卒業式に何を思う?
こんにちは、Erinaです。
アメリカでは卒業シーズンの真っ最中。
5月中旬からの各大学での卒業式が終わると、これから6月に向けて、各地の高校が卒業式で忙しくなるところでしょうか。
今日は、私が卒業した時にはなかった、アメリカの卒業式における新しい伝統を紹介したいと思います。
アメリカの卒業式では、卒業生は “Graduation gown and cap” と呼ばれる、マントのような「ガウン」と、角帽の「キャップ」をかぶって式に参列します。
ガウンとキャップの色はマッチしていますが、黒だったり、白だったり、青だったり、エンジ色だったりと、学校のスクールカラーによって異なります。
キャップからぶら下がっている紐のようなものは、”tassels” と呼ばれ、学長などが「本日、◯◯人の学生がこの学校を卒業することを宣言します。おめでとう。」というようなことを言ったら、顔の右側から左側に移し替えます。これが正式な卒業の証。
そして最近の卒業式では、この「キャップ」を使って、様々な自己表現をするのがどうやら流行のようで、学生たちが卒業という節目に思うことを、それぞれにデコレーションするのです。
ジョークのようなものもあるのですが、たいていは、「やったぞ〜!」という学生たちの達成感を表現するものが多く、やはり「卒業が大変」と言われるアメリカの大学を卒業するというのは、どの学生にとっても誇らしい瞬間なのでしょう。
日本では、大学入試の時期に、東大の合格発表でラグビー部が合格者を胴上げ・・・というシーンがあったりしますが、あの「感無量!」という感覚が、アメリカではまさに「卒業」という場面なのです。
先週、私も卒業したサンディエゴシティカレッジの卒業式が、バルボアパークのオルガンパビリオンで行われ、卒業生と彼らのキャップの写真がフェイスブックに載っていたので、いくつか紹介してみます。
“Berkeley Bound” (バークレー行き)
と大きくありますが、彼はバークレーへの編入が決まったのでしょう。コミカレからUC他有名大学に編入する学生はたくさんいて、コミカレの教授や学生たちにとって、すごく誇らしい瞬間です。
“Thanks Mom. This is for you, Jayden”(ママ、ありがとう。これはあなたに捧げます。ジェイダン)
良いですね。頑張って欲しいです。
「やったぞ!」というメッセージも良いのだけれど、こういう「これからもやってやるぞ!」と前向きなメッセージはやっぱり力をもらえます。
ちなみに、「ナントカ bound」で「ナントカ行き」という言い方は、バスや列車などでよく使われる言い方です。
“The Refugee with the Degree 2017”(学位をもった難民 2017)
“Refugee” と”Degree”はライミング(韻を踏む)になっていますね。
彼はきっとアフリカ系の難民としてアメリカにやってきて、シティカレッジで学位を取得したのでしょう。
私がこのサンディエゴシティカレッジを好きな理由は、難民や移民がとても多く、その上で、新しいスタートを切って、夢に向かう学生がものすごく多いところでした。
だからこうやって、自分が難民であること、その上で卒業という一つの目標を達成した!ということを、認知、感謝できるこの学校がすごく好きでした。
おめでとう!
これからも頑張って欲しいですね。
“my parents crossed the border so i could cross the stage!”(私の両親は、国境線を超えた。私がステージを歩くために)
“cross” は国境のような「線を越える」という意味と、ステージなどを「横切る」(つまり歩く)という両方の意味があります。
ステージというのは、卒業式の表彰台のことですから、つまり、「私が大学卒業できるように」という意味になります。
彼女の両親は、メキシコからの移民(不法か合法かは謎ですが)で、その結果、彼女がアメリカで学位を取得することができたのでしょう。今日のアメリカでは、トランプ大統領のメキシコ国境政策が大きな話題ですが、シティカレッジにはメキシコ移民の学生がものすごく多いので、これも熱いトピックになります。
表面的には見えなくても、どの家族にも様々なストーリーがあるのだろうな、という気がしますね。
“Product of Immigrants” (移民たちのプロダクト)
これもメキシコ系の学生のキャップ。
“1st Gen(eration) of many.
1st Degree of many.
1st of the Family of many.”
とあります。
「あらゆるものの一世、家族で一番最初、最初の学位」
という感じかな。
つまり、家族で初めての大学学位なのでしょう。
現在の日本では、親や親戚も含めて家族の誰も大学に行ったことがないという学生は少数派かもしれませんが、アメリカでは、そのような家族はまだまだごまんといます。移民や難民を含めたらもっと多いでしょう。
だから、「家族で初めての大学卒業」というのは、とても一大事で、親きょうだいだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃん、おじさんおばさんいとこまで卒業式に参加するのは納得できますよね。
自分の母校はどんな学校だったかを知っているので、こうやって若い学生たちが、昔の自分と同じ思いを持って卒業していくのを見ると、なんだか胸がいっぱいになります。これがアメリカの愛校心なんでしょう。
みんな、おめでとう!
今日の熱い思いを持ち続けて、コミュニティにとって役立つ人材になっていくことを祈っています。
Congratulations to Graduates of 2017!