ドラマ「ドラゴン桜」と子供への信頼
こんにちは、Erinaです。
ドラマ「ドラゴン桜」がリニューアルしてスタートしたそうで、2005年に放送された元祖版を見直しています。
落ちこぼれ高校に通う高校生達が東大合格を目指すというこのドラマには、忘れちゃいけない教育の根本的なものがぎっしりと詰まっていて、私がこのブログで伝えたいこともたくさん含まれていて共感するばかりです。
そんなわけで、2005年に放送された元祖版「ドラゴン桜」に込められた教育観をレビューしてみたいと思います。
第8話では、これまで一生懸命勉強してきた生徒達が、東大模試を受けたところ、その結果に思わぬ挫折感を味わうストーリー。
ここまで頑張ってきたにも関わらず、東大特進クラスの生徒達は「受験はやめる!」と言って教室を飛び出していきます。
そこであえて生徒達を突き放す桜木先生と、不安を感じる井野先生。
今日は、大人(親や教師)の立場から、このリアクションの違いについて書いてみたいと思います。
まず、このドラマ(新旧)を通して感じられるのは、桜木先生が生徒達へ持つ「信頼」。
つまり、大人が子供を信じる力です。
これは、子供自身のやる気や判断力を大人が信じる力であり、決して冷たく突き放したり、放任しているわけではありません。
桜木先生は、生徒一人ひとりの弱点や強みを深く理解し、それを踏まえた上で、彼らの向上心を信じているのです。
実はこれは大人にとって、とんでもなく難しいことです。
なぜなら大人の常識や事情、人からどう思われるか、みたいなものが邪魔するからです。
「時間がない」
「忙しい」
「もう○年生(または○歳)なんだし」
「予定がある」
「これはこうあるべき」
みたいな理由で、子供が自分の手でやるべきところを、遮ってしまったり、チャンスを奪ってしまったこと、一度はあるはずです。
そこで大人も子供も、歯を食いしばって、いわゆる「正論」を突き通せるか。
それが強い大人ができる「子供を信じる」ということです。
このプロセスはものすごく painful です。
大人がちょっと手を出したり、情報をあげれば、その痛みは取り除けるかもしれない。
だからこそ手を出したくなる。
尻拭いしてあげたくなる。
でもそれが、子供を本当に助けるのでしょうか。
ドラマの中で、桜木先生がこんな例を伝えます。
「釣った魚をあげても、その子を助けることにはならない。魚を自分で釣る方法を教えるべきだ」と。
これは英語でもよく使われるフレーズで、もともとはイタリアのことわざのようです。
Teach him how to fish and you feed him for his life time. — Italian proverb.
「(子供に)魚を釣る方法を教えれば、一生、食いっぱぐれることはない」
少し頑張れば乗り越えられる試練と、そのための道具を用意してあげる。
そうすれば、子供達は自分でその試練を見極めて、あとは自力でなんとかする。
桜木先生は生徒達のレジリエンス(困難を跳ね返す力)を信じて、あえて放っておくことにしたのです。
挫折感を味わいながらも諦めずに戻ってきた生徒達には、それぞれに諦めたくない理由がありました。
それは「自分への投資」です。
“They are invested in it.”
つまり、ある程度、自分自身をそこにコミットしてしまった以上、そんなに簡単に諦められない。
それは時間や物理的なものではなく、もっと精神的なもの。
日本語では、「やると決めた以上、ここであきらめたくない」みたいな気持ちですね。
これは他人がどうこう言えるものではなく、自分自身の中にあるものです。
人間誰でも、そこに火がつけば、周りなんて見えなくなるくらいの揺るぎない決意と覚悟が生まれます。それこそ、他人に何をどう言われようと、どんなことをしてでも目標にたどり着きたくなる。
親や教師がやるべきことは、そこに着火するお手伝いであり、強要することではありません。
それを勘違いしてしまうと、大人は時間と労力とお金を無駄に費やしてしまうことになり、なによりも、子供との信頼関係が壊れてしまう。
そうならないためには、とても繊細なバランスを保ちながら、一歩離れたところから、とてもケアフルに見守ること。
それこそが親や教師のあるべき姿なのではないでしょうか。
日本時間では6月5日22時9分なのでこんばんは。
元ヤフー代表取締役社長で、現在東京都副都知事の宮坂学さんがErinaさんのブログ記事を紹介されていたのがきっかけでこちらの記事も読ませて頂きました。
私も会社の後輩と接している中で、ついつい先回りした解を渡してしまうため、「それが強い大人ができる「子供を信じる」ということです。」という言葉が突き刺さりました。
宮坂さんが紹介されていた、「アメリカ社会に存在する “PRIVILEGE” とは」という記事も興味深い記事でした。とても参考になりました。
次の投稿を楽しみにお待ちしています。
以上 よろしくお願いいたします。
齋藤誠さん、こんにちは!
コメントをいただき、ありがとうございます。
他の記事も読んでいただいたようで、とても嬉しいです。
ぜひまたいらしてください。