アメリカの小学校では何を教えるのか?

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こんにちは、Erinaです。

 

しばらく前のことに成りますが、小学校1年生になった長男の学校で行われた、ある父母イベントに行ってきました。

 

「カリキュラム・ナイト」と呼ばれるこのイベントは、校長の挨拶、PTAの紹介、そして各学年のカリキュラムの説明を受けます。他の学校では、”Parents Night”, “Back To School Night”なんて呼ばれているかもしれません。

 

 

新学年が始まり、長男が毎日、楽しく学校に行っているのを見て、親としては安心。

しかし、先生はどんな人なんだろう?アメリカの一年生ってどんなことを学ぶんだろう?と気になった私は、このイベントに参加することにしました。

 

 

昨年はキンダーガーテン(年長さん)クラスで小学校の最初の一年を体験した長男。

このときの先生は年輩でとても頼りになり、家族全員で好きな先生でした。長男は、「学校の何たるか」を教わり、アルファベット・算数などアカデミックなこともものすごく身につきました。

親として、この最初の一年で感じたことは、たとえキンダーガーテンでも、各学年で「できるべきこと」(Expectation)がきちんとあり、それを組み込んだカリキュラムが先生たちによって研究し、作られていること。

特に子供が小さいうちは、こうやって親がそれを理解し、手伝うことは必要だと感じたのです。

 

 

そして今年のカリキュラムナイト。

 

長男の一年生の教室に入り、担任のドッズ先生が入ってくると、彼女は一冊の本を読みました。

 

“Leo the Late Bloomer”

 

内容は、「書くのも、話すのも、他の子供たちに遅れをとっていたレオ。しかし、ママとパパはとにかく辛抱強く待ちました。そしてある日、レオも色々なことができるようになる」というシンプルなものでした。

“Late Bloomer”とは周りより遅れて成長する人や植物のこと。”bloom”は「花が咲く」という意味ですね。日本では「大器晩成」だなんて言葉がありますが、私もこの言葉が好きです。

 

ドッズ先生は言いました。

 

「この年齢(キンダー~2年生くらいまで)の子供たちは、成長にとても大きな差があります。速い子もいれば、遅い子もいる。大事なのは、親の辛抱強さと先生のフレキシブルさ。私たちの協力が絶対条件です。」

 

私は彼女の言葉にうなずかざるを得ませんでした。

 

彼女はおそらく私と同年代。2歳と3歳のママで、夜はなんと大学院にも通っているそう。将来はAdministrative(教育現場での管理職、つまり教頭や校長職)に就くために勉強しているそうです。

そして、彼女はPositive Action(ポジティブな行動)を教育現場で使うためのコミッティーにも参加しており、他の学校の教師たちをトレーニングしているのだとか。

これを家に帰ってうちの旦那に話すと、

“How does she do all of that?!”(そんなにたくさん、どうやってるんだろうね?!)

とビックリしていました。そんなスーパーママ先生に、私が刺激されないわけはありません。笑

 

 

ちょっと話がそれましたが・・・・。

 

アメリカでは、2010年に“Common Core Standards”という教育理念が導入されました。

現在では47州で導入されているこの理念は、英語と算数という基本的なアカデミック分野におけるカリキュラムの改革を目指すもので、カリフォルニアではCalifornia Common Core State Standardsと呼ばれています。

 

 

これが具体的にどういう形で導入されているかというのは、学校や先生によって異なると思いますが、私が感じたことは、これまでの詰め込み方式の教育ではなく、”Critical Thinking”を取り入れ、子供たちが自立して将来を描き、実現できるのを目的にしている、という印象です。

 

Critical Thinkingとは、現代、そしてこれからのアメリカ、国際社会でサバイブしていくには必要不可欠の要素です。

多様化していく現代社会では、「これさえやっておけば大丈夫」というマニュアルなどなく、まして統一されたものさしが存在しない社会では、「自分」というものさしの使い方を知らなければなりません。

アメリカの教育者たちは数年前にそれに気づき、このCommon Core Standardsとして教育現場に取り入れようとしているのです。

 

 

おそらく私の世代(20代後半~30代)は、統一されたものさしや詰め込み方式の教育で育った、最後の世代です。これは日本だけでなく、アメリカでもそうだったはず。

しかし、次の世代は全く別次元の時代を生き抜かなくてはなりません。

 

「この子達が大人になるときは、どんな時代になっているんだろう・・・?」

 

こう思ったときに、私は日米の教育文化の違いよりも、親と子のジェネレーションギャップを強く感じました。

 

 

では具体的に、このCommon Core Standardsが導入された小学校一年生のドッズ先生のクラスのカリキュラムを紹介したいと思います。

 

例に使うのは、英語のWriting(作文)のクラスです。どうやら、この学校はWritingに力を入れているようで、ドッズ先生はこの授業の説明に時間をかけました。

 

これまでのWritingのクラスは、先生が「今日は植物について作文を書きましょう。」と課題を提示し、子供たちがそれに沿って書いていました。

しかし、新しいカリキュラムでは、子供たちに自分で課題を見つけさせます

 

