働くママ、学校に行く
こんにちは、Erinaです。
ここアメリカで大学を卒業した2007年、「いつか大学院に戻れたら良いな~」とは思っていたものの、まずは就職の道を選びました。
それから6年後。結婚・出産・退職・そして再就職を経験し、現在の職場(金融系)で2年が過ぎました。「次のステップは何だろう?このままで良いのだろうか?」
数学系とビジネス系の両方の仕事を体験し、進みたい道は「ビジネスだ!」と確信できた私は、「じゃあMBA?」と少々ハードルを高く設置しました。
しかしMBAとなると、パートタイムで4年間の学生生活・・・・・そんなコミットメントはできるんだろうか?
その前にGMATを受けて、書類も集めて、ボスと相談して。準備も入れると、なんだかものすごく長い道のりに感じる・・・。
それより、MBAが今の仕事の役に立つのか?もっと他にやるべきことはあるんじゃないか?でもそれが何なのかわからない・・・。
こんなことを悩んでいる間にも、時間は過ぎていく・・・。
なんて悶々としていたここ数ヶ月。その間にリクルーターから連絡があったりして、”I’m totally lost.”な感じでした。
そこで、「一人で悩んでても始まらない!」と思って、まずはとにかく情報集め。
同期、直属のボス、先輩、会社のず~っと上の上司、トレーニングで出会った他企業の管理職の人たちから、様々なレベル、経験、角度のアドバイスをもらいます。
そこで言われたことは、
「待ってるだけじゃ扉は開かない。自分の仕事は自分で作りなさい。」
ということでした。
「昔は、一生懸命仕事をしていたら、ポンポンと肩を叩かれて、上司が上に誘ってくれたんだ。だけど時代は変わったんだよ。こうやってたくさんの人に相談しながら、自分にできることを伸ばしていく必要がある。」
ナルホド。確かに、ボスは私のやりたいことを わかってくれているだろう、と心のどこかで期待していた気がする。「こういうことがやりたい」って言い出すのが怖くて、きちんとボスと方向性を話し合っていなかった。
それに、ず~っと遠い未来ばかり見ていても、気後れするだけだ。まずは足元を固めないと。そして自分で切り開いていかないと。
そんな私が具体的に必要なのは「中級レベルの会計クラスを取る」ということでした。
「しっかりした会計の知識を得ることで、クライアントやCPAたちに質問できるようになりたい。」と伝えると、ボスは快諾。
そんなわけで、UCSD Extensionの”Intermediate Accounting”のクラスにサインアップしました。
(*大学の”Extension”(エクステンション)は、フルタイム学生としてコミットできない人たちに設けられた学校で、ビジネスやIT系などから、ピアノや陶芸など趣味の範囲のクラスもあります。留学生はESLに通うことが多いですね。)
これは毎週火曜日の夜6時~9時のクラスで、期間は6月末~9月始めまでの11週間。
このクラスはどうやら、Accounting Certificate(UCSDが発行する会計資格)の一部で、私の場合、他のクラスをあと5つぐらい取ると、CPA試験も受けられるらしい。
そうは決めてみたものの、ここで一番の私の心配は、何と言っても「家族」。
子供たちはどう思うんだろう?子供は言葉にできない分、別なところで寂しさを表す。
週に一度、夜に顔を見られない日があるなんて、子供もそうだけど自分は大丈夫なんだろうか?
それだけじゃない。仕事もある。
一日働いた後の夜なんて、集中して勉強できるのか?
宿題やテスト勉強のために、時間をうまく使えるのだろうか?
子供たちの水泳教室、空手教室だって平日の夕方にサインアップした。Too much on plate(盛り込みすぎという意味)じゃないだろうか?
そんなジレンマを持ちながらも、旦那の協力、夫婦の連携、子供たちの理解、何より自分のやる気を信じ、まずは短期間計画でやってみることにしました。
クラス初日の前夜、子供たちに「明日はママ、学校に行くからね。夜はあなたたちに会えないよ。次の日の朝、会おうね。」と言うと、
長男:「いつ帰ってくるの?朝?」(学校から朝帰りかよ・・・笑)
私:「ううん、あなたたちの寝た後の夜だよ。」
長男:「ふ~ん、わかった。」(あっさり)
旦那:「大丈夫だよ。」
私:「大丈夫だよね。」
とだけ言って、仕事後の足で授業へ。
子供たちとの時間が減る一方で、久しぶりに新しいことを勉強する楽しみ、クラスメイトたちと成長する楽しみはやはり隠せません。
「よし、とりあえず全力でやってみよう。」
資格とかCPA試験とか、今はあまり考えないでやろう。結果は後からついてくるはず、と自分に言い聞かせます。
10分早めに教室に着くと、大多数の学生はもうすでに着席していて、みんな私と同年代、似たような勤務年数を持つ約12名。ベンチャー企業、非営利、会計士事務所、外国の銀行・・・など、みんな様々な業界での経験を持ちます。
授業初日は、会計理論が中心。
普段なら「ムムム・・・」と頭をひねる部分ですが、驚いたことにスラスラと頭に入ってくる。これは自分にとっての新発見でした。
「そうか、今の仕事は、超微量ながらも経験になってきてるんだ。」
今までは、理論→実践だったのが、実践→理論というスタイルで勉強することで、実践の部分が頭の中できれいに整理されていくのです。大学卒業後は社会に出たい、という選択肢が良い方向に進んでいたという証拠になりました。
結果、理論でびっしりだった3時間と2チャプターはあっという間に終わり、内容も自分自身に染み渡った実感がありました。
「これなら、結構イケるかもしれない。」
夜のフリーウェイを運転しながら、久しぶりの授業に手ごたえを感じます。
全てが新しい情報だった学生時代に比べて、「学校に行く」ということのストレスが自分自身にとってはそれほど大きいものではない。
もちろん、勉強自体はしなくてはいけません。だけど今回は、勉強・仕事・家族・生活がうまく絡み合い、相互作用でスピードをつけて反応していく感じ。
「うん、これは新しい感覚。」
家に着くと、パドレスの試合を見ている旦那。
旦那:「学校はどうだった?」
私:「うん、よかったよ。あなたたちは?」
旦那:「全然、問題ないよ。」
私:「そうだと思ったけど。」
子供部屋の前を通ると、長男が暗い部屋の中でまだ起きてゴソゴソしています。私の姿を見るとにこ~っと笑い、ハグ。
私:「待ってたの?」
長男:「うん。」
私:「もう遅いから、今日は寝ようね。明日またね。」
そう言いながら、私もなかなか寝付けない学校初日が終わりました。
そんなわけで、学校生活が思いがけなく始まりました。フルタイム学生だったときとは異なる種類のプレッシャーを感じつつ、限られた時間を有効に使うこと、自分に与えられたチャンスに感謝することを覚えました。
短い間ですが、働くママの学校生活で、感じたことや体験したことをマイペースに書いてみようと思います。
次回:働くママ、学校へ行く (2)