アシュレイ・マディソンの悲劇
こんにちは、Erinaです。
昨日のCNNで、あるニュースを見つけました。
ご存知の方も多いかと思いますが、欧米を中心に、「不倫専門出会い系サイト」として有名なAshley Madison(アシュレイ・マディソン)が7月にハッキングされ、登録していた3,200万人の個人情報がリークされました。
中には、.gov(アメリカ政府)のメールアドレスや、.mil(アメリカ軍隊)のメールアドレス、業界では有名人のメールアドレスなども含まれており、対象者たちは冷や汗どころじゃない体験をしていることでしょう。
“Impact Team”と自らを呼ぶハッカーグループの正体は明らかにされていませんが、アシュレイ・マディソンの元社員で、会社に不満を持っていたという噂や、会社のITの脆弱性を知っていた人間だとか、様々なニュースがあります。
このハッカーグループは数ヶ月前に、「当サイトをシャットダウンしないと、情報をリークする」という警告を出していました。
ハッカーの警告文には、「登録しているのは男性ばかりで、女性登録者はフェイクの情報だ」とか「ユーザーが登録を消すための違約金を払っても、実際はデータベースから個人情報を消されていない」というアシュレイ・マディソンへの指摘、そもそも「不倫という行動に恥を知れ」というユーザーへの指摘など、かなりまっとうなアナウンスがされていました。
私もこのニュースを聞いて、「身から出た錆」という言葉を思い出したので、むしろこういう世の中のためのハッキングなら、必要な存在なのでは?と思ったのです。
そんな中で、このCNNニュース。
アシュレイ・マディソンハッキングの「直接的」な影響が出たのは、今回が初めてのこと。ニュースには挙がらない、個人レベルでの影響はきっともっとたくさんあるはずです。
ニュー・オーリーンズのPastor(神父)が、このハッキングによって自身の情報をリークされたことで、自殺してしまったのです。
彼は生前から、Depression(うつ)に悩んでおり、リーク後、このサイトに登録していたことをとても申し訳なく思ったのだとか。
家族がCNNのインタビューに答えていますが、「彼は人に『許す』ということを伝えていたけれど、自分自身には届かなかった。」とのこと。
私がこのニュースを聞いて感じたことは、ハッキングはこれからの犯罪スタイルのメインになるということ。今回のケースが「犯罪」になるかどうかはわかりませんが、ハッキング=情報操作がとてもパワフルで影響力の強いものだということは、これで明らかになりました。現代の情報化社会では、情報を操ったり、作ったりできる人間が強いのです。(良い悪いに関わらず)
テロや凶悪犯罪も、今までのようなものだとコストも人材やリソース、時間もかかるでしょう。
しかし、ハッキングは仕組みを知っている人間であれば、とても効率よく色々なことを支配できます。21世紀のテロはサイバーアタックだと私は思っているのですが・・・。
今回のハッキングは、狙い先も鋭く、主張もまっとうで、やり方もストレート。アメリカ国内では、「凶悪犯罪だ!」とこのハッカーグループを批判する声はまだ聞きません。それが興味深いところです。
そんな社会で生きる上で、自分(と家族)の個人情報をどうやって守るか?という意識や姿勢が必要になってきます。
便利なサイトがものすごくたくさんある中で、「新規アカウントを作成する」というボタンをクリックするときに、もう一度、考えるべきだと思うのです。
私もIT系の出身なので、少なからずそのボタンのバックステージに何があるか?を知っているのですが、想像以上に大きいデータベースと、想像以上に速いプロセッサーが常に動いています。その動きは指数関数的な速さで、24/7です。そしていったん入ってしまったら、完全にその情報を消すことはできません。
だって、3,200万人ですよ?
おそらく数人(もしかしたら、一人とか二人かも)のハッカーグループが、これだけの人間と、その家族に影響を与えることができるんです。ものすごいことです。
そして、「間違ったことをしている」とわかっていながら続ける人間の弱さ。
誰だって間違いは起こすものですが、それとどうやって向き合うか。
自分自身が試されるときに、何を選ぶか。
弱い自分を受け入れ、家族に許してもらうことを受け入れ、それを一生抱えて生きていく、というのは簡単ではありません。
それでも自分の中で懺悔をしながら、与えられた家族と幸せになる、ということをこの神父はできなかったのか、と思うと残念です。
そういう人間のあり方や、夫婦のあり方を考えさせられたニュースになったのではないでしょうか。
みなさんは、このニュースを聞いて、どう思いましたか?
もし、自分の配偶者の名前がそこにあったら、どうしますか?