
サンクスギビングに子どもに教えたいこと
こんにちは、Erinaです。
みなさんはどんなサンクスギビングを過ごしましたか?
アメリカの子どもたちは、早くから「サンクスギビングの意味」というものを教わってきます。 うちの子どもたちもプリスクールの頃から、「ピルグリムがやってきて・・・ネイティブインディアンと食事をして・・・」ということを教わってきました。
今年、もうすぐ8歳になるうちの長男に、それ以上のものを教えたいと思った私は、サンクスギビング前夜、旦那にこんな相談をしました。
私:「あなたがサンクスギビングディナーを作っている昼間、長男をサンディエゴダウンタウンに連れて行こうと思うの。それで、ホームレスの人たちが存在する現実を教えたい。」
旦那:「うん、良いんじゃない。彼はそれを理解できる年齢だしね。この国では、それを教える人はたくさんいるよ。」
私:「そうなんだ。」
我が家では毎年、うちの旦那が朝からターキーやスタッフィング、キャセロールやらフルーツサラダやらを用意し、私と子どもはテレビを見たり、家の掃除をしたり、のんびりする日です。
しかし今年はその間に、息子に本当の意味での「感謝」ということを教えたいと思いました。
お昼頃になると私は、「ちょっと見せたいものがある」と言って、長男を連れ出しました。
長男:「どこに行くの?」
私:「ダウンタウン。」
長男:「どうして?」
私:「ちょっと見せたいものがあるから。」
長男:「ふ~ん・・・・。」
うちから車で20分。 私が毎朝、出勤に使うフリーウェイでダウンタウンに着きました。
フリーウェイを下りて、道ばたに車を止めると、私は長男にこう言いました。
私:「今日、あなたをダウンタウンに連れてきたのには理由があるの。それは、あなたがどれだけ恵まれているかということを知ってもらうために、ダウンタウンにいるホームレスの人たちのことを知ってほしい。彼らは帰る家もない。家に呼んでくれる家族や友達もいない。車もないし仕事もない。ベッドもないし、今夜、食べるものも約束されていない。」
長男:「・・・・・。」
バイパス下を通ると、両側の歩道にテントやブルーシートでホームレスキャンプが設営されていました。
私:「歩道を見て。とてもたくさんいるでしょう?」
長男:「あの人たちは、何を食べるの?」
私:「親切な人からもらったり、なければゴミから食べ物を探したり。」
長男:「げ~・・・。」
私:「そうよ、そうしないと生きていけないんだもの。」
そう言って信号で止まった瞬間、目の前の車から運転手が歩道にいたホームレス男性に食べ物を手渡しました。
私:「ホラ、あんな感じで親切な人が食べ物をあげるの。」
長男:「・・・・・。」
ホームレスシェルターがあるエリアに行くと、ブロックを囲うようにホームレスがテントやシートを張り、人々がごまんと道に出ていました。
「Wow…..」
あまりのホームレスの人の多さに、息子は言葉を失ったようでした。
中には年老いた女性や、子ども達の姿もあります。
「・・・・・。」
無言の長男。
私:「こんなにたくさんいるとは思わなかったでしょう。」
長男:「僕と同じくらいの子どももいるね・・・。」
私:「こういう生活、想像できる?」
長男:「・・・・。」
私:「とってもタフな生活だと思わない?」
長男:「うん。」
フリーウェイに戻ると、息子に聞きました。
私:「どう思った?」
長男:「一生懸命働いて、お金をもらって、家があることって大事だなぁって思った。」
私:「そう。」
長男:「どうして、家がなくなるの?」
私:「ほとんどの人は、家を借りたり、家を買うお金を銀行から借りることで、その家に住んでるの。所有しているわけじゃなくてね。家ってとてもたくさんお金が必要なの。だから、仕事が無くなって、収入が無くなったら、家のお金を払えなくなる。」
長男:「・・・・。」
私:「今、あなたのパパとママは、あなたとあなたのシスターのために、そんなことが起こらないように頑張って仕事をしているわ。だけど、経済が・・・って、『経済』っていう言葉、わかる?」
長男:「う~ん・・・聞いたことがあるけど、よくわからない。」
私:「そっか、じゃあこれは家に帰ってからまたゆっくり教えてあげるね。つまり、自分じゃどうしようもできない理由でホームレスになる人や家族が、この国にはたくさんいるということをあなたには知っていて欲しかった。」
長男:「・・・・。」
