この不況のアメリカで働くことの大変さ

こんにちは、Erinaです。

 

先日、学生時代からの友人がドイツから遊びに来ていて、久しぶりに「アメリカで仕事をすること」について考える機会となったので、書いてみたいと思います。

 

この友人は40代のドイツ人女性で独身。

20年前に語学留学と旅行でやってきたサンディエゴに魅了され、それ以来、長期のバケーションをとっては遊びにきていました。私もそれがきっかけで彼女と出会ったのが10年以上前のこと。当時は私も学生で、彼女はドイツの大手銀行でバリバリキャリアを築き、管理職でもありました。

 

母ひとり・子ひとりだった彼女。

お母さんが突然、心臓発作で亡くなったのが7年ほど前のことでした。

それをきっかけに、「アメリカ(それもサンディエゴ)で暮らしたい」という気持ちが強くなった彼女は、アメリカで仕事するチャンスを探すようになりました。

 

グリーンカード抽選への応募はもちろんのこと、数年前に見つけた仕事は、新設された語学学校兼留学エージェントでのマネジャーインターン。

オレンジカウンティのニューポートビーチで数ヶ月働いた後、新設されたワシントンDC校でマネジャーをすることになりました。

しかし、そこで馬車馬のように働かされつつも、インターンレベルの給料ではやっていけないと、結局、ビザの期限切れと同時にドイツ帰国。

ドイツでは教会団体のNPOで働いているものの、もとの会計・金融関係の職ではなく、キャリアと呼べるものではないそうで、今回の2週間滞在も、バケーションかつ仕事のきっかけを見つけるチャンスという計画でした。

 

彼女がドイツで持っている学歴は、いわゆる「4年制学士号」というものではなく、(ドイツの大学システムというのがよくわからないのですが)職業訓練的な会計学位みたいなもののようで、アメリカでは通用しないというのがネック。そしてアメリカでもフルタイムキャリアという経歴もないため、なかなか仕事が見つからない。

 

私もこれまで、彼女のレジュメを見せてもらったり、どんな会社やポジションを狙えば良いかという相談にも乗ってきましたが、特に最近の不況の中では、「かなり厳しい」の一言に尽きます。

 

それは、

 

  • アメリカ国内でも優秀な人材が溢れていること
  • 不況で求人枠が少ないこと

 

が原因で、特にこの世界的に誰もが「住みたい!」と思うサンディエゴでは、その雇用市場もかなり競争が激しいものだからです。

昨年2015年に、サンディエゴカウンティにやってきた新規居住者数は今までに最高だったそうで、これからサンディエゴの人口はますます増えると予測されており、これはアメリカ人・外国人に関わらず、この国で仕事を得るために乗り越えなくてはならない競争の一つでもあります。

 

ニュースでは、アメリカ国内のUnemployment Rate(失職率)が下がっている(=仕事が増えている)と言われていても、実際に世間を見渡すと、「どこに?」という疑問が生まれます。

建設・金融業界で動きがあるのは、必要最低限の政府関係プロジェクトばかりで、民間企業が「もっと仕事を増やそう!」という動きはそれほど見受けられません。不動産も家の売買が昨年に比べてアップというニュースがありますが、まだまだ低い金利のモーゲージにクオリファイできるのは一握りの人たちばかりで、そのためには安定した長期の職歴が必要になります。

 

アメリカですでに15~20年仕事をしてきたMid-Career(中間層)の人たちも、なかなか回復しない景気にフラストレーションを感じているものの、転職市場もそれほどホットではないので、うかつに動くことも出来ない。

事実、私の周りでも転職話がなかなかうまく行かない話ばかり聞こえてきます。みんなかなり優秀で仕事もできるだろうなと思える人材ばかりです。

私の限られた視野と情報から判断すれば、アメリカは間違いなくいまだに不況の真っ只中にあり、小さな波はチョコチョコと超えつつも、Big Pictureで見れば、景気回復はまだまだ長期戦になるだろうなというのが感想です。

 

 

 

 

加えて、これは誰も教えてくれませんでしたが、自分の経験と周りを見ていて思うことは、

 

最終学歴の場所=就職する場所

 

ということを念頭においておく必要があるなということ。

 