「今日は、うちのネコについて書こう。」

「今日は、週末に行ったビーチについて書こう。」

 

と、子供たちは自分たちでテーマを見つけ、どうしてそれを書きたいと思ったのかを作文で表現するわけです。これによって、自立性や探究心、表現力を育てられるのですね。

 

 

先々週、息子が白い紙を持って帰ってきていました。

添付された説明文には、こう書かれていました。

 

「これは、Writingのクラスで使うものです。子供の好きなものや好きなことをコラージュとして集めさせてください。子供がWritingのクラスで、テーマが必要なときのアイディアシートとなります。」

 

おぉ、なんか新しいなぁ!と思ったのですが、このコラージュのアイディアシートを使って、子供たちはWritingをするわけです。

このカリキュラムのおかげで、Writingクラス初日、25人の6歳の子供たちは、飽きたりやめたりすることなく、30分間の沈黙の中で作文を書いたそうです。すごい。大人でも難しいですよね。笑

 

 

ドッズ先生は、こういう衝撃的な説明もしました。

 

「子供たちのミススペル(スペル間違い)を全て訂正しないでください。」

 

えっ?そうなの?

 

「どうしてかと言うと、この年齢では、全ての単語を正しくスペルするということは期待されていないからです。」

 

そうなんだ・・・。

 

「スペルがわからないときは、『どうやって書くの?』と大人に聞くのではなく、音から推測する(“sound out”と言います)、自分で調べる、知っている単語を使うなど、自分で解決する方法を教えます。」

 

なるほど!

 

「また、この年齢の子供たちに必要なことは、知っている単語だけで数少ない文章を書くことより、ミススペルをしても頭の中のことを表現できることのほうが大事なのです。」

 

ほぉ~!説得力あるなぁ。

 

どういうことかと言うと、下の2文を見てください。

 

作文A:“I like my cat. She is cute.”

作文B:“I have a cat. He have wite far and lon teil. He jamp veri hi and run veri fast. He like to sit wiz my sister by windo.”

 

作文Aは、正しいスペルで書けていますが、その代わりに短い文章が2つしかかけていません。それは、この子供が正しく書ける単語に限りがあるからです。

作文Bは、スペルと文法はハチャメチャですが、ペットのネコについてとても詳しく表現されています。”I have a cat. He has white fur and long tail. He jumps very high and runs very fast. He likes to sit with my sister by window.”と書きたかったようです。

 

この二人の表現力・観察力などを考えたとき、どちらが自分のポテンシャルを引き出せるか、見てわかりますよね?

 

 

皆さんも経験があると思いますが、スペルがわからないときに、人に「ねぇ、○○ってどうやってスペルするの?」と聞いてしまうものです。

だけど、子供がこれをやり始めると、自分で調べたりして書くよりも、人に頼る癖がついてしまうそうなのです。

 

その年齢で、どれだけの単語を正しくかけるべきか、という水準ももちろんあるのですが(Sight Wordsなんかがそうです)、やはりそれだけでは自己表現できません。

その場合は、ミススペルを直すことより、文章として良いものを書くことをencourageするべきだそうです。

 

 

どうでしょうか?

アメリカの小学校では何を教えるか、小学校一年生の目線で書いてみました。

親も初めてのアメリカの小学校ですが、気づいたことがあったら書いていきたいです。

 

我が家の一年生、どんな成長を見せてくれるのか、楽しみです。

 

 

 

 

 

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About Erina

こんにちは、Erinaです。 日本で一浪した後、2002年に留学生として渡米しました。ESLとコミュニティカレッジを経て、4年制大学に編入。高校時代は大嫌いだった数学が大学で大好きになり、応用数学専攻で卒業。金融アナリストインターン、IT企業でデータアナリスト、銀行で不動産アナリストを経て、現在、キャリアチェンジの真っ最中。アメリカの高校で数学教師になるために、2016年夏に脱サラ。久しぶりの勉強と主婦業に専念しています。二人の小学生のママです。趣味は読書・ヨガ・テニス・ゴルフ・DIY・庭仕事で、最近の一番の楽しみは子育てです。 アメリカに住む日本人女性を応援したくてこのブログを始めました。

2 Responses to “アメリカの小学校では何を教えるのか?”

  1. avatar

    ゆりこ

    初めまして。
    コメントは初ですが、以前からいつも大変お世話になっております。
    LA近郊の学校に通う娘は今日から夏休みです。
    今年も1年間手探りしながら母も娘も頑張ったな~と感慨深く思うとともに、常日頃お世話になっているこのサイトに感謝の思いを伝えたくなりコメントさせていただきました。
    有益な情報ありがとうございます!
    これからもよろしくお願いします。

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    Erina

    ゆりこさん、初めまして!
    コメントいただき、ありがとうございます。
    お世話になっているだなんて、読んでいただいて嬉しいです。
    ゆりこさんも、娘さんも、お疲れさまでした。夏を十分に楽しんで、また秋から頑張りましょう!
    こちらこそ、これからも遊びに来てくださいね〜!

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