子どもを算数・数学嫌いにしないために(後編)

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こんにちは、Erinaです。

 

昨日の続きです。

 

 

 

算数の中の国語力

 

最近、子ども達に算数と数学を教えるようになって、しみじみと感じることは、算数・数学ができるためには、国語力はとってもとっても重要だということ。

「国語」はその国での言語ですから、日本の学校なら日本語、アメリカの学校なら英語、ということになります。

 

算数・数学の中の計算(たす・ひく・かける・わる)とか、移項とか公式に代入とか、っていうのは割と誰でもできる。でも、どうしてそうするのかとか、文章を読み進めるとか、与えられた情報を頭の中で整理・理解する、数式で表現する、というのは、断言しますが、算数というよりも国語です

あの林修先生も、「必修5科目の中で数学が一番大事」と言っていますが、やはり数学と国語というのはコインの裏表のような関係であり、どっちかだけ、ということはありえません。彼は国語の先生なので、(おそらくバランスを考えて)「国語が一番大事」って言わないだけで(笑)、数学が一番大事というのはつまり、国語も一番大事、という意味だと私は思っています。

 

私は日本の高校で、数学の落ちこぼれだったわけですが、アメリカにやってきて、英語で数学を勉強するようになると、数学が頭にすんなりと入ってくることに気づきました。講義を聞かなくても、教科書を一人で読んで予習もできる。そんなことは初めての経験だったのですが、その秘密が明かされたことがありました。

 

留学から初めて日本に一時帰国した時、高校でテニス部顧問だった数学の先生に挨拶に行きました。彼は、「数学は英語でやったほうが簡単」と言っていたのですが、それはやはり、英語の言語性みたいなものが、数学という学問にすごく合っているというのです。(たとえば、英語は主語・述語がはっきりしているところとか)

つまり、私が日本で数学ができなかったというのは、「日本語」ができなかったということになります。確かに、中学に入った途端に国語が苦手になりました。

思考というあいまいなものを、言語化して形にするためには、国語力が必要になりますから、中学・高校に入って、複雑な数学を理解するためには、単なる計算力だけでなく、読み取ったり、表現できる必要があります。

 

あるエピソードを紹介します。

 

私が大学、それもコミカレ時代ですから、大学1〜2年の時のこと。

この学年って、とにかくエッセイ(日本でいうレポート)をたくさん書かされます。英語 (English) のクラスに限らず、歴史、政治、保健、ビジネス、コミュニケーションなど、あらゆるクラスで、学期中に3つも4つもエッセイを書かされるんです。

 

私はまぁ何かのクラスの課題で、このスタイルでエッセイを書いていたわけですが、疲れてくると、自分のエッセイが論理的につながっているかどうか、わからなくなってきました。

その時、ちょうど取っていた微積分学 (Calculus) の教科書を引っ張り出して、微分の問題をやることにしました。

 

一次微分、二次微分をして、f’=0とf”=0になる点を見つけて、グラフの傾きと concave(凹凸)を調べて、表にして・・・という一連の作業をするわけです。

この一連の作業というのは、ごちゃ混ぜになることはなく、いつも必ず決まった手順でやりますから、物事が頭の中で整理されていきます。

 

で、一問、二問ほどやり慣れた微分の問題を解いて、またエッセイ作文に戻ってみると、あれま不思議。

自分のエッセイの中で、どこが論理的か、どこが論理的じゃないかが、とてもクリアに見えてくるのです。「あ〜、この文章はここじゃないだろう」とか、「この段落はこっちより先だな」とか、さっきは気づかなかった順番が頭の中ではっきりしてくる。

 

そんなわけで、私は今でも作文に行き詰まったら、数学の問題を解くようにしています。

 

・・・っていうと、ものすごく変人扱いされるんですが、まぁ数学ってそういうもので、英語と数学を、「文系か理系か」なんて切り離すことはできないですよ、ってこと。私も実は、修士号をEnglish Major(英語専攻)で取りに行こうかな、なんて考えたこともあるくらいですから。

 

 

考えるための会話

 

算数とその先にある数学という学問はそもそも、「考える」練習をするためのものです。

私が数学専攻で大学を卒業した時、ホストマザーに言われたことは、こうでした。

 

“Congratulations! Now you can THINK!”

