アメリカの国語でシェイクスピア!

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こんにちは、Erinaです。

 

お久しぶりです。

アメリカでは、今週末あたりから、各地の大学で卒業式シーズンに突入しますね。

 

教育実習が予定より少し早く終わったので、私のブロックリーダーが国語を教えている高校にお邪魔することになりました。

最初は数学の授業を参観していたのですが、「別の科目も見てみたい」と伝えると、快く受け入れてくれる先生を見つけてくれて、9〜11年生の国語の授業と、AP European History(AP ヨーロッパ史)の授業を見学することができました。

 

今日はその中でも、国語の授業について書いてみたいと思います。

 

アメリカの国語の授業内容については、現役高校生(もうすぐ大学生)のあかりちゃんがこの記事で書いてくれたように、学生目線から見ても日本の国語教育とはだいぶ異なるようです。

 

私自身、数学教師への道を選んだわけですが、やはり国語と数学というのはコインの裏表であり、片方だけではやはり成長にも限度があると私は思っています。つまり、数学と国語の基礎となるものは共通していて、それを “Literacy”(リテラシー)と呼ぶのです。

 

そんなわけで、私はアメリカに限らず国語教育に興味があり、今回は、

 

  • 9年生(日本の中3)
  • 10年生(日本の高1)
  • 11年生(日本の高2)

 

の3クラスにお邪魔してきました。

 

そんな中で、今回は9年生のクラスにフォーカスしたいと思います。

この9年生のクラスは、生徒数約30名(男女半々)のクラスで、先生は40代の女性。学校のTシャツ(定番)にパンツ姿+サンダルというカジュアルな格好です。

 

この日は、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を “act out” するとのことで、「おぉ!早速、シェイクスピア!」と私はちょっとテンションが上がりました。

 

「アメリカの高校の国語ではシェイクスピアを取り上げる」というのはやはり有名な事実で、私も、「あの古典英語を一体どうやって勉強するんだろう?」と前々から興味津々だったのです。

 

ロミオとジュリエットは、私がちょうど高校生の頃にあのバズ・ラーマン監督バージョン(ディカプリオのやつね)が登場し、私は彼の世界にどっぷりとはまってしまいました。ディカプリオとクレア・デインズが超絶に可愛かったのと、バズ・ラーマンのバブリーな世界観がとても好きだったのでした。

 

 

 

なので、私が「シェイクスピア」を意識しだしたのはあの映画がきっかけだったと思います。神父の古典英語もさっぱりわからず、なんだこりゃ!?と思った記憶があります。

 

そんなわけで今回、9年生が “Act out” するということで、「おぉ!何をどうやるんだろう?」と楽しみで教室に入りました。

 

教室のホワイトボードには、登場人物がモンタギュー(ロミオ)側とキャピュレット(ジュリエット)側に分けて書かれていて、横に生徒たちの名前が書かれています。どうやらそれが配役のようです。

 

その日のシーンは、ロミオがジュリエットの従兄弟であるティボルトを殺してしまい、町から追放されてしまう直後から始まります。ジュリエットはその追放宣告に悲しみ、独り言を長々と言い、乳母がなぐさめる・・・というあのシーン。

 

なので、この日に出番があるのはジュリエット役と乳母役の二人。二人は前に出て、本を開きます。

 

この本は、ペーパーバックのボロボロの(笑)本で、教室に常備されているものです。アメリカでは、日本のような「一人に一冊」という教科書がないので、教材となる本などは使い回しをすることがほとんど。

 

この先生は、同じ9年生の国語を何クラスか受け持っているけれど、どうせその学生たちが同時に使うことはないので、教室に30〜35冊ほど置いてあれば、この先生が担当する学生はみんな授業中に使えるわけです。

ちなみに、この本は先生の私物ではなく、学校が所有する教材です。なので太いマーカーでどどーんと番号が書かれています。

 

「家で勉強したい人はどうするの?」

 

と思った方。

それなら、買えば良いんじゃない?ってことでしょうね。

家でまで読みたい、と思える作品に出会ったら、そこで自分で買えば良いし、読書の練習が必要だなと思ったら、やはり自分の選択で買うべきでしょう。

 

そんなわけで、学生たちは山積みされているロミオとジュリエットのペーパーバックを各自で取り、前に立った二人が自分のセリフを読む(これが “act out”)を聞くわけです。

 

シェイクスピアを英語で読んだことがある方はご存知でしょうが、古典英語が使われています。

 

たとえば

 

O Romeo, Romeo, wherefore art thou Romeo?

 

はあの有名なセリフで、

 

「あぁ、ロミオ、ロミオ、あなたはどうしてロミオなの?」

 

というやつです。でも現代英語とはちょっと(かなり?)違っていますよね。現代英語なら、

 

Oh, Romeo, Romeo, why are you Romeo?

 

となるはず。

つまり、

 

wherefore → why

art → are

thou → you

 

と、単語が全然違う!

