作文しよう! ①テーマを明確にする
こんにちは、Erinaです。
この記事で、アメリカの小学校にあって、日本の小学校に欠けているものが、「作文教育」という話をしました。
まだスペルや文法もあやういうちから、「書く」ということを練習しているアメリカの子供達と、なかなか作文の機会がない日本で育つ子供達の違いは、やはり「作文」とはどういうことかを知ると見えてきます。
作文には、以下のような3つの要素があり、前回はそれぞれを「食事」として見立てました。
- 明確なテーマ
- 十分な題材
- 適切な表現
今回は、その最初のステップである、「明確なテーマ」というものについて説明し、どんなトレーニングができるかを紹介してみたいと思います。
そして、このシリーズで取り上げる「作文の書き方」は、日本語でやるか、英語でやるか、という部分はそれほど関係ありません。
日本語での作文を強化したい人は、日本語でやれば良いし、アメリカの学校や英検・TOEFLなどのテスト対策をしたい人は、英語でやってください。
では早速始めます。
まず、この時点で原稿用紙は要りません。スクラッチペーパーとかチラシの裏で十分。
この最初のステップは、特に日本の作文では見落とされがちで、「え!そんなことやるの?」とか「そんなことにそんなに時間をかけるの?」と驚かれます。
英検やTOEFLのような時間制限のあるテストの場合、私はこの3つの要素(ステップ)にかける時間を、こうやって割り当てます。
もし30分のテストの場合
- テーマを決める←15分
- 題材を集める←10分
- 表現する←5分
つまり、内容をまとめることに時間をしっかりとかけて、実質的に手を動かして書く時間は30分中の5分。それくらい準備に時間をかけるべきだ、という意味です。
こういう意識を持たずに作文に取り掛かる場合、白紙の答案とにらめっこしながら、「あーでもない、こーでもない・・・」と思いをめぐらせ、あっという間に30分、というのが典型的なケース。
私も昔はそうだったし、「書きながら考える」というのが作文だと思っていました。
でも、そうじゃないんです。
思い出してください。
この最初のステップ「明確なテーマ」は、食事という観点から見たら、「献立」だと言いました。
つまり、今日の食事のテーマは和食なのか、イタリアンなのか、アメリカンなのか、メキシカンなのか、とまずは決める。冷蔵庫の中身を見るなり、食べたいものを思い出して、「これとこれを作って・・・、野菜はこれを付け合わせにしよう」と全体像を想像するはずです。
とりあえず作りながら、「あー、まずは味噌汁だな。あ、トマトがあるからパスタにしよう・・・」とかやらないですよね。笑
(まぁそういう日もあるけれど、フォーマルな食事を用意するときは、たぶんやらないはず)
これって結局、どんなことをやっているのかというと、「考える」というトレーニングなんですね。
この「考える」という言葉がやはり、作文ではキーになってきます。
「考える」は英語では “Think” であり、日本語の「思う」とは別物です。
「誰かのことを思う」とか、「ちょっと思ったんだけど」というのは、
- wonder
- anticipate
- ponder
- consider
- came to mind
のような言葉を使い、think とは別の結果をもたらします。
“Think” というのは、建設的に物事を考え、最終的に何らかの解決策だとか結論を出す、というところまで含んでいます。
ではでは、その「考える」というトレーニング、何をどうやったら良いのでしょうか。
簡単なのは、日常的に「アタマを使う」ということ。
つまり、人から言われたことや、決められたことをそのまま受け止めて、流れに身を任せて生きるのではなく、「どうして?」と疑問を持ち続けること。
この記事でも紹介した “Critical Thinking” というのも、やはり「どうしてそうなのか?」を問い続けるということであり、それを止めてしまった時点でやはり「考える」という人間独自の行動は終わってしまいます。
つまり、書くということは、考えることであり、アタマを使うことなしに作文は起こりえないわけです。
だから、これを母国語でできなければ、外国語でできるはずもなく、いくらso-that 構文やら、too-to 構文を覚えたところで、人に伝わるエッセイが書けるはずがないのです。
では、アメリカの子供達が、日常的にどうやってアタマを使っているのか、実際の教材を見てみましょう。
このページには、”Writing prompts” と呼ばれる様々な質問が65あります。
最初の10個を見てみましょう。
- If you could build a dream house, what rooms would it have?
