2012年一般選挙 Propositionってなんだ?

11月6日の大統領選挙(Presidential Election)を目前に控え、今回は、”General Election”(一般選挙)と呼ばれる、州政府の新しい法律、自治体統治者の選挙について紹介したいと思います。この一般選挙への投票も、大統領選挙の投票と同時に行われます。

 

数ヶ月前、我が家の郵便受けにこんな冊子が入っていました。

 

 

これは、California State General Election 2012 Voter’s Guideと呼ばれるもので、”Proposition(プロポジション)”と呼ばれる新しい法律案が紹介されています。

このPropositionはそれぞれに数字やアルファベットが振られており、”Prop 11″とか、”Prop H”などと省略して呼ばれます。数字は州政府、アルファベットは郡政府(County)ごとのPropositionです。

また、それぞれのPropositionの賛成派と反対派が、”Yes”または”No”と掲げるので、ここ数ヶ月は、”Yes on 28″とか、”No on Prop B”なんていう道端の看板やテレビのCMを目にしたのではないでしょうか。

 

それでは、今回のPropositionをカリフォルニア州限定ですが紹介してみたいと思います。

 

アメリカの州政府というのは日本の都道府県に比べて、大きな執行権を持ちます。

そして、私たちの実生活に直接的な影響を与えるのも、実はこのPropositionだと言っても過言ではないくらいです。

テレビなどのメディアでは大統領選挙がメインイベントに据えられがちですが、目の前の増税・減税や業界によっては明日の仕事に関わるものも多く、「大統領どころじゃない!」・・・とそこまでは行かないか。まぁこっちも大事ってことです。

 

それでは、今回の選挙ではどんな法律案が掲げられていて、それが可決・否決されることで、将来的にどんなことが起きるのか、ちょっと見てみましょう。

(ちなみに、Propositionが可決されて法律として施行されることを、”Law goes into effect”と言い、施行日を加えて、”Law goes into effect on January 1st, 2013″なんて言います。)

 

 

今回2012年のカリフォルニア州一般選挙のPropositionは、30~40までの11個。カリフォルニア州に住む有権者は、全てのPropositionに賛否の投票をできます。

このVoter’s Guideは、このページで読めます。今回は”Quick-Reference Guide”を参考にしましたので、該当する番号を探して、縦に見てください。

 

Proposition 30(ガイドブックの5ページめ): Temporary taxes to fund education. Guaranteed local public safety funding. Initiative constitutional amendment.

「教育への増資を目的とした一時的な増税。保証された地元の安全への増資。法改正のイニシアチブ。」

これだけじゃさっぱりわかりませんね。「え!増税?!」と一文めは理解できるけど、その後の二文はとっても曖昧です。

 

なので、その下の”Summary”を読んでみます。

“Increases taxes on earnings over $250,000 for seven years and sales taxes by 1/4 cent for four years, to fund schools.

Guarantees public safety realignment fundings.

Fiscal Impact: Increased state tax revenues through 2018-19, average abour $6 billion annually over the next few years. Revenues available for funding state budget. In 2012-13, planned spending reductions, primarily to education programs, would not occur.”

なるほど。

増税の対象は、

(1)収入が$250,000以上の人の所得税を7年間にかけてアップ(2018年まで)

(2)消費税を4年間にかけて0.25%アップ

その目的は公立学校、特に州立大学への予算をアップするため。

 

実際の税率については、Proposition 30 Title, Summary and Analysisを開き、13ページめの表(“Current and Proposed Personal Income Tax Rates Under Proposition 30”)にあります。

これまでは、シングルファイリング(独身として税金を納める場合)で$48,029以上、ジョイントファイリング(夫婦として税金を納める場合)で$96,058以上の収入があれば、一律で9.3%の所得税をカリフォルニア州に納めていました。

つまり、所帯の年間収入が$96,058の家族も、$1,000,000の家族も、同じだけの税率(9.3%)で所得税を払っていたのです。

 

Proposition 30ではこの税率を上げ、

シングル収入 ジョイント収入 現在の税率 Prop 30の税率
$250,000~$300,000 $500,000~$600,000 9.3% 10.3%
$300,000~$500,000 $600,000~$1,000,000 9.3% 11.3%
$500,000~ $1,000,000~ 9.3% 12.3%

 

にしようというものです。

これは富裕層を対象にした増税策で、民主党的な要素がありますが、この記事によると、この法案は”nonpartisan”、つまり党派に属さない分析をもとに作られました。この増税策を新しく作ろう、という意味のイニシアチブです。

 

 

そもそも、現在のカリフォルニア州予算は瀕死状態にあり、ここ数年は公立学校の縮小や、public safetyと呼ばれる警察・消防などが縮小され、レイオフされた小中高校の先生や消防士が多くいました。

現カリフォルニア州知事ジェリー・ブラウンは、労働組合(union)の支持を得て当選しており、労働組合が強い分野である教育や公共サービスをサポートする法律を作ろうとしています。これもその一つです。また、富裕層への増税とすることで、自分の支持層である中産階級層の支持を得る計画です。

 

もしこのProposition 30が否決されたらどうなるかというと、15ページの表3 “2012-13 Spending Reductions if Voters Reject Proposition 30″を見てください。

これは、予算が削減されるであろうそれぞれの分野です。

これによると、公立小中高とコミュニティカレッジが$5.3 billionの予算削減(ミリオンじゃないですよ、ビリオンですよ)、University of California系列とCalifornia State University系列がそれぞれ$250 millionの予算削減です。

学校への予算削減となると、クラスがカットされ、スタッフや先生たちがカットされ、授業料は上がり、生徒は授業を取れない・・・というまたも魔のサイクルに陥るわけです。

日本にお住まいの方は信じられないかもしれませんが、こういうことがカリフォルニアではおこっているんですよ・・・・。

教育を切るな~!

 

と、説明がかなり長くなってしまいましたが、これはProposition 30の内容でした。

同じくProposition 38も増税を行って、こちらはK-12、つまり義務教育の予算を増やすというもののようです。

 

 

 

他のPropositionの内容としては

  • 31 州政府から郡や市への予算の割り当てについて
  • 32 労働組合の政治的使途での資金利用を禁止
  • 33 新規自動車保険の提供について
  • 34 死刑の撤廃について
  • 35 人身売買の刑法訴訟について
  • 36 3度目の重罪犯罪者の受刑について
  • 37 遺伝子組み換え食品のラベル表示について
  • 39 複数の州にまたがる企業の納税と代替エネルギー予算について
  • 40 連邦議会上院選挙の区分の変更について

 

などなど、幅広いトピックで提供されています。

全部の説明はできないので、「これってなんなの?」と興味や質問がある人はぜひコメントで教えてください。

 

また、私の住むSan Diego CountyのPropositionはA~Z, AA, BB, CC, EEの30個ありますが、居住市による投票なので、全てに投票ができるわけではありません。

こちらは、市教育委員会(School District)の予算や資金源(bondがメイン)についての案が多いですね。また、市長選挙や市議会議員選挙なども同時に行われるのではないでしょうか。

 

大統領選挙とはまた一味違う、この一般選挙。

個人の生活に密着している法案はこちらで決められるのですが、いかがでしょうか?

 

 

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