 

「へ?」と思うでしょ?

 

日本語に直訳すると、「おめでとう!今のあなたは、考えることができるわね!」となります。

 

「考える」なんて誰でもできるでしょ?と思いません?

 

「今日の晩御飯は何にしようかしら・・・」

「今週末の息子の試合は、何時かしら・・・」

「旦那は今頃、何をしてるかしら・・・」

 

と、頭の中で思いを巡らせることは、誰だっていつだってしますよね。

 

だけど、厳密に言うと、これらは「思考」、つまりは英語の “Think” ではない、というのです。

 

ここでいう「思考」とは、Critical Thinking のことで、一つの問題からその解決策を練りだす作業のこと。まさに数学じゃありませんか。

 

確かにそうなんです。

 

人生の歴史と同じくらい長い歴史を持つ数学。たかだか4年間大学で勉強したくらいで、さっぱりわかりませんよ。わかったのは、「自分は、数学という分野では、全然まだまだなんだな」ということ。笑

 

でも、「どんな問題でも解決策を作り出せる」と言えるようになりました。

 

つまり、私が4年間数学を勉強して、学士号をもらったのは、サインコサインとか、なんちゃら理論とかを使えるようになったからではなく、「今、目の前にある問題(それが何であれ)を解決できる能力」が身についたからなのでした。

 

こういうトレーニングは、小数とか分数とかピタゴラスの定理とかに関係なく、日々、子ども達と家でできるものです。それも年齢にも関係ありません。

 

それが、「考える会話」です。

 

私は今回の小数足し算のトピックをうちの子供達と旦那に持ちかけてみました。

 

そして、「どっちが正しいか?」という議論ではなく、「どうしてこういう議論が起こると思うか?」という新しいトピックを誕生させてみたのです。

 

世の中には答えがぱっくりと分かれる議題がごまんとあります。英語では “Controversial topics” なんて言われますね。

ほとんどの人は、どちらか、つまりは反対か賛成について、それが正しいことを論破すればそこで終わり、と思っています。

だけど、その次の段階に行くトレーニングとして、「どうして反対なのか?どうして賛成なのか?」と両方の視点を考えてみなければなりません。

なぜなら、「私は反対です」「私は賛成です」で終わってしまうと、結局、平行線のままどこにも到達できないからです。

 

「どうして、先生はバツにしたのかな」

「どうして、この子は9ではなくて、9.0と書いたのかな」

「どうして、反対派は反対しているのかな」

「どうして、賛成派は賛成しているのかな」

 

なんてことを、子ども達にも考えさせて、彼らの言葉で表現させる。そうするとねぇ、面白いものがどんどん出てくるんです。

 

まぁこれは一例ですけど、我が家では大統領選挙の時も、環境問題も、学校のクラブ活動についても、こうやって子ども達に考えさせては、夕食時にディスカッションさせていますが、面白いですね。笑

 

私も旦那も、「これが正解」とは結論付けません。そうすると、反対意見の子が「間違い」になってしまい、自分の意見を言えなくなってしまうから。

親は、「なるほどね〜」と聞いて、「じゃあそれってさ、」と彼らの思考を掘り下げるための質問をするだけ。

 

うちでは、黙々と計算問題をやらせるより、家族でこういう会話を持つことのほうが数学的思考を育てるんじゃないかな、と思っていて、子ども達も、小数とか分数とか四則計算というテクニカルなものは、学校で習ってこなくても、どこかで覚えていつの間にか使うようになりました。ま、そんなものですよ。

 

 

 

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About Erina

こんにちは、Erinaです。
日本で一浪した後、2002年に留学生として渡米しました。ESLとコミュニティカレッジを経て、4年制大学に編入。高校時代は大嫌いだった数学が大学で大好きになり、応用数学専攻で卒業。金融アナリストインターン、IT企業でデータアナリスト、銀行で不動産アナリストを経て、現在、キャリアチェンジの真っ最中。アメリカの高校で数学教師になるために、2016年夏に脱サラ。久しぶりの勉強と主婦業に専念しています。二人の小学生のママです。趣味は読書・ヨガ・テニス・ゴルフ・DIY・庭仕事で、最近の一番の楽しみは子育てです。
アメリカに住む日本人女性を応援したくてこのブログを始めました。

