子どもに「日本人」というアイデンティティを教える

こんにちは、Erinaです。

 

私は生まれも育ちも札幌、両親も純日本人のコテコテジャパニーズ。

19歳のときに留学生として渡米した後、これまたコテコテのアメリカ人と結婚し、2人の子どもをもうけました。

 

アメリカ企業で働き、アメリカの小学校に子ども達を通わせ、家でも英語オンリーな生活をしていると、つい忘れてしまう「日本人」な部分。

私自身、どこに行ってもほとんど外国人扱いされなくなって数年経ち、私の子どもたちだって「ママは外国人なんだな」と思うことは日常生活の中ではほとんどないと思います。

 

うちの子ども達は日本語補習校にも通っていないし、私が家に招待する日本人の友人たちや、彼女たちとの時間は限られています。日本から私の母がやってくるのも、年に一度。

たまに作る日本料理も、アメリカで食べられる多様な料理のその他大勢に埋もれてしまいます。

 

子ども達が成長するにつれて、「日本人である部分を忘れて欲しくない」という気持ちが強まるものの、それを具体的にどうやって教えよう?という疑問が常にあった私。

日本語を教えるにも、我が家では実用的じゃないし、時間も限られている。

食べ物じゃイマイチ伝わらない。次の日本旅行はいつになるかわからない。

 

そんな中で、今回の年末年始にやってきたKazumiファミリー。

彼女たちの5歳の娘は、英語でのやりとりは問題なく、ちょうど同学年のうちの娘と、初対面とは思えないくらい打ち解けることになりました。

 

うちの娘は、やはり女の子だからか、おしゃべりや外国語へのハードルが低く、聞いた言葉もわりとパッと言える子どもです。

「日本からやってきた同学年の女の子」が使う日本語や、「あっちむいてホイ」みたいなゲームも日本語でできるようになったり、やっぱり子ども同士がこうやって吸収しあうチカラってすごいなぁとつくづく思ったのでした。

 

今回、Kazumiファミリーの一週間という短期間滞在で、うちの娘は日本語以外の「何か」を得たようでした。

それは言語という単純なものじゃなく、「日本という外国に、自分を歓迎してくれる誰かがいる」という実感。

よく、「異国の地に思いを馳せる」なんて言いますが、娘の中で初めて、「この子(Kazumiの娘)が住む日本ってどういうところなんだろう?」という思いが生まれたようでした。

そしてそれは、「ママが生まれ育った国」として娘の心の中にとどまることになったし、現段階では、それは十分以上と思える体験になったのでした。

 

Kazumiファミリーが帰った後も、娘はしばらく「日本にいつ行ける?」とか「Kazumiの娘ちゃんに会いに行きたい」と言い、私が聞かなくても、学んだ遊びや日本語を披露してくれるようになりました。

アメリカという国で生まれ育ち、祖父母もいとこもみんな同じコミュニティで暮らしているクラスメイトたちと、自分はちょっとどこか違う、ということも感じたようで、超アメリカンな生活を送っている私の娘にとっては最高の機会だったと思うのです。

 

 

外国や外国語がこれだけ身近になった現代で、子ども達の人生にそういう要素を追加することは一昔前ほど難しいことではありません。

外国旅行だってずいぶんと安くなったし、スカイプやメールで連絡を取り合ったり、ネットで外国人と出会うことだってできるようになりました。

しかし実際の生活に導入するとなるとまた話は別で、Kazumiファミリーの滞在というような「非日常」が起こらない限り、後回しになってしまいます。

 

我が家の限られた時間の中で、いつ使うかわからない日本語を子ども達に強制するより、こうやって「生身の人間」とのふれあいはとても効果的でパワフルだということを実感したし、それは私自身が若い頃に感じたように、娘も十分感じたのでした。

 

私自身、幼い頃から外国への露出があったわけではないし、英語の英才教育を受けたわけでもありませんでしたが、それが不利だと思ったことは一度もありません。

ただ、「アメリカ」という国への憧れは、(映画”Back to the future”をきっかけに)今の娘と同じくらいのときに生まれ、それ以来、なんとなく「アメリカに行きたい」という気持ちを持ち続けました。

中学から英語教育が始まると、新しい世界への扉が開かれることになり、そこから小さいステップではあってもアメリカに前進し続けていたわけです。高校を卒業して自分の進路を決めるときに初めて、行ったこともないアメリカという国に飛びこんだ後も、こうやってなんだかんだやっていけています。

 

そんな私は移民一世。

アメリカで生まれた私たちの子ども達は二世になります。

 

国際結婚や留学でアメリカ移住することになった私たち一世は、このジェネレーションギャップに戸惑い、どうやって母国のアイデンティティをキープするか、常に奮闘します。

言葉とかテクニカルなものではなく、あんこと緑茶のおいしさや、四季の移り変わり、温泉の恋しさとか、そういう言葉では言い表せない「情緒」みたいなものは、生活に密着していてなんぼなんだな、と気づかされるし、そういう生活が欠けている外国では、子どもに教えるのはなかなか難しいことなんだなと気づきました。

 

何をキープして、何を捨てるか。

そういう決断を常に迫られる移民一世の子育て。

 

日本からのお客さんは、子ども達のためにも、歓迎したいなと思っているのです。

 

 

 

 

“子どもに「日本人」というアイデンティティを教える” への6件の返信

  1. すごいすごい!子供の受け入れの大きさ。子供同士の力。楽しみー!

  2. うちの息子も昨日、日本人のご家庭におじゃまさせてもらい、久しぶりに日本語で子供たちと遊ぶ経験をさせてもらえました。
    帰り道「日本語話してくれた!楽しかった!」と話す息子を見て、えりなさんのこの記事と同じようなことを考えていました。

    それと、えりなさん、アメリカという国への憧れは、映画”Back to the future”がきっかけというのは私も同じです(笑)渡米する前に「”Back to the future”で憧れたアメリカに住めるんだから、がんばれ!」と言ってくれた父の言葉を思い出します。

  3. 千賀子さん
    ね!子どもの共感力は偉大です。

  4. Tomomiさん
    そうですか!息子さん、それは嬉しいでしょうね。
    ともみさんの息子さんは、日本語がきっとベースになっているだろうから、そうやって日本語で存分に自己表現できたり遊んだりできる場所ってきっとすごく貴重なんだろうな。
    私も最近、バイリンガルとセミリンガルというコンセプトを知ってから、多言語教育について色々と考えてました。また記事を書いてみます。

    ともみさんもBack to the future仲間なんですね!!
    80年代はアメリカがキラキラしていた映画が多かったですよね。懐かしいなぁ。

  5. こんにちは。
    ブログ村のトラコミュから辿ってこのブログにたどり着きました。

    まだアメリカに来てからそんなに日は経っていないですが、私のいる地域では日本人は全くと言っていいほどいないので、日本人としてのアイデンティティが擦り切れてきているような感じがしてきています。
    時々日本はどんなだったかなとか、何かに対処しなければいけないときに日本にいたらどうしていただろうなと思い返えそうとすることがあります。

    他のEricaさんの記事を読んでいても、なるほどアメリカではそういうことがあるんだと思わせるような鋭い分析、要点をついた読みやすさがあってとても面白いです。
    特に私はアメリカに来てからまだそんなに日が経っていないのでためになります。
    次の記事も楽しみにしています^^

  6. Kaceyさん、初めまして。
    楽しんでいただけて光栄です。
    アメリカに来られたばかりなんですね。新しいことに驚くこともあるかもしれませんが、充実したアメリカ生活を過ごされますように。
    また遊びにいらっしゃってください。

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