- Write a story about going on an adventure with your best friend.
- Who has the best job in the world?
- Where do you get your best ideas?
- Do women today have equal rights with men?
- Have you ever volunteered to help someone? What did you do?
- What is your favorite thing to write?
- Imagine that you are stuck inside a TV. What will you do? What shows would you visit?
- What would you do if you won the lottery?
- Would you rather be an animal or a toy?
ふむふむ。
このページには、”creative writing prompts for kids” でググった結果、たどりついたのですが、対象年齢は小学生〜中学生くらいまででしょうか。
上の10個を和訳してみると・・・
- 自分の理想の家を建てられるとしたら、どんな部屋がある?
- 親友と冒険をするとしたら、どんなストーリーになる?
- 世界で最高の仕事をしている人は誰?
- きみのベストなアイディアはどこからやってくる?
- 現代の女性は、男性と平等だと思う?
- 人を助けるためにボランティアをしたことはある?何をしたの?
- どんなことを書くのが好き?
- テレビの中に閉じ込められたとしよう。君は何をする?どんな番組に登場したい?
- 宝くじが当たったら、どうする?
- 動物になりたい?それともおもちゃになりたい?
・・・などなど、かなりランダムな質問で、響く年齢も幅がありますね。
日本語でも英語でも良いのですが、これらの質問に、パパッと答えられるでしょうか?
そして、どうしてそう思うのか、理由も説明できますか?
ここで大事なのは、自分の答えが正解かどうかではなく、自分の意見をどれくらい述べられるかどうか。
この10の質問を見てみるとわかると思いますが、「正解」なんてないものばかりです。つまり、作文というのは究極の自由課題であり、内容の正当性よりも、意見をどれだけ理論的に伝えられるか、が評価基準であるべきなのです。
具体的にやってみましょう。
11から13の3個の質問に対して、私の答えを書いてみます。
#11. What is the most important thing you’ve learned in school?
My answer:
The most important thing I’ve learned in school was to be on time. Classes began and ended with bell which I gained a sense of schedule and time management for the day. If I was late for my class even 2 minutes, my teacher would marked me as “tardy”, and I had to have a reasonable explanation for the tardiness. Also, homework and assignments had due dates that I had to follow. If I submit late homework and assignments, I would not get a full credit, so it was important to complete them on time. I believe this time management is useful when I get job.
(和訳)
問:あなたが学校で学んだ最も重要なことは何ですか?
答:私が学校で学んだ最も重要なことは時間を守ることです。授業はいつもベルが鳴って始まり、終わりました。これは決まった時間の感覚をつかんだり、タイムマネジメントに役立ちました。たとえ2分でも授業に遅れたら、「遅刻」のマークがついてしまい、その理由をきちんと説明しなければなりませんでした。また、宿題や課題はいつも決められた提出日がありました。もし遅れて提出した場合は、フルクレジットをもらうことはできませんでしたから、時間通りに終わらせることはとても大切でした。タイムマネジメントというのは、仕事をするうえでも役に立つスキルだと思います。
#12. If you invented a celebration dance, what would it be called? What would it look like?
My answer:
If I invented a celebration dance, it would be called a monkey dance. It will look like monkeys jumping and running. Because monkeys look happy in general, so I would choose their motion and voice to celebrate something. They also make a lot of noise and celebration needs noises and sounds. So my celebration would look like monkeys.
(和訳)
問:もしあなたが、お祝いのダンスを発明するとしたら、それを何と呼びますか?どんなダンスですか?
答:私がお祝いのダンスを発明するとしたら、それをモンキーダンスと呼びます。猿が飛んだり走ったりしているみたいに見えるからです。猿はいつも幸せそうなので、彼らの動きや声を、お祝いに使いたいと思います。お祝いには、彼らが出すような大声や音も必要です。なので、私のお祝いのダンスは猿のように見えるでしょう。
#13. Do you want to get married someday? Why or why not?
