バイリンガル教育よりもコミュニケーション教育を

こんにちは、Erinaです。

前回の記事で書いた、現代社会におけるアメリカ高校生の進路。自分の子供達がティーンになって以来、彼らと深い対話をもてるというのは、子育てにおいてとても重要な部分なのだと感じることが増えました。

 

そうする上で必要になってくるのが、コミュニケーションスキル、そして英語オンリーの我が家では英語力でした。

この記事でも書いたように、子供達に日本語を教えないことを早々に決めた我が家。子供達は英語のみで育ってきたわけですが、私自身も英語にそれほど難なくいたので、まぁ自然の流れだったわけです。

 

しかしながら、その影響が目に見えるようになってきたのは、やはり子供達が高校生になり、思考や決断が複雑化する時期に入ってからでした。彼らに「自我」というものが芽生え、家庭とは別のところで居場所を築き始めると、途端に親からの影響力は薄らぎます。

そんな時に、大切なことをリマインドしつつ、彼ら自身の決断をリスペクトし、準社会人としての責任を教える。

このプロセスにおいて「コミュニケーション能力」というのは絶対的に必要なものです。

 

この数年は、「子供達と深い話をできる英語力が自分にあってよかった」と実感することの連続です。

 

この記事でも書きましたが、ティーンの子供達は、勉強以外にも親から学ぶことが本当にたくさんあります。

特に移民一世の親と現地生まれの子供達の間にはとても大きなギャップがあって、「日本では当たり前だから」と良かれと思ってやってきたことが、アメリカ社会では当たり前ではなく、結果、親子で衝突したり、ということも。

 

例えば、私の受け持ちだった高校シニア(3年)の生徒で、両親が某アジア国出身の子がいました。

卒業後の進路にいくつか候補があった彼女は、卒業式直前まで悩んでいました。その理由は「親が選んで欲しい進路と、私の選びたい進路が異なる」ということでした。なんだか聞いたことありますね。

親は、長女でしっかり者の彼女に家から通える4年制大学に行ってほしい。

彼女自身は、東海岸の4年制大学に行きたい。

 

私:「どうして東海岸の大学に行きたいの?」

生徒:「自分を試してみたいんです。新しい場所で自分の人生を切り拓くってどういうことなのかを体験してみたい」

私:「それは親に話した?親はもしかしたら、実家が嫌だから離れたいと思ってるかもしれないよ?」

生徒:「そういえば、そういう話はしたことないです。確かにそういう風に思ってるかもしれません…」

私:「うん、これは決して親のせいじゃなく、あなた自身の人生の選択としてということをわかってもらったほうがいいと思う。やっぱりアジア文化は【家族単位】で考えるところがあるじゃない?」

生徒:「そうですね。そういう話をもっとすることにします」

 

家族や伝統重視のアジア文化で生まれ育った親世代と、個人主義のアメリカ社会で生まれ育つ子供世代。この間にある価値観のギャップは想像以上に大きくて、それは個人的な好き嫌いではなく、生まれ育った環境で育まれた価値観であることを、親は理解しなければならない場面が多々あります。

そのギャップを埋めるにはコミュニケーションが必要不可欠であり、それも単なる情報交換や意見のぶつけ合いではなく、意見の不一致を埋めるためのコミュニケーションです。

 

ここ数年、仕事と家庭の両方で、こういうコミュニケーションがティーン達にとっていかに重要かを知った私は、子育て当初で悩んでいた「日本語で育てるか?英語で育てるか?」という選択肢よりも、もっと大事なことがあると確信しました。

というか、家庭での使用言語が何語であろうと、いくつあろうと、それ自体は問題ではない。それは彼らのツールであり、各家庭のニーズであり、おそらくは必要に迫られての選択肢でしょう。

ただ、それらの言語を「どう使えるようになるか」を親は考慮しなければならず、子供達がティーンになった時に、親子相互ともに必要な言語レベルがあるはずなのです。

 

それは親自身が英語の勉強をし続けることかもしれないし、子供が日本語習得の必要性を理解することかもしれない。ただ、それは決して一方的な努力ではなく、親子ともどもにコミュニケーションの重要性を理解し、日頃から練習し、ティーンになる前に慣れておくことが大事だと私は思います。

我が家の場合は、英語だけでなく、子供達が幼い頃から “talk it out”(解決策が見つかるまでとことん話し合う)ということをやってきていたし、そういうプロセスを「面倒くさい」で片付けなかった気がします。

 

その結果、うちの子供達は(全てではないとしても)親が知るべきことはなんでも話してくれている気がするし、子供達も「自分達の話をとりあえずは聞いてくれる親」と認識しているようです。

 

そしてこのコミュニケーションスキルは、彼らが社会に出ていく時に、家族以外の人たちとの関係を築くためにも役立っていくだろうし、親とは関係なしに、彼ら自身の人生を円滑にしていくために活用していって欲しいなと願うのです。

 

どうでしょうか。

 

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