つまり、たとえばアイオワのど真ん中で大学に行きながら、就職はサンディエゴでしたいと思っていても、それはかなり厳しい現実であるということ。

どういうことかと言うと、アイオワの大学在学中に就職活動をするとしたら、やはりメインは地元の企業になるでしょう。

サンディエゴで仕事をゲットしたいと思ったら、最終的にはサンディエゴにやってこなければなりませんが、その旅費を出す会社は現在ではなかなかいません。

PhDの研究分野がものすごく特化されているとかなら別ですが、新卒のビジネスメジャーなんてそれこそサンディエゴにもゴロゴロいるし、会社にしてみれば、「わざわざお金をかけてアイオワから呼ばなくても・・・」ということになります。

 

また、専門的でユニバーサルな知識じゃない限り、「そのマーケットを知っている必要がある」というポジションの場合、エリアが変わってしまっては使えなくなる経験もあるわけです。

たとえば、不動産なんかはそのエリアの知識が必要になるわけですから、社内トレーニングなどじゃない限り、あちこちに飛び回るわけにはいきません。

ある程度、「腰を据えて得た経験」というものが必要な場合は、なおさら地元に特化したものが必要になります。

 

そういう意味で、

 

距離=不利

 

であり、卒業後にどうするか?という長期的な展望が必要になりそうです。

 

 

しかしながら、これだけ高額なアメリカの学位でも、就職への保証ではないという厳しい現実もあります。有名大学・大学院の学位も、一流企業への就職への約束にはならないのが現代。

 

私は今の自分の仕事をするには、数学学士号は必要ないと思います。内容的に言えば、ビジネスメジャーの大学生インターンでもできる。

だけど実際は、この仕事を得るために必要だったのはその学位であり、それが私にとっての「コスト」だったわけです。

 

If that’s what it takes to get this job.

(今の仕事を得るために、必要なのがこの学位だったのなら、仕方ない)

 

というあきらめもあるわけで、それが給料をもらってする「仕事」と、「情熱を持ってやること」の違いでもあります。

 

私は今、キャリア転換のプロセス中ですが、Mid-careerの人材として、こういうことを頭においています。

 

  • マーケットを見極める(どこに仕事があるか、ないか)
  • 自分の「やりたいこと」にこだわりすぎない(存在しなければ無意味)
  • ネットワークを広げる(知らない分野でも興味を持つ)

 

新卒時代の当たって砕けろ!なんでもやります!という姿勢とは違うので、やはり色々な戦略を立てて、準備をしなければ、今の生活を捨てるというリスクをとろうとは思えないからです。

 

 

 

 

こういうことをまとめると、現在のアメリカ雇用市場は、買い手(雇用者)市場であり、雇用者にとっては、よりどりみどりなわけで、転職したい人にとっては競争が激しいだろうな、というのが感想です。

なので、会社の業績が振るわなくてフラストレーションを感じたり、仕事に不満があっても、「今は仕事があるだけでラッキー」と思って、居留まる人が多い。

一昔前の景気が良かった頃のアメリカは今はなく、企業は財布の紐をしっかりと締め、本当に必要なものを見極めて見極めて動きます。というか、そこまでしないと動きませんし、そこに行き着くまでにかなりの時間をかけます。

 

 

 

しかし、私はこの友人に「だからアメリカで一からやり直せ」とは言えません。

やり直しするには彼女はかなり長く歩いてきたし、19歳だった私とは違い、「やり直し」という決断がスマートだと取られないかもしれません。

同時に、郷に入っては郷に従えという言葉もあるとおり、この競争の激しいアメリカで、彼女の思い通りにはならない現実もあります。

中途採用として、自分の経験を活かしながら新しい場所に入り込むためには、やはり今までに誰もやったことのないことをやる必要があるだろうし、クリエイティブかつスマートに自分を売り込む強さが必要になると思います。

そういう柔軟さが彼女に残されているかどうかは彼女次第。

 

 

 

 

 

