年間100冊の本を読む子供(前編)
こんにちは、Erinaです。
「年間100冊の本を読む子供」
それはズバリ、うちの子供達のことです。
下の娘にいたっては、200冊は読むかもしれません。この数には絵本も含まれますが、「200回」ではなくてあくまで「200冊」なので、全く別物の本を100〜200冊、そういうペースでうちの子供達は読んでいます。どんな本を読んでいるかはこれらの記事で紹介しています。
今日は、親バカ記事でもなんでもなくて、アメリカ社会での読書の重要性とその対策について書いてみようと思います。
アメリカでは、子供が生まれたら必ず、「絵本の読み聞かせをしてください」と言われます。
それは小児科での定期検診でも、1歳になったあたりから「本の読み聞かせはしていますか?」というチェック項目が追加されるほど。うちのドクターは、検診のたびに子供に1冊ずつ本をくれました。
我が家ではうちの旦那が読み聞かせ担当だったので、
- Dr. Seuss(ドクター・スース)
- Curious George(おさるのジョージ)
- Thomas the Engine(機関車トーマス)
などを、仕事で遅くならない日は必ずベッドタイムに読み聞かせていました。もう親が暗記できるくらい何度も何度も同じストーリーを読んでいました。
それが功を奏したのか、「文章への好奇心」というものは現在8歳の息子と7歳になる娘の中で着実に強くなりました。
長男(8歳/3年生)の場合:
アメリカではキンダーガーテン〜1年生で学ぶ「フォニックス」という英単語の読み方をきっかけに、子供達が単語を読み始めるようになります。
彼もその例にこぼれず、キンダーに入ったあたりから、道路の標識やらを読み始めるようになりました。
彼は性格的に、物事の流れや自分の置かれている状況を常に把握したい子供なので、「自分で読んで理解できる」という快感がたまらなかったのでしょう。
それまでは、たとえば、どこかに買い物に行くと言っていたのに、私が面倒臭くなって、営業時間をネットで調べてみたとき、「あ、もう5時半だから閉まってるわ」と言えたところを、彼が英語を読めるようになると「今日は6時まで開いてるって書いてあるよ」とバレてしまうので(笑)、嘘がつけなくなったことが大きいです。(ひどい親。笑)
マジックツリーハウスシリーズは昨年までに全巻制覇し、本人も達成感を感じたようです。そんな彼は、最近は歴史ものやサイエンス系に興味を示しており、スターウォーズなどのかなり分厚い小説にも恐れることなく手を出しています。
長女(もうすぐ7歳/1年生)の場合:
やはり上に兄がいるせいか、読書への露出もかなり早かった娘。
彼女の読書においては、驚いたことがありました。
ある日、旦那の読み聞かせが終わって、「おやすみ〜」と明かりを消したはずの彼女の部屋から、ボソボソと独り言が聞こえるのです。覗いてみると、小さいライトをつけて、その明かりの下でCurious Georgeの本を開いている娘が、ストーリーを語っているのです。
「あれ?この子、本読めたっけ?」
私は一瞬、何が起こっているのかよくわかりませんでした。
それもそのはず、彼女がまだ4歳になる前のことです。
アルファベットもまだ不確かな年齢の子供が、”This is George. He is always very curious.”とお決まりのフレーズを一人で言っているのです。
こっそりと部屋に入り、私は娘に聞いてみました。
私:「本、読めるの?」
娘:「読めない。」
私:「じゃあどうしてストーリーがわかるの?」
娘:「絵を見れば、ストーリーを覚えてる。」
なんと、パパに読み聞かされてストーリーを覚えていた彼女は、自分で「なんとなくこんな感じだったかな」というストーリーを自分で作り上げては、イラストに合わせて自分で口に出していたのでした。
私が「なんじゃそりゃ〜?」と驚いたのは言うまでもありません。
それ以来、「本の虫」(英語でもそのまま “Book worm”)になった彼女は、現在は年間200冊近くの本を読みます。絵本からチャプターブック、動物の本、カップケーキの作り方から、アートの本、ハローキティのマンガなど、読みたい本は尽きません。
昨年は、学校でのリーディングの時間は一学年上のクラスに入れてもらったり、ブックオーダーでは三学年上のレベルの本を買ったりします。最近では、スペリングコンテストに興味があったり、英語での早口言葉やら、ラップみたいな言葉遊びが大好きです。
このブログでもしつこく書いていますが、アメリカの学校、いや、学校だけでなく社会全体では、「読解力」が必要になってきます。
アメリカの大学を卒業し、アメリカ人たちと肩を並べて仕事をしようと思うと、とにかく英語をハイスピードで読めて、理解する能力が絶対条件になってくる、というのは、私自身のアメリカ大学〜アメリカ企業に就職という体験で痛感したことでした。
しかし、留学生時代から感じたことは、やはりこの「リーディング」というのは多くの日本人が苦手とする部分であるということ。「授業の予習として明後日までにチャプター1とチャプター2とチャプター5を読んできてください」(←こういうこと、平気で言われます)と言われると、もうその時点でつまずく。だから授業もついていけない。
この記事でも書いたように、アカデミックレベルの長い文章を読むというのは、世界レベルのフルマラソンみたいなもので、そのためには日々のトレーニングの積み重ねを早い段階から始める必要があります。
我が家での「勉強」とは、有名大学に入るためとか大企業に就職するためではなく、あくまで「社会に出た時に困らないための準備」であり、この読書というのもそういう基礎的な人間力としての勉強だと思っています。これがあれば、学校の成績はそれほど気にしなくても良いじゃない?というのが私たち夫婦の見解です。
そういう現在の社会で生きていく上で、子育て中の現在、「本を読みなさい!」と自分の子供にガミガミ言わなくて良い、という面で、8年前のドクターからのあのアドバイス、「本の読み聞かせをしてください」以上のものはなかったな、と思うのです。
なので、現在幼児期の子育て中のママや、ベビーが生まれたばかりのファミリーに、「子育てのアドバイスは?」と聞かれたら、何よりも「本の読み聞かせ!」と言って、本をプレゼントしています。
読書で得られるのは、単純に言語力や読解力だけではありません。
うちの息子は先日、遺伝子やら細胞やら進化論やらについて読みたいと言って、それらの本を借りてきました。これらのトピックは、学校の理科の授業でちょっと触れたようです。
あっという間に彼はそれらの本を読み、一週間もしないうちに「もう図書館に返しても良いよ」と持ってきました。
パラパラと見てみると、ちょっとハイレベルじゃない?と思ったので、本当に読めたのか内容を聞いてみたところ、「細胞はこうで、コレはこうで・・・」とざっくばらんにも理解しているようでした。
こう考えると、読書を通して得られる知識量というのは、読書をする子としない子で、歴然とした違いが現れるなと確信しました。
もちろん、最近ではYoutubeなどのハイクオリティな動画で得られる知識や情報も多いのですが、こうやって自分で文字を読んだことで得られる知識というのは、自分で使えるようになるものです。つまり、「細胞とは何か?」という質問にも、本からの文章をそのまま使って書くことができる。でもこれって動画では字幕をつけない限り、無理ですよね。
この「知識量」という面から見ても、年間100冊の本を読む子供と、10冊しか読まない子供では、違いは90冊分あるわけですから、後々、サイエンスやヒストリーなどの授業が増えるにつれて、予備知識の部分に相当の差が出るのだな、と気づくことになりました。
次回の記事では、私が実践してきた子供の読書を応援する二つの心構えについて書いてみたいと思います。