21世紀の働き方:ワークライフバランス

こんにちは、Erinaです。

 

これから、「働き方」というものが変わってきます。

その上で書いてみた、21世紀の働き方シリーズ。今回はワークライフバランス (Work-Life Balance) です。

 

これまでは、平日は8時から5時まで、同じ会社に通い、長年そこで働き、その代償として、毎月決まったお給料をもらう、というのが「働く」ということでした。

会社のネームバリューやサイズで「安定度」や「人気」が測られ、そこに「個」はなかったわけです。会社員は会社というマシーンが機能するための部品であり、壊れたりいなくなったらまた新しいものに置き換える。

 

それが当たり前でした。

 

インターネットが普及し、物理的にそこにいなくても働ける環境が出来上がりました。

今までは出張しなければできなかったミーティングが、オンラインで1時間でできる。仕事の「効率」は格段にアップしたわけです。

 

そんな社会になると、「ワークライフバランス」という言葉が生まれ、健康的な人生において重要な価値観として主張されるようになりました。

今日は、私の周りにいるワーキングマザーたちと、自分の体験をもとに、書いてみたいと思います。

 

 

就学年齢の子供を持つ、私の年代(30代~40代)のワーキングマザーと言うのは、仕事に妥協しないけれど、子育てにも妥協しません。

学歴だって理系修士・博士を持っている女性がゴロゴロといるこの時代、「なんとかバランスをとりながら、全てをうまくやっていきたい」と考える母親たちはとても多く、何かを犠牲にしたり、自分の体を壊してまで、会社に奉仕するという精神はありません。

平日夕方にある、娘の器械体操の練習や、息子のサッカーの試合に行けるように、4時で仕事を切り上げられる職場や、家から仕事ができるポジションがあれば、そういうチャンスを絶対に離さないのです。

 

うちの娘には二人の親友がいます。

ミリーちゃんとアディちゃんは二人とも6歳になったばかりで、去年のクラスメートでした。

 

ミリーちゃんのママは40代前半で、某大手製薬会社の国内マーケティング部門で働いています。

「10年前は世界を飛び回っていた」という彼女は、当時は海外マーケティング部門でしたが、結婚を機に海外出張のない仕事を選びました。

現在の会社は、Work from home(自宅勤務)やフレックスタイムが許されていて、通常のラッシュアワーなら片道1時間はかかる通勤時間が半分以下になりました。

 

「(前の仕事に比べて)給料は減ったけど、娘たちを習い事に連れて行ったり、学校でボランティアできることのほうが大事。」

 

ちなみに、ミリーちゃんパパは、サンディエゴ市警の警官で、週3日ある休みのうち、平日の休み2日は子育て+家事担当。午前中はリモデル中の家を直し、グローサリーショッピングに行き、午後は子どもたちを学校からピックアップし、習い事に連れて行き、ディナーを用意して妻の帰りを待つそうです。

 

「いつかは、自分でビジネスをやりたい。家族との時間のため。」

 

安定した給料を手に入れられる「会社」で働くことよりも、不安定でも家族との時間を選ぶミリーちゃんママに、私は同感せざるを得ませんでした。

 

 

アディちゃんのママは私と同い年で、某大手ドラッグストアの人事部門で働いています。

サンディエゴエリアディレクターの彼女は、オフィスに出勤するのは週3日だけで、あとは自宅勤務。

 

「確かに、毎日、一日中オフィスにいるときと同じように仕事はできない。でもこのワークスタイルは、今の私にとって理想の形よ。」

 

数ヶ月に一度、アリゾナオフィスへの出張がありますが、これもアディちゃんパパと上手にアレンジして、3人の子どもを育てています。(上から4年生、キンダー、4歳)

アディちゃんと姉のケイラちゃんはソフトボールチームに所属していて、夕方4時半から始まる練習に必ずママが連れて行きます。一番下のエイダンくんはリトルリーグ (T-ball)で、パパが連れて行きます。パパは建築関連の営業で、時間もフレキシブル。朝の学校ドロップオフも彼の仕事です。

 

こう見ていると、良い意味で欲張りな彼女たちは、家族・仕事・自分のバランスをとても上手にとりながら、忙しく、そして満ち足りた生活を送っている印象です。

 

