脱サラ母の数学教師への道 (16) スタートライン
こんにちは、Erinaです。
お久しぶりになってしまいましたが、この数ヶ月間にカリフォルニア州教員免許に無事合格し、とりあえず長期代行の契約教員として、とあるチャータースクールで高校数学教員としての仕事が決まりました。
2016年2月に決意表明のこの記事を書いてからちょうど3年。
キャリアチェンジに成功し、今は、この仕事をライフワークにしたい!と思えることを毎日できる生活に満足です。銀行で仕事をしていたことがとても昔のことのように感じるし、教員免許を取りに行こうと大学に戻ったことも、しばらく前のことのように感じます。
まずはこの決断を支えてくれた旦那に感謝。
そして私のふわふわした人生を柔軟に受け止めてくれた子供達に感謝です。
勤務先は、念願だった難民・移民が多く住むエリアの高校で、9年生を教えています。思いもよらず、チャータースクールでの勤務になりましたが、公立校との違いが良くも悪くも見えて、とにかく勉強の日々です。この違いなんかも将来的に書いていきます。
今日は、教員免許合格の通知から、職探し、面接、そして採用までの流れを書いてみたいと思います。
この記事で書いた教員免許課程の最終日から数週間後、edTPA というカリフォルニア州が取り入れている教員免許試験から通知が来ました。少し足りないものがあったから、それを追加しなさいとのことで、少し遅れて結果が出たのが今年に入ってから。2月末に合格通知が届くと、California Commission on Teacher Credentialing (CTC) から名前入りの教員免許がメールで届きました。
よし、やっと仕事を探せる!
それまで近所のディストリクトで代行登録はしていたものの、やはりなるべく長期代行、時期的なものもあるので正規ではなくても契約教員の仕事を探したかったのです。
アメリカの教育系仕事探しサイト edjoin.org を毎日チェックしていた私は、早速、教員免許を必要とする数学教員のポジションにアプライしました。
しかし、アメリカの年度末終わり(6月)も間近なこの時期、新規採用の募集はなかなかありません。
来年度の採用が本格的に始まるのはやはり6〜7月頃なのです。
募集があるのはディストリクトよりも先に採用をし始めるチャータースクールばかりで、「チャーターか・・・どうしようかな?」と思っていたのですが、この先の3ヶ月を何もせずに過ごすわけにはいかないと思い、チャーターに応募し始めました。
そのうちのひとつが、現在の勤務校でした。
そこで、ものすごくスピーディだった今回の採用プロセスをタイムラインにしてみます。
3月9日 edjoinを通してアプリケーション提出
3月15日 HRから連絡があり、面接日を決定
3月19日 面接
3月20日 採用の知らせ
3月22日 数学部会議に出席(担当クラスと諸事情を説明される)
3月25〜29日 春休み(授業計画やクラスデザインの会議参加)
4月1日 授業開始
と、この1ヶ月が怒涛のように過ぎていきました。
面接で初めて校舎に足を踏み入れた瞬間に、「あ、この学校は良い」と感じたものがいくつもあり、やはりそれが「ここで働きたい!」と思ったきっかけになりました。
例えば、スタッフが生徒一人ひとりの名前を覚えていて、「ジョサイア、ランチ食べた?」とか「ヴァレリー、週末はどうだった?」という声かけが聞こえてくることだったり、生徒達が集まるラウンジや廊下に色々なジャンルの本棚が並べられていることだったり、面接に来ただけの私に生徒達が「ハイ!」と笑いかけてくれることだったり。
日本人があまり足を踏み入れないこのエリアで、こんなにも子供達がハッピーでいられる学校は、やはり良い学校だと肌で感じ、「このコミュニティの一員になりたい」と思ったのは頭で考えた結論ではなく、まさに心が動いた瞬間だったのです。
この学校はとても面白い学校でした。
私の母校でもあるSDSU (San Diego State University) の教育学部の教授陣と Scripps Hospital が12年前に共同で立ち上げた中学〜高校で、高等部では学生達は毎週インターンをします。インターン先は、
- スクリップスの病院で実際に医療現場に立ち入る医療系インターン
- 病院の建物などに携わるエンジニア系インターン
- 救命チームと連携した警察系インターンや消防系インターン
- 小学校での事務室で教育系インターン
などで、幅広い経験ができるのです。
生徒達は自分の興味をここで発見し、大学進学する上で、専攻選択に役立たせます。
私は「教育は仕事を手につけるためのもの」と考えているので、やはりこういう実務的な経験の機会を与えるこの学校の理念や、コミュニティとしての教育現場という意識に強く感動しました。
それもこれも、やはり関わっているアドミン陣がSDSUの教授達であることが大きく、自分が学生、または親だった時には見えなかった学校の本質を学んでいるところ。また、英語ネイティブではない私に、アメリカのクラスルームで数学を教える機会をくれる決断をした学校のスタッフ達。私のどこに可能性を見出してくれたのかはまだ具体的にはわからないけど、この機会に感謝し、とにかく邁進するのみ。
そして何よりも、多様な生徒達が教室に持ち込んでくるもの。
こちらがリスペクトをもって接すれば、生徒達はそれに応えてくれるという実感と、新しいことを学ぶことへの純粋な知的探究心、彼らが持つ無限の未来。
そういうものが、毎朝、自分をベッドから引っ張り起こしてくれるという生活が、とても楽しくなってきたところです。
教員としてやっとスタートラインに立った。
さぁ、また一週間頑張るぞ。
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