
子どものアイディアを世界に “TED-Ed Club”
こんにちは、Erinaです。
みなさん、TEDって知ってますよね。
世界中のイノベーターやコミュニティリーダーたちが各地でスピーチをするイベントです。
TEDは”Ideas worth spreading”(広める価値のあるアイディアを)というスローガンのもと、様々な「アイディア」を世の中に出していこう!という活動をしています。
私もいくつか好きなトークがあり、教育的なものもあれば個人的に共感できるものもあるので、たまに見ています。
昨年の9月に新学年が始まると、息子はあるハンドアウト(日本で言う「プリント」)を持って帰ってきました。
それは、”TED-Ed Club”という学校のクラブへの招待状と参加同意書。
これはTEDが、教育現場、つまり学校での活動を強めるため、各学校でのクラブ活動として”TED-Ed Club”をオーガナイズし、サポートすることにしたそうなのです。
具体的に言うと、このTED-Ed Clubメンバーである子ども達が、自分たちのアイディアについてディスカッションし、それを動画やスピーチなどの媒体にし、世界中の子ども達とシェアするのをお手伝いするとのこと。実際に学校の現場で仕切るのはそこの先生たち。彼女たちが「うちの学校でもやりましょう!」と提案し、自分の学校のクラブをオーガナイズするわけですね。
TED-Edのウェブサイトでは、TEDトークよりも短くて、教育的なトピックの”Lessons”が見られます。(人間の体はどうして左右非対称なのか?とか動物には言語はあるの?とか子どもにも入りやすいです)
私たちにも英語の勉強になるのでオススメです。
学年という枠を超えて、個人がアイディアを持ち寄り、ディスカッションし、形にしよう!というのはまさにアメリカンな文化で、それが小学生、それも低学年のうちから始まると知って、なんともワクワクした私。(私のほうが楽しみだったり)
このクラブへの参加は、各クラスから数人しか選ばれなかったらしく、親としてはちょっと意外だったような、先生はちゃんと見てるんだなぁと驚いたような感覚でした。
うちの息子は、特に目立ちたがりな性格ではなく、むしろコツコツと努力してその背中をごく少数の人に見せるタイプ。(まぁ、学校ではどうかわかりませんが)
ベビーの頃から、一人でもくもくと積み木遊びをしたり、幼児期はおもちゃの電車の線路を何時間でも組み立てる、いわゆるギークです。口から生まれてきたうちの娘と違い(笑)、沈黙の時間にも色々な考えが頭の中をめぐっているのがわかります。
そんな彼がこのTED-Ed Clubに参加することになって、私は「どんなことをやるんだろう?」と興味がわきました。
クラブの活動は、毎週水曜日の放課後一時間。
低学年の部(キンダー~3年生)を担当するのは、去年、息子が1年生のときに担任だったドッズ先生。彼女は私と同年代で、就学前の子どもが2人いるママでもあります。
こういう新しい動きを活発に取り入れ、ポジティブな向上心を子ども達に教えている素晴らしい先生です。
クラブが始まって1週間後。
ちょうど息子のフィールドトリップが水曜日で、それに同伴することになりました。
ついでだから、TED-Ed Clubの様子も見せてもらおうと思った私は、ドッズ先生にメール。
「TED-Ed Clubの様子を見に行っても良いですか?興味があります。」
「もちろん!」
と快く返事をしてくれました。
水曜日の放課後、子ども達はドッズ先生の教室に集まると、ホワイトボード前のエリアに円になります。体育座りしている子もいれば、机によしかかって座る子、緊張しているのか陰にいる子や、うつぶせに寝転がって頬杖しながら話を聞く子も。かなり自由な感じだけれど、きちんと先生の話を聞いています。
学年はキンダーの子が一人、1年生の子が5~6人、2年生の子が7~8人、3年生の子が同じく7~8人で、男女比は1:1。
私は教室の後ろのほうの椅子に邪魔にならないように座りました。
先週が初めてのミーティングで、高学年とも合同だったので、今日はまずは自己紹介。
ドッズ先生考案のゲームを交えた自己紹介はアイスブレイカーとなり、緊張していた(というか「何やるの?」と不安だった)子ども達にも発言しやすい雰囲気になりました。
その後、TEDトークをプロジェクターで放送。
