Escrow(エスクロー)とは

こんにちは、Erinaです。

 

みなさん、“Escrow”(エスクロー)という言葉を聞いたことがありますか?

 

アメリカ、それも西側の州で家などの不動産購入をしたことがある方は聞いたことがある言葉だと思います。

 

“Escrow is about 3 weeks.”

“We are in escrow.”

 

なんて感じで聞くでしょうか。

 

売りに出ていた物件の前に、“In Escrow” なんていうサインが立っているかもしれません。

 

このエスクローという期間は、なかなか日本では馴染みがない慣習で、私も最初は「どういうこと?」と腑に落ちない部分がありました。

2年前に現在の家を買うまでに、夫婦でコンドと一軒家を売買したのですが、そのときもさっぱりわからず。現在の家の購入でやっとエスクローってそういうことか!とわかったので、ちょっと説明したいと思います。

 

まず、不動産購入におけるエスクロー文化は、アメリカ西部の州に見られる慣習で、東海岸で家を買った方は、「エスクロー」という言葉すら聞いたことがないかもしれません。

これは州ごとにおけるプロセスの違いであり、面白いなぁと思うところです。

アメリカ東部では、エスクローの代わりに、不動産専門の弁護士がこの売買をまとめることが多いそうです。州によってどんなプロセスなのか、というのはこのサイトで読めます。

 

 

 

で、そのエスクローを一言で表すと、「ビジネストランザクションにおける裁判官みたいな役割」

 

どういうことかと言うと、Escrow CompanyとかEscrow Officerと呼ばれるエスクローを担当する人たちは、売買におけるSeller(売り手)からも、Buyer(買い手)からも独立した全くの第三者になります。

その売買に必要な書類などをまとめ、購入プロセスがスムーズに行くように進めます。

 

ステップはこんな感じ

  1. 売り手が家を売りに出す “For Sale”
  2. 買い手が買値とエスクロー条件の「オファー」をする
  3. 売り手がオファーを受け入れる
  4. エスクローオープン

 

売り手と買い手は、お互いに、エスクロープロセスに入るための同意書にサインし、「私はこのFee(プロセスにかかる手数料)を払います」と前もって払うと、エスクローがオープンされます。

この手数料は中立の「エスクローアカウント」に入れられ、エスクロー会社が必要に応じて引き出していきます。このお金の用途は、エスクロー会社によって作成された料金表(Escrow fee schedule)で確認できます。

 

この手数料は「その物件の事情」や「買い手の希望」によって異なります。

 

家のinspection fee(検査料金)、appraisal fee(査定料金)というのはスタンダードなところ。

他には、たとえば、Property tax(固定資産税)が滞納されていたという理由で、売り手はそれを売買前に払う責任があるとかないとか、壊れている屋根をまずは直せとか、まぁ色々です。

 

 

我が家の場合は、新居にはプールが欲しかったのですが、買った家にはプールがついておらず、購入後にプールを作ろうということになっていました。

しかし、この家はSeptic System(浄化槽)になっており、庭のどこにでもプール用の穴を掘るわけにはいきません。

なので、敷地のどこにSeptic systemが埋められているかを調べるためのインスペクションが必要になり、それを同意の上でエスクローがオープンしました。

つまり、売り手が「Septicのインスペクションをしても良いですよ」と同意してくれたわけです。

 

 

「検査結果によっては、このエスクローから撤退しても良い」というのを英語で “Escrow is contingent on the inspection result”と呼びます。”Contingent”は「~によって変わる条件つき」みたいな意味ですね。

つまり、「検査結果を見たら、この家の敷地内にプール建設はできない」とわかった場合、「それならこの家は買いません」とエスクロー中に撤退できるという意味です。買い手はどうしても持っている情報が限られているため、こうやって中立なプロセスで買い手を守るようになっています。

 

このように、エスクローの中にどんなプロセスを含められるか?というのはまさにケースバイケースで、それは購入する家の状態にもよるし、買い手の希望にもよるわけです。

 

買い手として大事なのは、不動産エージェントがそのような自分たちの希望をきちんと理解してくれていることや、知識と経験を持って、希望をエスクローの中に取り入れてくれることですね。これは、いったんエスクローがオープンしてしまったら、「やっぱりこれも入れておけばよかった!」と追加できないので、前もって考えておくことが必要です。

うちのエージェントは、コンドと前の一軒家を売った時のエージェントで、法律にも長けているロン。

今回の購入時も、毎週末のように家を見せてくれたり、とにかくよく私たちの話を聞いてくれました。「プールを作りたいなら、SepticのインスペクションもContingencyでエスクローに入れたほうが良いよ」というアドバイスをしてくれたのも彼でした。

家を買うときは、本当にチームと言うか、家族のように親身になってくれるエージェントがオススメです。

 

売り手として大事なのは、買い手の希望に対して、何かとフレキシブルになれること。

最終目的は「家を売ること」なのか、「この値段で売ること」なのかをはっきりさせて、どこまで妥協できて、どこからは妥協できないのか、を自分たちの中で前もって決めておくことでしょう。

フレキシブルになりたくない、そのままで買ってくれ、というのは”As-Is”という状態で売りに出します。たとえば、修理がたくさん必要な物件は、「安く売るから、家の状態はそのままです。ネゴシエーションはしないので、買い手は自分で直してください。」という条件で売りに出されることもあります。

売りたい物件にお金をこれ以上かけたくないという場合は、こうやって売り手を守ることもできるわけです。

 

 

ちょっと話がそれましたが、買い手のオファー(これは値段とエスクローの条件が含まれたもの)が受理されると、エスクローがオープンします。

そこで「このエスクローは3週間です」とか「このエスクローは60日です」というエスクロー期間が設けられます。

 

そこでの

 

エスクロー期間終了日=クローズ日=晴れてホームオーナー

 

になるわけですね。

 

我が家の今回のエスクロー期間は、超スピードの3週間でした。

そりゃもうめまぐるしかったです。

毎日のようにローン会社やらエスクロー会社、エージェントのロンとやりとりをし、「これをやってください」と言われたら即刻対応。

こちらからも「これってどうなってるの?」と超プッシュしました。

 

私の職業上、どんなものが必要になるかを事前にわかっていたので、必要な書類は全て準備済み。ローン会社にも「今までで最も楽なカスタマー」と呼ばれ、そりゃそうだろうよ・・・と思ったものです。

 

Septicのインスペクション結果もプール建設に影響なしとわかり、めでたしめでたし。

 

今回のエスクローは滞りなく進み、3週間後、晴れて夢のホームオーナーになったのでした。

 

 

 

 

 

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