家のフリーウェイExitを降りると、近所のスーパーの駐車場に一旦停車しました。
私:「でね、もう一つ、覚えていて欲しいことがあるの。」
長男:「何?」
私:「自分じゃどうしようもできない理由でホームレスになる人はとてもたくさんいる。だけど、自分にしかコントロールできない部分もあるの。」
長男:「?」
私:「どういうことかと言うと、あなたの中の”Joy”をきちんと使いなさい、ということ。」
最近、DVDで見たディズニー映画“Inside Out”を例にして説明しました。
(これはある女の子の中の感情【喜び・悲しみ・怒り・恐怖・ガッカリ】がどうやってその子の言動をコントロールしているかというとても興味深い映画。)
私:「”Sadness”ばかりで生きている人は、『こんなこと自分にはできない』『こうなったのはあの人のせいだ』と、不幸なことばかり見て生きている。そうやってホームレスになった人もたくさんいるの。ママの言っていること、わかる?」
長男:「うん、わかる・・・。」
私:「だから、どんなに辛いときでも、”Joy”に出てきてもらって、『僕にはできるんだ』って自分を信じることは大事。わかる?」
長男:「うん。」
私:「ねぇ、あなたはこの先、どこに行っても、誰かのロール・モデルになる人なの。そうなろうって無理する必要はなくて、それがあなたという人間だから。それを忘れないで欲しい。」
長男:「わかったよ、ママ。」
私:「今日は一緒に来てくれてありがとう。あなたの年齢で、この現実を理解できる子どもはそんなにたくさんいないわ。あなたのことを誇りに思います。」
そう言って、一時間ほどの親子のフィールドトリップは終わりました。
サンクスギビングディナーには、ホストマザーとホストファザーを迎え、この体験について話し合った私たち。
長女がもう少し大きくなって、同じように理解できる日には、家族で食事配給のボランティアをしようという話にもなりました。ここカリフォルニアに私たち以外の親戚・家族のいない私たち夫婦は、ちょうど「サンクスギビングのあり方」を考えていたところだったのです。
元警察官のホストファザーは、長男にこう言いました。
「すごく良い体験をしたね。
僕たち大人はホームレスの存在を理解してる。でも正直に言うと、僕たち大人にだって、どう解決して良いかわからないことでもあるんだ。だから、若い君が現実と向き合って、こうやって見てきたというのはとても素晴らしいことなんだよ。」
この世界は広い。
そしてこの広い世界には、とてもたくさんの人が存在していて、自分とピッタリ合う人もいれば、そうじゃない人もいる。
大事なのは、合わない人や思想・文化を排除するのではなく、共存していくこと。自分の世界にinclude(含める)すること。
そのためには今ある自分と自分の生活に感謝し、オープンマインドでアンテナを広げ、できるときにできる範囲で、助けが必要な人に手を差し伸べること。
そういうことを教えたいと思ったサンクスギビングになったのでした。
Erinaさん、素晴らしい話をシェア頂きありがとうございます。何事もまずは現実を「知る」「経験する」ことから始まると思うので、子供のうちからそうやって色んなもの(特に自分とは違う環境・考え方・文化)を見ておくことはとっても大事ですよね。お子さんに対してそういう機会を意識的に作ってあげているErinaさんは、ステキなお母さんだと思います。
今回のお話を読んで、以前インドに一人旅をしたときに「いつか自分に子供ができたら、小さいうちにこういう世界を見せてあげたい」と強く感じたことを思い出しました。自分が子供の頃は、日本国外はおろか自分のコミュニティ外のこともまったく知らなかったので、こういう世界を小さい時に見ていたら、どう感じただろう・・・と思ったんです。
国外にまで出なくても、Erinaさんが実践されたように身近にもこうしたフィールドトリップができる場所は沢山ありますよね。またErinaさんのご家庭のお話を読むのを楽しみにしています♪
Mayuさん、こんにちは!コメントありがとうございます。
そうそう、理屈じゃなく、肌で感じて身震いできる体験って大事ですね。
教科書や人の話からは得られないそういう瞬間って、人間にとっての財産だと思います。ぜひインドに連れて行ってあげてください。
大人にとっては当たり前のことも、子どもにとってはそうじゃないかもしれない。
だからそういう学びの場所を作ってあげたいなと思います。