 

日本も古文を好きな人は覚えているかもしれませんが、やはり古典文学で使われたけれども、現代日本語にはない言葉ってたくさんありましたよね。「いと、おかし」とか覚えてますか?

当たり前ですが、私たち現代日本人が枕草子を初見ですらすら読んだり理解できないように、現代アメリカ人もシェイクスピアをすらすら読むことはできませんし、意味もわからないでしょう。

 

なので、上のようなキーとなる古典英語のボキャブラリーをいくつか勉強し、音読し、映画を見たり、先生が解説することで、あくまで「全体」をつかみます。

ここがやはり日本の(私がやったような)古文教育とは違うところで、動詞の活用とか、副詞とかそういう細かいことはやりません。どうせ日常生活では使わない言語ですから、そんなことは知っても何の役にも立たないです。

 

それよりも、「作品」としてのシェイクスピアを理解し、「英語」という言語のルーツを知るわけです。

 

ジュリエット役と乳母役の二人がセリフ合わせをした後は、このシーンを映画で見ます。

そしてそれは私が大好きだったバズ・ラーマンバージョンでした。もう10年くらい見ていなかったので、後ろでこっそり、「わー!懐かしい〜!」と感動してしまいましたが、学生たちはラブシーンに「オォ〜!」とどよめいていた。笑

君たち・・・。

先生も、「ユーたちは、PG-13の映画にそんなに盛り上がれるのね・・・」と苦笑。

 

映画のシーンは、たかだか10分くらいのものだったけれど、やはり文章と合わせて見ることで、内容把握につながります。

これは教育理論では、”Scaffolding”(スキャフォルディング)とか “Differentiation”と呼ばれて、あるコンセプトを生徒に理解させるために、様々な手法を使うという教育法の基本です。

 

文章:視覚

セリフ合わせ:聴覚

映像:視覚+聴覚

 

こうやって、文章とセリフ合わせと映像でこの場面を理解した学生たちは、自分自身の経験と照らし合わせ(従兄弟が殺されたら?とか、親の決めた縁談にどう反応するか?など)、自分の意見を発表し、この日の授業をまとめるわけです。

これを見ていて、やはりアメリカの国語の授業というのは、「深い人間になるための勉強」であり、あかりちゃんも上の記事でそう書いていたことを思い出しました。

 

そして、「シェイクスピアの世界をもっと知りたい!」とか、「古典英語の語彙を増やしたい!」という生徒は、個人でリサーチしたり、こういう辞書を使ったり(笑)、国語や演劇の先生になったり・・・とするわけです。

 

ただ、シェイクスピアの作品はあくまで「脚本」なので、単語を覚えることよりも、音読で感情などを表現できることが重要。つまり、文字面としてではなく、聴覚を刺激したり、世界観が見える視覚効果が必要ですね。

 

日本の国語の古典教育もそういう傾向があるのでしょうか。

アメリカの国語教育についてのこの他の記事は、こちらで読めます

 

 

どうでしょうか。

 

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About Erina

こんにちは、Erinaです。 日本で一浪した後、2002年に留学生として渡米しました。ESLとコミュニティカレッジを経て、4年制大学に編入。高校時代は大嫌いだった数学が大学で大好きになり、応用数学専攻で卒業。金融アナリストインターン、IT企業でデータアナリスト、銀行で不動産アナリストを経て、現在、キャリアチェンジの真っ最中。アメリカの高校で数学教師になるために、2016年夏に脱サラ。久しぶりの勉強と主婦業に専念しています。二人の小学生のママです。趣味は読書・ヨガ・テニス・ゴルフ・DIY・庭仕事で、最近の一番の楽しみは子育てです。 アメリカに住む日本人女性を応援したくてこのブログを始めました。

2 Responses to “アメリカの国語でシェイクスピア!”

  1. avatar

    りょうこ

    おお!なんとタイムリーな話題!ちょうどうちの9年生の息子1もロミオとジュリエット習ってるところです。私が図書館ボランティアをしてたこの間も生徒が図書館にロミオとジュリエットを借りに来たところです〜。
    実際に参加型の古典の授業良いですよね!日本でもあさきゆめみしでも演技させればよいのにー!

    実際に体験を通す方が頭の中にもグングン入ってきますよねー。

    私の数学ではみんなでボードゲーム型にして問題を解いたり、あと、スカベンジャーハント風な方法でどんどん楽しくみんな参加しながら計算したりしてます。

    だからアメリカの学校って楽しいんですね。

  2. avatar

    Erina

    りょうこさん、こんにちは!

    それはとってもタイムリー!
    ちょうど学年末に取り上げる単元なんでしょうかね。9年生のトリみたいな。
    本当、日本には漫画とか大河ドラマとか素晴らしいものがあるのだから、古典教育でどんどん使うべきですよね。
    私もあさきゆめみし、読んでました。でも古文は大嫌いだった・・・笑

    数学も参加型で楽しいですよね。
    今日のクラスでは、jeopardy! やってました笑

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