“この不況のアメリカで働くことの大変さ” への6件の返信

  1. Erinaさん、はじめまして。大変興味深い内容のブログですね。ありがとうございます。
    個人的な悩みを書かせていただけませんでしょうか。
    私はMD取得後PhD(もう少しで)30代女性です。
    夫の希望により、留学(多分4年くらい)に付いていかなければならない雰囲気になっています。
    でも、私はかなりナーバスな性格で、食事の問題や子ども(0歳)のこと
    自分のキャリアのこと、などがあって、なかなか踏ん切りがつきません。
    Erinaさんのブログを読んでいると、Erinaさんはポジティブでタフな方であるようにお見受け致します。
    アメリカで仕事をする、生活するということは、そういう性格でなければ脱落してしまうのでしょうか?
    私も渡米するなら少しは自分のプラスになるような、何かの職に挑戦してみたいと思ってしまうのですが、自分の能力のなさから考えて恥ずかしくてとても言えません。
    何か考え方のヒントを頂けませんでしょうか?

  2. Yuhaさん、こんにちは!初のコメントありがとうございます。

    Yuhaさんのバックグラウンドがわからないので、何とも言えませんが、マスターを持っていて、PhDを取得しようとしているあなたが能力の無い人間だとは全く思いません。周りからも同じことを言われていませんか?
    私もいつもポジティブでタフな人間ではありませんよ。落ち込むこともあるし、仕事に行きたくなくて朝ベッドから出られないこともあります。
    だけど、自分に言い聞かせてきました。「絶対にできる、やってやる」って。ずっとそれの繰り返しです。
    人間誰でも、どこかに「光」とか「希望」があるんじゃないか、そのきっかけを誰かが持っているんじゃないか、って思いがちです。そう思いたい。
    でも現実ってそうじゃなくて、もっと厳しいですよね。
    だから自分で一つ一つ、向き合って、やっていくしかありませんし、それが「大人」になることだと私は思っています。

    私も旦那がリタイヤして移住したい時期があって、それについて行くべきなのか?と悩みました。
    それについての記事を来週上げる予定です。ぜひ読んでください。

    大事なのは、夫婦できちんと話し合って、二人とも納得することです。
    そこに行き着くまでは、とことん話し合ってくださいね。
    Yuhaさんの中で、アメリカ生活を楽しみに思えないのは、きっとまだ旦那さんに心のうちを全て明かしてないんじゃないかな?と思います。
    私は「一緒に行く」「一緒に行かない」だけが選択肢ではないと思いますし、家族にとって何がベストかというのは、夫婦で話し合ってみないと出てきません。

    ちょっと厳しい言葉になってしまいました。
    でも、博士号まで行けるYuhaさんですから、その熱意と覚悟を、ご主人にも向けてみてください。
    お二人にとって、最善の結論を出せますように、お祈りしています。
    また質問などありましたら、いつでも教えてくださいね!

  3. Erinaさん、早速のアドバイスありがとうございました!
    ご指摘、結構あたっていると思います。
    記事楽しみにしていますね。

  4. Yuhaさん、一人で悩まないでくださいね!
    周りの方や、私で良ければいつでもお話を聞くので、Yuhaさんが納得するまで、いろんな方の意見を聞いてみてくださいね。
    Good luck!!

  5. 初めまして。アメ10ブログからこちらを見つけ他の記事もいろいろ拝見しました。
    身の上話のような話なのですが、相談させていただいてもよろしいでしょうか。
    バックグラウンド
    32歳、女、独身(子供無し)
    日本の国立大学4年卒業。電気系専攻。修士はとっていません。
    新卒で大手電機メーカ入社10年目になります。転勤転職無し。
    悩み
    3年前から電機メーカの設計を辞めて自分の手でものを作る仕事をやってみたいと思い始めました。
    もともと手作業での工作が好きな性格で、定年まで電機メーカの設計を務めて、定年したときに悔いのない人生だったかと思えるか不安になったのがきっかけです。だったら、好きなことをして悔いのない人生にしたいと思い始めました。
    実は、入りたい会社があり、さらにその会社はアメリカの会社です。やっと、昨年10月に今の会社の大きな業務が完遂し、転職をと思ったところトランプ氏の件が発生しました。はじめは無給のインターンでいいから置いてくれと頼んでみるかと大胆にも思っていましたが、トランプ氏の件で今はものすごくタイミングが悪いのでは?と思っています。さらに、私はまだその会社にファーストコンタクトもとったことがなく、外国人を雇う気があるかどうかも掴んでいません。そこで、まずファーストコンタクトをとるのか、期間を1年と区切って、アメリカで働く準備をする(英語力アップ、ビザなど)と決めて今から転職活動を始めるかどうしたらいいのか悩んでいます。給料ダウンや無収入の時期が多少あっても気にしませんが、失敗したらどうしようという思いから何から始めて動いたらいいのかわからず戸惑っています。
    上記は私の憶測や思い込みや考えが甘い点が多分にあると思います。ぜひ、実際にご経験者の方のご意見をお聞かせいただけたらと思います。

