日本、アメリカ、そして自分
先日、「戦争と平和」というテーマでJFSC(Japanese Family Support Center)のワークショップを行いました。
やはり日本人として、向き合わざるを得ないトピックであると、強く感じています。
今回、スピーカーとしてお呼びしたのは河村幾之助さん。(SD-WISHのウェブサイトより)
河村さんの言葉は、戦争という歴史的事実だけでなく、日本人として、これからの国際化社会で生きていくためのマインドセットを教えてくれることになりました。それをシェアしたいと思います。
多くの読者のみなさんと同様、日本の戦争や原爆を教科書やテレビの中でしか学ばなかった私が、これほどに戦争について、平和について考えるようになったのは、やはりアメリカで育つ自分の子供たちが大きくなってきたからでした。
私の息子は6歳、娘は4歳。
彼らにどうやって「日本人である」ということを教えたら良いのか、この12年間、英語漬け、アメリカ文化漬けの生活をしている私は、ごく最近になって考えるようになりました。
そしてそれには、まず自分が、きちんと直接体験した人の話を聞くことが必要だと感じたのです。
河村さんに初めてお会いしたのは数ヶ月前のことになりますが、彼の静かで力強い言葉は、日本人である自分の背中を押してくれました。そして、ぜひこの体験をサンディエゴに住む日本人と共有したいと思ったのです。
河村さんは2歳のときに広島で被爆されました。
そこから戦後復興時代の日本を見ながら成長し、1969年に当時の雇用者数700人だった京セラに入社。
サンディエゴに派遣され、京セラ北米設立に貢献された河村さんは、京セラインターナショナルで数々の要職に就かれました。
現在はSD-WISHという平和を唱える非営利団体、バルボアパークの日本庭園の副理事などを精力的に行われています。
河村さんは、広島市内の地図を使って、原爆の中心地と、その時刻にご自身がいた場所などを示してくれました。
河村さんがいた広島市東部は比治山(ひじやま)という山が壁になり、被害がそれほど大きくなかったこと、市内中心部では、学徒労働員の子供たちが大きな被害に遭ったことなど、知らなかったことがたくさんありました。
私が、河村さんや他の参加者の方の戦争体験談を聞いて感じたことは、日本人は偉大であるということでした。
これだけ悲惨な体験をした日本は、今、これだけ世界で大きな国になりました。テクノロジーや経済、個人の評価は、世界で一目置かれるどころか、世界を引っ張る存在です。アメリカに来て以来、世界がどれだけ日本人に対して良い感情を持っているか、私は驚いたものでした。
歴史を考えると、日本人はアメリカを憎むこともできたはずです。
1945年の時点で、世界との競争から脱退することもできたはず。
なのに、しなかった。
その代わりに、歯を食いしばって、前だけを見て、明日を信じて、とにかく一生懸命に生きてきた人が、それだけたくさんいたということです。
「もうそれしかなかった。」
戦後当時の人たちに尋ねる機会があったなら、彼らはそう言うかもしれません。
京セラに入社した河村さんは、京セラ会長の稲盛さんの教えに強く影響を受けます。
「人間として常に正しいことをしなさい。」
私が強く感銘を受けたのは、この言葉でした。
アメリカ人として育つ、半分日本人の私の子どもたち。
「この子達に、何をどう教えよう?」
「日本とアメリカの価値観がぶつかったらどうしよう?」
「そもそも、私は日本人なのか?アメリカ人なのか?」
そんなジレンマを持ちながらの子育ては、不安もあります。
しかし、河村さんからのこの言葉を聞いて感じたことは、
「日本人であろうと、アメリカ人であろうと、関係ない。自分の人生の中で信じてきたものを信じて、彼らを育てれば良い。」
ということでした。
そしてこれは、これからますます国際化していく現代社会で、必要なマインドセットであり、「個人力」が問われる時代で必要な強さだと思いました。
日本人だから、アメリカ人だから、という鎧に頼らず、自分自身の信念で自分を守ることを教わったのです。
そして、
- 自分の利益や成長だけでなく、コミュニティの利益になることを考えて行動すること
- 「自分は努力している」というのは常に主観的な見方でしかないのだから、もっともっと努力すること
という稲盛さんからの教えを、私は深く心に留めました。
45年間、京セラでこれだけのキャリアを築いてきた河村さん。
たかだか7年しか勤務経験のない自分。
自分の悩みや将来への不安は、本当に小さいものだと気づかされました。
「あきらめるのも、結論を出すのも、まだ早い。もっともっとやってみなきゃ。自分は全然まだまだじゃん!」
自分のエゴや嫉妬、不安、ネガティブな感情というものは、横に置いておき、目の前にあるものと向き合い、精進する。
それこそが成功と幸せへの近道である、と背中を押された気分でした。
「個人レベルのエゴが大きくなり、それがコミュニティレベル、国家レベルになっていくと、結果として戦争になります。戦争とは、国家リーダーレベルでのエゴのぶつかり合いでしかありません。」
河村さんは言いました。
「だから、私は草の根活動で、みなさん一人ひとりに伝えていきます。」
このような大先輩がいることを、誇りに、そして心強く思います。
日本人として、今日、アメリカに立っている私の選択は間違ってはいなかった。
そしてこの選択が正解だったといつか自信を持って言えるようになるために、日々、一生懸命働き、家族とコミュニティを愛し、成長していくのみです。