こういう若いママ世代のプロフェッショナル女性たちを見ていると、「価値観の変化」というものを意識せざるを得ません。

 

それは、「会社を中心に回っている人生」から、「家族を中心に回っている人生」に移行していると言えます。

子どもが小さいうちは、フレキシブルなスケジュールが許される環境を選ぶ。

ポテンシャルとしての高給職よりも、家族のニーズに同調できるポジションを選ぶ。

どれかひとつに100パーセントじゃなくても、70パーセントで全てできるなら、そっちを選ぶ。

 

そういう選択肢を意識的に選んでいるキャリアウーマンが増えているのです。

 

それは、私たちの親世代が、女性の社会進出前駆者として駆け回り、会社に女性としての人生を捧げてきたのを見てきたからでしょう。

私はそれを否定するつもりはまったくありませんが、結果、退職を目前にして、昨今の不況で大打撃を受けたのがこのベビーブーマー世代でした。

長い勤務年数から、給料も高いこの年代は、レイオフで真っ先にカットされる対象です。60代でレイオフされても、再就職先を見つけるのはとても難しいでしょう。株価の暴落で、401kアカウントに入っていた退職金も半分になりました。

 

「両親はあれだけ頑張って働いたのに、会社ってそんなに非情なものなの?」

 

そういうライフレッスンを得た私たち(ベビーブーマージュニア世代)は、会社という場所に自分自身の幸せやセーフティネットを求めず、家族に回帰してバランスをとることを決めたのです。

 

 

私はこの意識変化(というかパラダイム・シフト)の良い例が、「エレノア・ローズヴェルト」だなぁと思いました。

この記事でも書いたとおり、裏の大統領としてアメリカ史にその名前を刻んだ彼女は、この国にとってなくてはならない存在です。当時、女性(ファーストレディ)が国内を飛び回り、政治という大きな決断力に影響を与えていたということは、画期的なことでした。エレノアの姿にインスパイアされた人はとてもたくさんいたはずです。

 

しかし、私が彼女のストーリーを読んで、疑問に思ったことがありました。

 

「家族はどこ?」

 

夫妻の子供たちのエピソードがひとつも出てこないのです。

おそらく、エレノアが忙しく飛び回り、フランクリンがDCで仕事をしている間、子どもたちにはナニー(乳母)やベビーシッターがつけられ、子育ては他人任せだったはず。時代的にも、裕福な家族はそういう通例がありました。夫妻の子供たちが就学年齢だった、1920~1940年代のことです。

 

しかしながら現代では、大統領選挙やビジネスミーティングにも必ず配偶者(や子どもたち)が同席し、ファミリーマンまたはファミリーウーマンであることを、むしろアピールに使っています。

これは「私は家族と仕事のバランスがとれる人間ですよ」ということが、ポジティブな価値観になったからです。

仕事のし過ぎで家族を犠牲にするとか、自分の体を壊すということは、「自分の人生もマネージできないなんて・・・」とネガティブな印象しか残しません。「ワーカホリック」というのは、むしろ軽蔑される対象になりました。

 

 

夫婦で共働きをしている以上、ワイフとハズバンドの立場(これは経済的なものではなく、仕事に費やす一日の時間をベースとして)は50/50であり、子育ても家事も分担する。

つまり、

「一日8時間働いて、家にいないのは私もあなたも同じ。だから家事と子育ての分担は当たり前でしょ。」

という考えです。年収を基準とした夫婦関係から、時間の使い方を基準にしたパートナーシップの形に移行してきたわけです。

 

 

もちろん、全ての女性や夫婦がこうだとは言いませんが、こういう夫婦関係が私の周りにものすごく多いのは見えるし、それは毎朝、パパとママが分担して学校にドロップオフしている家族や、週末のイベントには家族揃っている姿を多く見るからです。

離婚率が高いと言われるアメリカですが、どんな形であれ、子育てと仕事に関しては夫婦(または元夫婦)がきちんと協力・分担し、それぞれの人生のバランスを上手にとっているというのが、現代のパパママたちのスタイルのようです。

 

 

 

 

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