  6. Aikoさん、初めまして。
    たくさん読んでいただいたようで、ありがとうございます。
    私の言葉が役に立つかどうかはわかりませんが、アメリカ在住14年というところから、私の思うところを書いてみますね。

    まず、Aikoさんの仕事歴や年齢から判断するに、私がここ最近、感じていたことや通り過ぎてきたものとすごく似ていると感じるし、きっとそれは多くの30代の女性が通る道なんだと思います。
    大学を卒業して、10年くらい仕事をして、さて、どうしよう?
    「30年」という時間の長さもわかってきて、同じことをこの先の30年やるには長いし・・・。
    20代、がむしゃらだった時には見えなかったけど、他にも人生で欲しいものが出てきたり・・・。
    私がそう感じたのも、ここ数年のことでしたが、やはり結果を出すにも、行動に移すにも、準備にも時間をかけたし、本当に本当にこれで良いのか?って自問自答しました。このブログのカテゴリー「しごと」という記事を読んでいただけると、私の中の心境の変化というものがわかってもらえると思います。

    だから、「何かべつのことを」と考えるAikoさんの気持ちは理解できるし、タイミング的に「今だな」という焦りもあるのでしょう。
    ただ、10代や20代のときとは違い、リスクもあるし、それに二の足を踏んでしまう。
    やはり30代だからこそできる、賢い選択が必要になりますね。
    私が人に言われて、「あ、そういう考え方もあるんだな」と思った一つは、「本当にやりたいことは、仕事とは別でやれば良い」ということ。ボランティアだったり、サイドビジネスだったり、今はネットがあるからなんでもできます。特に、Aikoさんはまだ具体的に行動を起こしたわけではないようなので、まずは今の仕事をきっぱり辞める前に、「ちょっとどんなものかやってみる」という感覚を忘れずに。
    わりと、「好きだと思ったけど、本気でやってみたらそうでもなかった」とか、「やってみたら、意外と大変だったな」ということもわかりますよ。
    不安だからと何もやらないで悶々とするのと、やってみてそれほど好きじゃないからやめた、というのは全然違います。

    ただ「好きなことをやるために今の仕事を辞める」という、100か0か、という決断は本当に最後の最後までとっておくべき。80/20から60/40になって、40/60にひっくり返してみて、最終的に10/90で・・・というふうに段階を踏んでいくのが「賢い選択」だと思います。

    それを踏まえて・・・まず、「アメリカで暮らす」ということはとてもハードルが高いことです。これは大統領が誰か、ということに関わらず、アメリカ移住を考えるすべての人に念頭に置いてほしいこと。日本に住んでいると、ハワイも近くてパッと行けるし、ロスも日本人が多いし、わりと簡単に行けると感じてしまうのですが、アメリカでの「観光」と「滞在」は全く別物になります。
    外国人がアメリカで暮らすには、家族を持つ(結婚)、仕事をする(雇用か投資)、勉強する(留学)という方法しか基本的にはなく、中でも仕事をするという選択肢は、トランプ大統領になってからはますます難しくなると思います。
    これは、厳しいことを言うようですが、それ以上に現実は厳しいです。もちろん、ゼロではありませんから、その少ない可能性をどう生かすかというのは自分次第です。

    「やりたいこと」は本当にアメリカでしかできないのか?
    単なる現実逃避じゃないのか?
    道がないなら、「自分で作る」ということはできないのか?
    そして、考えるだけでなく、まずは「ちょっとずつ」やってみる。
    もうやりたいことをすでにやっている人たちに会ってみる。
    新しい場所に行ってみる。
    必要だと思うことは、同時進行で少しずつ前進させる。

    私だったら、そういうことをやってみると思います。
    頑張ってください。
    参考になったかはわかりませんが、応援しています。

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