まずは、海中の生物たちについて。擬態生物たちがどうやって環境に適応してきたかをわかりやすく説明したトークでした。
次は、アフリカに住む子どもが、自分たちの農場にライオンを寄せ付けない機械を発明した経緯についてのトーク。
[ted id=1699]
この二つのビデオを見た後、TEDの”Ideas worth spreading”の意味をみんなで考えることになりました。
ドッズ先生はホワイトボードの前に立つと、大きなマルを一つ書きました。
その中に、”Ideas worth spreading”と書くと、マルからムカデの足のように棒を何本も書きました。
「みんなに配ったハンドアウトの2ページ目を見てくれる?同じマルと棒があるでしょう。
その棒の先に、『アイディアをシェアする理由』を考えて、書き込んで欲しいの。」
子ども達は「う~ん?」と考えながらドッズ先生の顔を見ています。
ドッズ先生:「今のTEDトークを見て、どんなアイディアはシェアする価値があると思ったかな?」
そう聞くと、3年生らしい年長の女の子が挙手。
女の子:「人の役に立つこと。」
先生:「Great! 他には?」
子ども達:「・・・・。」
先生:「ほら、最初のビデオで海の生物たちについて、どう思った?」
また別の子が挙手。
子ども:「みんなが知らないことを教える・・・とか。」
先生:「『新発見』ね。Great!」
別の子が挙手。
子ども:「ライオンを助ける・・・動物とか自然を助ける?」
先生:「地球環境のためになること、とかどうかしら?」
子ども:「オーケー。」
子ども達はそれぞれに考えながら、持っている言葉で言いたいことを作り上げていく表情が見えます。
ドッズ先生の役割は、それをあくまでお手伝いしてあげることであり、子どもの思考をファシリテート(促進)してあげること。
「う~ん、上手だなぁ。」
と私はドッズ先生のファシリテーターとしてのスキルに感心しました。
その後、「コミュニティのためになること」だとか「興味深いこと」だとか、全部で10個以上の「アイディアをシェアする理由」が出てきて、子ども達も満足そうな表情。

「来週からは、みんなが出してくれたこの理由をもとに、それぞれのトピックを選んでもらうわ。どうしてそのアイディアをシェアしたいか、どうしてシェアする必要があるのか、ちょっと考えてみてね。」
あっというまに過ぎた一時間。
自己紹介の時には騒がしかった子ども達も、脳がハイスピードで回転しているのか、物静かになっています。
「うん、みんな考えてる、考えてる・・・・。」
その日はフィールドトリップで疲れていたそうで、発言はしなかった息子ですが、「もう僕のトピックは決めたんだ。」と自慢げに教えてくれました。
その後、ミーティング3回ほどでそれぞれのトピックについてリサーチをした子ども達。
息子は「ソーラー発電」に興味があるらしく、それをトピックにしたそうです。
冬休みが開けると、次は「良いプレゼン」と「悪いプレゼン」の違いを学んだそうで、「悪い例」をみんなで実際にやってみたのだとか。
- 紙を読むだけ
- ウロウロとして落ち着きがない
- アイコンタクトがない
という悪い例でプレゼンをしたとき、聞き手としてどういう印象だったか?というのをみんなで話し合い、そうしないための練習もしたそうです。
そして2月に入ってから数週間は、全員が順番にプレゼンをし、ドッズ先生がそれをビデオに録画し、スクールディストリクト(教育委員会)に提出。
ディストリクトは優秀なプレゼンを選び、最優秀作品は、春に行なわれる地元のTEDで発表するのだとか。
録画したビデオはTED-Edにも送られ、世界中のTED-Ed Clubの子ども達とシェアされることになります。
いやぁ、時代は変わったなぁ!と感心する瞬間です。自分が子ども時代だった25年前には想像もつかないことが今は可能になっていますね。
そしてそういうツールを使って、子どもの知的好奇心を育てる機会があることに感謝だし、先生たちが熱心に取り組んでくれることに、とにかく感謝。こういうものに興味を持つかどうか、というのは本当に子供の性格によって違うし(おそらくうちの娘は興味がない)、先生たちがそれを見極めてチャンスをくれることにも感謝です。
どうなることやら、このTED-Ed Club。
来年は、今年のメンバーは優先的に参加させてもらえるそうで、せっかくだから続けて欲しいなぁと息子に期待してしまう親心・・・。