My answer:
No, I do not want to get married someday, because I enjoy being alone. I cannot imagine I would live with somebody. Also, I have many friends to do things I like, such as surfing, playing tennis, and cooking, and I can meet with them as I want to do those things. I also like reading and writing quietly, and I would like to keep such lone time. So I do not want to get married someday.
(和訳)
問:いつの日か、結婚したいと思いますか?それはなぜですか?
答:私は一人でいることが好きなので、結婚したくありません。誰かと一緒に暮らすということを想像できません。それに、サーフィンやテニスや料理などをしたい時は、仲間がいて、彼女たちと一緒にすることができます。また、読書や作文を静かにすることが好きなので、一人でいる時間が好きなのです。なので、いつの日か結婚したいとは思いません。
・・・・と、シンプルに書いてみましたが、これらの回答は、私自身の意見や経験を反映してはいません。
私を個人的に知っている人なら、「え?そうなの?」と思ったかもしれませんが、あえて逆の立場で物事を考えて書いてみました。笑
想定年齢は中学生くらいです。
つまり大事なのは、質問に対して、どれくらい自分の考えをひねり出すことができるか、ということであり、答えの内容が社会的に正しいかとか、先生の同意を得られるか、ということではありません。これは「適切な表現」のステップでカバーします。
このような質問はネットでたくさん見つけられるので、一日にひとつ「今日の質問」を決めて、ノートに答えを書き続けてみると、かなりのトレーニングになります。
以下はさっきのウェブサイトの続きです。
やってみるとわかると思いますが、「どんなスーパーヒーローになりたいか」とか「どんな動物になりたいか」というシンプルな質問に答えることが、「現代の環境問題についてどう思うか」とか「発展途上国の人口爆発と飢餓についてどう思うか」のような複雑な質問への答えにつながります。
「考える」という練習も、まずはベビーステップから始めることが大事で、アメリカの小学校ではこういう練習を日々、繰り返しているわけです。
どうでしょうか。
次回は、ステップ2:題材を集める について書いてみます。
エリナさん、こんにちは!
作文。
自分の意見を表明する訓練。
これは、私にとって出来ていないと痛感している部分であり、克服したい課題です。
学生の頃より作文が苦手で、会社員の頃は企画書や手順書を作ることが本当に苦痛でした。
多分、考えながら書いてしまう、という事が原因なのかなとも思うのです。
私のブログも呟きっぽいと思います。(笑)
Writing prompts、やってみようと思います!
Mayumiさん、こんにちは!
常日頃から、「私だったら、どうやって言うだろう?」とか、「私だったら、きっとこうやって書くかな」と、考えをまとめる練習をすると良いと思います。
世界には、ネタってゴロゴロあって、そういう見方をすると、物事の見え方が変わってくると思います。
書いてみたらぜひ紹介してくださいね!
テーマを与えて、作文練習って目から鱗でした。素晴らしいです!日記を書かせようと毎日試行錯誤していたのですが、決まりきった定型文(今日は〇〇しました。〇〇でした。的な)になり、一向に筆が進まず、変わりばえのない内容でした。
今日すぐにQ1をやらせてみたところ、すぐにのってきて、書きたいことが溢れていました。
作文が書けないんじゃなくて、書かせてこなかったんだ…と実感しました。まだページの半分は絵を描いてましたけど、コツコツこれで脳内整理と共に、書くことに慣れていってほしいと思います。素晴らしいアイデアありがとうございました!
96763さん
そうなんですよね、これまでの作文教育って、かなり大人目線だったんじゃないかな、と私も思うようになりました。
うちの子供達が学校でやってくる作文は、目線が子供の高さで、どうやったら彼らが一歩を踏み出すことができるか、というところにフォーカスされている気がします。
絵を描くのも素晴らしいですよ!
絵の中から、アイディアを引っ張り出してあげて、それを単語にする(「これって何?」→「大きい窓」→「じゃあ、大きい窓がほしいです、って書こう」)というプロセスは良いと思います。お子さんは、ビジュアルで考える子供なのかな?
またこれからも書いていきますね!