6 Responses to “子どもを算数・数学嫌いにしないために(後編)”

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    mimi

    Erinaさん、明けましておめでとうございます。
    とっても興味深いトピックなので、私のブログで紹介させて頂きました。
    私の書いていることはMathとは関係無くトピックがそれてますが…

    ブログちょこちょこ拝見させてもらってます。

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    Erina

    mimiさん、あけましておめでとうございます。
    今年もよろしくお願いします。

    プログで紹介していただき、ありがとうございます。
    なんだか消極的なタイトルになってしまいましたが、「子どもを数学好きにさせる」というのはちょっとおこがましい気がして(笑)、とりあえず嫌いにさせないように・・・ということでこんなタイトルになってしまいました。笑

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    Pechako

    こんにちは、いつもブログ拝見しています。

    Erinaさんがおっしゃる、数学は英語でやったほうがすんなり頭に入るという言葉、信じてもいいのでしょうか!?笑
    今学期からコミカレで数学をとっているのですが、ついていけるか不安です。。。
    というのも、関数電卓を初めて使いますし、学生時代に数学で良い点数を取ったことは一度もないからです。

    数学は嫌いではないですし、むしろ好きになりたいといつも思っています。しかし、理解できないことに疲れ考えるのをやめてしまいます。

    Erinaさんは今でも数学は日本語で解くより英語で解く方が得意ということでしょうか?

    英語もまだまだ学習中の私ですが、もう少し英語が分かってきたら数学は私の味方だと思える日がくると思ってもいいですかね〜。

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    Erina

    Pechakoさん、こんにちは!コメントありがとうございます。

    私もそう言われてよくよく考えてみると、日本語で書かれた数学の問題が理解できなかった、ということがよくありました。
    でも英語で書かれた数学の教科書はスラスラ読める。
    自分でどちらの言語が読みやすいのかを調べるために、数学の教科書を読んでみるのは良いですね。
    やはり基本的な英語力というのは数学以前で必要なものだと思います。Pechakoさんの英語のレベルがどれくらいなのかわからないのでなんとも言えませんが・・・。
    基本的に、英語が外国語・ネイティブに関わらず、授業で取り扱っている部分は、クラスの全員にとって真新しいことだ!と思って、自分が不利じゃないことに自信を持ちましょう!わからないところはどんどん質問して。

    あと、大学に入って学んだことは、数学にかかわらず、日本語ではさっぱりわかりません。笑
    情報が英語で入ってきているものは、ここ15年ほどは日本語に翻訳していないので・・・。数学も日英混ざっちゃいます。

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    Kayo

    こんにちは、アメリカでの子育て方法を検索していて飛んできました。
    数学の観点からも色々と興味深い記事を書かれていて、これからもErinaさんの記事を楽しみにしています!

    まだ子供たちはプリスクールなので小さいですが、今我が家ではちょうど数学の必要性や数学と国語の関係性、Critical thinkingの重要性をひしひしと考えているところでしたので、とても参考になりました。キンダーに向けて習い事やアフターケアについてもそうですが、子供と親の関わりの記事では本当に考えさせられるものがたくさんありました。

    ありがとうございました。
    Erinaさんの記事に出会えて感謝です!

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    Erina

    Kayoさん、初めまして。
    コメントいただき、ありがとうございます。

    私も、自分が算数や数学を教わるのと、子供に教えるのとでは違うんだな〜という発見ばかりです。
    もちろん時代的なものもあるでしょうし、何より数学って経験値が大きな要因の学問なので、今ならわかる!ということがすごく多いんですよね。
    だから、大人と子供で、算数に対して見方が違うのは当たり前なんだなぁと感じます。
    これからも、子供目線で面白い算数・数学の勉強の仕方を紹介していきたいと思っていますので、ぜひまたいらっしゃってくださいね!

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