作文しよう! ③効果的な表現を使う(前編)
こんにちは、Erinaです。
今日は、作文シリーズの3回目として、「効果的な表現」について書いてみます。
これまで、
というステップを踏まえてきましたが、今回はおそらく、最もテクニカル(技術的)な部分です。
料理に例えると、実際の「調理」にあたる、と書いたように、まるまる覚えることや、お手本から見て盗むという部分が多く、良いお手本に触れただけ、スキルアップが望めます。
読書を多くする子供というのは、それだけ多くの表現や言葉を知っていて、どこかで仕入れた新しい言葉を作文でも使えるようになる。特に子供というのは、新しい言葉をスポンジのように吸収し、使おうとしますから、作文でその場所を作ってあげる、というのは良い練習になるわけです。
そこで、「効果的な」というのはどういう意味なのかを考えてみます。
英語では “effective”ですが、effective speech, effective writing, effective communication なんてよく聞きます。円滑な人間関係には、効果的なコミュニケーションが必要だ、というのはアメリカ、特にビジネスの社会でも注目され、コミュニケーション上手な人ほど出世する、というのもよく言われることです。
「効果的なコミュニケーション」というのはつまり、自分の伝えたいことを、簡潔にかつ適切に表現できるということであり、100人中いたら99人に意図を伝えられるというのが、効果的なコミュニケーターだと言えるでしょう。
それを作文で応用するにはやはり、それなりのルールや方法があり、「人に伝える」ということを意識するのがこのステップだと言えます。
では最初に、作文(エッセイ)というものがどう出来上がっているかを考えてみます。
作文を細かく細かくしていくと、一番小さな単位は何でしょうか?
「単語 (word)」
ですね。
単語が集まると、「文 (sentence)」になります。
文が集まると、「段落 (paragraph)」になります。
段落が集まると、最終的に「作文 (essay)」になります。
つまり、
単語→文→段落→作文
という順でできていて、それぞれのステップで意識することがあるのです。
これは英語で書かれたライティングの教科書でも書かれていて、私はこのシリーズを研究しました。
Great Writing Foundation: 単語から文へ
というトランジションを意識して書かれたテキストで、題材もナショジオなのでクオリティが高いです。
では、それぞれに見てみましょう。
単語:
単語力とはつまり、ボキャブラリー(語彙)です。
単純に知っている語数というよりも、その単語の使われ方や、受け取られ方を知っていることが、「効果的」な作文につながります。
良い例は、テレビなどでの食べ物レポート。
ボキャブラリーが貧困な人は、「おいし〜!とろけるー!こんなの食べたことない!」
くらいしか言えないかもしれませんが、
表現力が豊かな人は、「口の中でとろけるようで、味に奥行きがあって、飲み込んだ後もこの風味が鼻の奥に残ります。」
なんて言うでしょう。
テレビの前に座っている視聴者にとって、どちらが想像力を掻き立てるか、一瞬でわかります。つまり、「味に奥行きがある」とか「風味が鼻の奥に残る」という表現をどこかで聞いて、実際に自分でも使えるということが、真の「単語力」であり、効果的な表現につながるわけです。
英語なら、「このケーキはおいしい」と言いたい時、”This cake is delicious.”が定番かもしれませんが、言葉を変えて、
This cake tastes good.
This is yummy!
It’s flavorful!
This is very moist.
なんていうふうにも言えるわけです。
「あ〜、もう感動するくらいおいしい・・・」というのは、
This is delightful.
This is mind-blowing!
なんていう表現もありですね。
やはり自分の意見を正確に伝えるためには、表現の幅が広いというのは有利だし、作文としても効果的なものになります。
文:
では、ある程度の単語を身につけて、それをくっつけて「文」を作ることにします。
実はこの部分、日本人は得意な部分です。
というのも、日本の学校で受ける「英語教育」は、この部分にかなり特化されていて、長年にわたって勉強してきた部分だからです。
それは何かと言うと、ずばり「文法」。SVOとか、so-that構文とか、too-to構文とか、時制とか、三人称単数のsとか、日本で英語教育を受けた人なら、「あ〜、あれね・・・」と思い出せるはず。
この文法というのもやはり効果的な表現には必要です。時制がぐちゃぐちゃだったり、細かい文法ミスがあると、せっかく良い作文も、「あ〜、残念だな」というものになってしまうからです。
ただ、ここだけにフォーカスしても、良い作文にはなりません。
おわかりのように、この「文」というのは、作文の3ステップの最後のステップ(効果的な表現)のうちの、しかもその一部分でしかありません。全体として、良い作文になるには他の部分(テーマとか構造とか)がやはりメインであり、「木を見て森を見ず」にならないためには、やはりここだけ極めていても足りないわけです。
日本の中高でガッツリと文法をやってきたはずの日本人留学生が、「エッセイが苦手・・・」というのはやはり、文法だけでは作文は書けない、ということを証明しています。
最近のアメリカの作文教育の傾向として、文法やスペルなどは添削基準としては優先順位が低くなっているそうです。つまり、スペルや文法うんぬんよりも、「書きたいこと」が前面に出ているかとか、段落組みができているかということのほうが大事だ、という評価がスタンダードになっています。
なのでやはり、スペルや文法にこだわる前に、書きたいことをどんどん書かせる作文教育が必要なわけですね。
段落:
「段落 (paragraph)」という認識は、あまり強調されないようですが、やはりこれも重要なパーツです。
段落というのは、「ある一つのことに対して書いた文章の集まり」と説明されますが、それだけではちょっとわかりにくい。
そこで、段落というものを意識するには、ステップやカテゴリーのあることを書いてみると良いですね。
たとえば、料理の手順なら、ステップ1→ステップ2→ステップ3→・・・とそれぞれを段落にすれば良いし、動物についての説明文であれば、外観、生態、食べ物、天敵・・・などで段落にできます。
ここではアウトライン (outline) を使うと良いのですが、これはまた別の機会に書いてみます。
作文:
こうやって、単語から文、文から段落ができた時、全体として形が整ったら最終的にそれは作文(エッセイ)になるのです。
段落同士をつなげる接続詞や、段落間の展開を変えるというのもこのステップで、やはりそれぞれの段落をどうやってつなげるか、というところを意識します。
たとえば、Controversial(賛否のある)なトピックについて書くとしたら、
- 1段落目→賛成派の意見
- 2段落目→反対派の意見
- 3段落目→自分の意見
などをクリアに表現する必要があります。
この記事でも書いたように、イントロを屋根、結論を土台に見立てると、バランスのとれた建物のようになっているはずです。
・・・と、かなりざっくりとした説明でしたが、この
単語→文→段落→作文
という考えはかなり画期的で、かつ理論的に作文を形作ると思います。
どれかをスキップしては、力強い作文には到達できないし、自分の作文の弱点を分析するのにも役立つのではないでしょうか。
次回の後編では、この「効果的な表現」を強化するための練習方法を、まとめて紹介したいと思います。
とても興味深く何度も読ませて頂きました。
子供の夏休みの宿題に読書感想文がありましたが、お手本が配られ、このように書きましょうと書いてあり、とてもがっかりしました。
子供と英語に触れはじめてからライティングの教育を知り、日本の教育に取り入れるべきだと思いました。
まとまりのないコメントで申し訳ございません。
これからも記事を楽しみにしております。
くろみつさん、こんにちは!
やはり、作文を効果的に、システマティックに教えている学校は日本ではかなり少ないようですね。
私はアメリカで作文を学び、日本語で作文した結果、このブログも書けているので、やはり作文教育というのは応用性が高いですよね。