スカリア判事の死と三権分立

こんにちは、Erinaです。

 

先週、あるブレーキングニュースが入りました。

 

アメリカ最高裁の判事の一人、アントニン・スカリア氏の訃報。

ハンティングトリップで滞在中だったテキサスで、心筋梗塞で亡くなったとか。79歳。

 

スカリア氏は前列の左から二人目 (From wikipedia)
スカリア氏は前列の左から二人目 (From wikipedia)

 

 

 

このニュースが、大統領選挙にも大きな影響を及ぼすだとか、暗殺説だとか出てきてますが、どうしてスカリア判事の死が、これほどビッグニュースになっているのか、今日は解説してみたいと思います。

 

まず、中学・高校の政治の授業でやった「三権分立」という言葉を思い出してください。

議会・裁判所・大統領(日本なら首相)という3つのパーティが、それぞれに権力を分散させるために、様々な役割がありましたよね。

この三権分立が、ここで大きな役割を果たすことになります。英語では”Checks and Balances”と呼ばれますね。

 

現在、アメリカ最高裁判所(Supreme Court of the United States)には、9人の判事がいます。

スカリア判事はその一人で、コンサーバティブ派の一人でした。

彼の生前は、最高裁はこのような割り振りになっていました。(上がコンサバで下に行くとリベラルになります)

 

コンサバ

トーマス判事

アリト判事

スカリア判事(死亡)

ロバーツ判事

—–

ケネディ判事 (中立)

—–

ケーガン判事(オバマ指名)

ブレイヤー判事

ソトマイヤー判事(オバマ指名)

ギンズバーグ判事

リベラル

 

 

 

 

つまり、これまでの最高裁判決は、コンサバ:リベラル=4:4 となっていて、ケネディ判事が中立としてバランスがとれていたわけです。

 

しかし今回、かなりコンサバなスカリア判事が亡くなったので、大統領が新しい判事を指名することになります。

 

上のリストからわかるように、オバマ大統領が過去に指名した二人の判事はリベラルですから、彼が退任前に判事を指名するということになると、リベラルな判事が加わることは必至。

つまり、コンサバ:リベラル=5:3となり、かなりリベラルな最高裁になることを、リパブリカン(共和党)は恐れているわけです。

 

それを危惧しているコンサバは、「スカリア判事の死は、最高裁をリベラルにしたいオバマの陰謀だ」とか言っているわけです。ハイハイ。

 

 

 

そもそものこの最高裁の役割をご存知でしょうか。

 

この記事でも書きましたが、昨年、アメリカ全州で「同性愛者の結婚」が合法になったのは、この最高裁の決断でした。

現在、アメリカでは州ごとの法律が幅広く確立されていて、州ごとに法律が異なることもしばしば。

そういうケースを最高裁に持ち上げて、「これはアメリカ全州での法律ですよ」と決めたり、ローカル裁判所の判決を審議するのが最高裁の仕事。

 

最近の決議で言えば、同性愛者の結婚合法化に加え、オバマケアの導入やConfederate flag(アメリカ南北戦争時代の奴隷制をサポートする旗)の禁止などが記憶に新しいところ。

 

現在、2016年に最高裁が傍聴・決議する予定のトピックはこんな感じ。

 

  • Voting Rights(投票権)について
  • Affirmative Actionについて
  • Labor Unions(労働組合)について
  • Abortion(中絶の権利)について
  • Contraception(避妊医療)について
  • Immigration(移民)について

 

・・・などなど、私たちの生活に密着していそうなものばかり。

 

たとえば、中絶の権利のケースはテキサスの41の中絶クリニックの閉鎖に関するものだとか、移民のケースはオバマ大統領が昨年、不法移民に与える権利に関するものだったりと、私たちも無関心ではいられないものでもあります。

(具体的にどんな内容なのかは自分で調べてください・・・)

 

これからのアメリカの法律が、私たちにとって厳しいものになるのか、緩いものになるのかは、最高裁の決断によるところも大きく、それがコンサバなのかリベラルなのか、ニュースをフォローする必要がありそうです。

 

 

連邦議会は、大統領が指名した判事を承認することになります。

 

つまり、従来の流れとしては、

 

大統領が新判事を指名→議会が新判事を承認→9人の最高裁として機能

 

という流れなのですが、現在コンサバな連邦議会がごねる(笑)可能性もあり、そうなるとオバマ大統領が新しい判事を指名できなくなります。

 

現在の連邦議会はリパブリカン(コンサバ)がマジョリティ(多数)であり、つまりオバマ大統領とは反対派の議会が、大統領の指名を棄却する可能性は大有り。

 

もうそうなると大揉め必至。

 

オバマ(デモクラ):「この人(リベラル)を新判事に指名します。」

議会(リパブリカン):「承認しません。」

リベラル(デモクラ):「承認しろ!」

 

・・・・とダラダラと11月の大統領選挙まで長引かせ、リパブリカンの候補者が勝利することを期待する・・・。

 

というシナリオがもう目に見える。

 

 

で、9人揃わないと最高裁は機能しないので、持ち上げられたケースはもともと発生した州や郡に戻すことになるそうです。そうなると、そのローカルでの決議が生きることになるそう。

 

つまり、サンディエゴで「同性愛者の結婚はオーケー」と決まったとします。だけど、サンディエゴのコンサバな人たちが、「それじゃダメだ!」と不満を言い、最高裁に持ち上げたとします。しかし、8人しか判事のいない最高裁は機能しないので、サンディエゴでの決議が生きるわけです。

 

・・・と、かなりざっくばらんに説明しましたが、私は法律の専門家ではないので、これはあくまで一般知識レベルの情報です。

 

 

 

う~ん、どうなるんでしょうかねぇ。

 

今年は大統領選挙に加えて、最高裁新判事の決定。

こんなにビッグイベントが重なることがあるのか、アメリカ政治。ちょっとビックリ。

 

銃規制問題、移民問題、シリア難民受け入れ問題など、これから「アメリカ」という国のアイデンティティがドカーンと変わりそうな数年ですが、それを迎えるにあたって、国のトップたちがどんな顔ぶれになるのかというのは、とっても気になるところです。

 

 

 

 

 

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