いますが)

 

預け先が保育園だろうと、親だろうと、お金がかかってようとそうでなかろうと、やはり子どもとの間に物理的な距離をおくということは、簡単なことではありません。

もちろん、仕事をしている最中は、夢中で忙しくて、毎秒毎分、子どものことは考えないかもしれない。

だけど、やっぱり「そばにいてあげたほうが良いのかな?」という迷いは、毎朝、子ども達をドロップオフしたときにひょっこり出てくるものだし、そういう迷いと毎日向き合うのは簡単ではないからです。

 

 

私が育児休暇からフルタイム復帰すると決めたとき、いくつかのデイケアを見てまわりました。

アメリカでは日本のような国や政府が支援するという全日制の公共託児施設はありませんから、全てプライベートです。

サンディエゴダウンタウンの私の職場から3ブロックのデイケアは、子ども二人で月2,500ドル。日本円にして月28万円です。私の手取り給料が吹っ飛びます。

このデイケアは、入り口に警備員が常駐していて、外からは子どもが全く見えないようになっています。子供用のパソコンもあり、建物も新築です。

 

「う~ん、アメリカの共働きは高くつくなぁ」

 

月2,500ドルという月謝を聞いたとき、ショックと同時に、この世の中にはそれでもやっていける家庭がごまんといること、つまりそれだけの給料をもらっている共働き夫婦がいるということを実感したのです。

 

その後、いくつかのデイケアを見て回り、結局、前の家から近い教会が運営しているデイケアに空きを見つけ、二人で月1,200ドルと半額以下の月謝になったのでした。

こちらは施設も古いのですが、エリアが最高に安全だったので、それほど不安はありませんでした。私は自分の手取りの半分を毎月デイケアの月謝に割きながら、上の息子が卒園するまで約3年間働いたのです。

 

この間ずっと、残った半分の給料は、子ども達と離れている時間に値するのか?と何度も自問しました。

 

「新しい家を買う」という目標がなければ、この質問への答えは「ノー」だったかもしれません。

 

子ども達が小学校に入るまで、待っても遅くない。(事実、そうする親がとても多いのがアメリカ)

 

今の自分が、5年前の自分にかける言葉があるなら、そういうかもしれません。

 

フルタイム復帰

デイケア探し

夏休み

小学校入学

 

そういう変化が起こるたびに、とにかく手探りで、夫婦で色々な話し合いをし、情報集めをし、それでも「これで良いのかなぁ?」と立ち止まっては悩みながらの日々です。

何が正解で、何が家族にとってベストなのかなんて、きっと一生わからない。

 

そんな中で、何かを決断をするときにはこういうことを自分に言い聞かせてきました。

 

最初から完璧なものは絶対にないということ。

世の中にはたくさんの選択肢があり、上を見たらキリがない、下を見てもキリがない、ということ。

大事なのは自分たちにとって「これならできそうだな」と思えること。

とりあえずやってみて、ダメだったらまたそのときに考えようと思えること。

 

結局は、色々なことを天秤にかけて、必要に迫られているならそれも天秤に載せて、やらなきゃいけないことはやらなきゃいけない。英語では “You’ve gotta do what you’ve gotta do.” と言いますが、親になったらそういうことがとにかく増えます。

 

 

 

そんなわけで、「日本死ね」と言いたい親の気持ちはすごくよくわかる。

私も同じことを思うだろうなと思うし、こう言わせてしまう一般家庭と政治家の間に生まれたギャップの大きさを、今一度見つめなおす必要があると思う。

「日本死ね」というのはただ単に保育園の不足だけではなく、慢性化した日本の長時間勤務や不景気など、個人ではどうしようもできないネガティブな文化へのイライラが発散された言葉のようにもとれる。

 

しかし同時に、今あるシステムに不平不満を言うだけでは何も起こらないのも事実。

 

ここがアメリカと日本の違いだな、と思うところは、不満がある立場の人たちが、「ここは良くないので、こういう方法でこれを作ってください。予算はここからこうやって持ってきてください。」ときちんとした代替案をプレゼンするというところ。

特に市民団体の力は強く、様々な分野でNPOやサポートグループがあるこの国では、同じ意見を持つ人たちが意思表示をしやすくなっています。

 

私が思うに、それこそがデモクラシー(民主主義)であり、お上(政治家)から与えられるものを待つだけでは、結局、受身にしかならないのです。

 

少し前に、ホストファザーのジャックにこんな質問をされた。

 

「キミは、日本にいるよりも幸せだと思うか?・・・もし比べられるとして。」

 

私の答えがどんなものだったかは想像にお任せしますが、アメリカはデモクラシーというものの存在を実感できるのは確かだ、と言いました。

 

 

 

日本で働くパパとママたちが、自分の選択肢に自信を持って、働きに行けますように。

子ども達が親とはなれている時間も、安全に、健康に、成長し続けられますように。

 

 

 

 

 

 

 

“「保育園落ちた、日本死ね」” への2件の返信

  1. 保育料金の高さにびっくり!私たちも子育ての時は高いほうの部類で、親のものはあまり買えなくてじいちゃんが気の毒がって靴とか買ってくれたっけ。お金もだけど、買いに行く時間もないっていう現状だったけど。えりなちゃんもいろいろ味わって今があるのですね。皆、その時々一生懸命に生きているのだ。平和であることがありがたい、あべさん変なことしないで!

  2. 松原千賀子さん
    そうだね、みんな結局、そのときにできることを選んでやっているわけだから、ないものねだりしても生産的ではないよね。
    何事も一過性のことであることがほとんどだし、「10年経てば笑い話」を信じて今はコツコツとやるしかない。子どもも子どもで苦労したり、我慢したりの連続なんだろうし、それを言い出したらキリがないよね。
    松原家のおじいちゃんとおばあちゃん、懐かしいです。

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